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新しい助手(3)

 3人は移動用カートで研究所の本館へと向かっている。

「ねえ、ブラキオ。あなた『永遠の輝き団』のメンバーなんでしょ?殺し屋さんなのに、アカデミーに通ってたの?」

「姐さん、オレが団長に拾われたのは『メイル・ボマー(Mail Bonber=爆弾配達人)』がエクセル・バイオに返り討ちに遭う少し前ぐらいでしたからね」

「メイル・ボマー?」

「今の団長の体の人ですよ」

「あ・・・ああ。ヘイゼルさんが憑依している体の元の人ね。そういえば『ボマー』って言われてたっけ」

「すぐに『永遠の輝き団』はエクセル・バイオの傘下になったじゃないですか。『世界に名だたる大企業エクセル・バイオの一員になったのに、裏稼業ばかりじゃなく学問も必要だ』って団長が言い出しましてね。当時10代半ばだったオレを団長がアカデミーに入れてくれたんですよ。PK(Psychokinesis=念力)が使えるということで」

 確実にヴィクトールの意思も絡んでいるに違いない。

「アカデミーでは散々、姐さんたちの偉業の話を聞かされました。『双子姫のおかげで超心理学界は科学界に認められた』ってね」

 ユリとリリーは地球と2天文単位離れた実験施設の間で、リアルタイムのテレパシー実験を行った。名だたる科学者たちの目の前で、光でも16分38秒かかる距離をリアルタイムで情報交換したのだ。テレパシー並びに超心理学を科学界に認めさせ、後の霊子通信の開発のきっかけになった実験であった。

「その話なら、今でもアカデミーの伝説になってるよ。ブラキオ君はボクの先輩だったんだね」

「えっ?カイン先生は後輩なんですか?」

「そうだよ。ボクはクローネルさんに憑依転生で若返った後、アカデミーに入れさせられたんだ。死ぬほど勉強したよ。しんどかったな~。新鮮だったけどね」

「先生はたった1年で首席卒業したのよ。すごいでしょ」

「何で姐さんが自慢してるんですか・・・」

「ボクはクローンを利用した裏技を使ったからね。そうだ、ブラキオ君もクローン転生をすればいいのに。そうすれば君の失った両手も戻るよ」

「それがそうはうまくいかないようで・・・」

「先生、男性のクローンは難しいんですよ。どうやっても100%のクローンにはならないですから・・・」

 クローンを作るには本人の体細胞の核を除核卵に移植したヒト胚(人クローン胚)を作成することからはじまる。女性であれば除核卵も自分の卵子から作ることが出来るが、卵子を作れない男性は他人である女性の卵子を利用するしかない。100%にならないのはどうしても他人の細胞が混じるからである。

「それにPK能力は後天的な要素も大きいようです。ブラキオが転生するとPK能力を失う可能性が高いです」

「姐さんの言う通りです。オレのサイコキネシスも両腕を無くしてから発動しましたし。オレからサイコキネシスを取ったら何も残らねえんで・・・」

「だったら簡単だね。ブラキオ君の価値がサイコキネシスだけじゃなければ・・・いや、サイコキネシス以上のブラキオ君の価値を見出せばいいんだからね」

「先生・・・一生ついていきます!!」

 ブラキオは感動しているが、リリーはカインの目の輝きを見逃さなかった。・・・何を企んでいるのやら。

「ブラキオ君には期待しかしていないよ」



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