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錬金術研究所(1)

 アステロイドベルトにある「GECRI-Ⅱ(GraviScience Energy Core Research Institute-2nd=第2グラビサイエンス・エネルギーコア研究所)」はグラビサイエンスが持つ宇宙研究所の中でも、ブラックホールエンジン開発に特化した研究所だ。一時期資金繰りが怪しくなったグラビサイエンスではあるが、オーナーが代わったことにより以前の活気を取り戻しつつあった。超大国提案の「3G計画」や「G-City計画」の影響もあり、ブラックホールエンジン作成を商業化したことで大きな利益を上げている。独自のブラックホール研究よりも受注生産の方が忙しいため、科学者の数は年々減少し技術者の方が増えていた。「研究所」というよりは、すでに「工場」として稼働している状況である。

「またブラックホールエンジンの受注が来たぞ。今度は大型だ。可能な限り大きくしろ、との注文だ」

「いやいや、受注は1年先までいっぱいでしょ?」

「今回はオーナーの紹介だ。他の注文を遅らせてでも優先させろ」

「ちっ、オーナーの横やりじゃあしょうがねえな。発注元を聞いてもいいか?」

「え~と・・・『錬金術研究所(Alchemia Institutum)』だと。最近ISCOに加盟した研究機関だそうだ」

「いまや雨後の筍みたいに加盟研究機関は増えているからね。それにしても錬金術研究所とは・・・どんな魔法を使うんだろうね?」

「ウチにも『魔法使い』は、いたじゃないか」

「あ、アレでしょ?QPにいた爺さん。俺は会ったことないけど、スゴかったらしいな」

「煮詰まっていたブラックホールエンジン開発を完成させたのはアノ人らしいぞ」

「反霊子を実用化させたのも、アノ人だっけ?」

「クローン転生の長ったらしい名前のシステムを作ったのも、アノ人だった気がする」

「あくまでも噂だけど、アノ人がQPじゃなくGECRI-Ⅱに来ていたら、GBUシステムは20年前には完成できたんじゃないかって」

「スゴイ人なんだけど、誰も名前を覚えてないっていう」

「どんな発明をしてもISCOの業績にされちゃうからだろ。個人名が出ないんじゃ、仕方ないよ」

「魔女と呼ばれた『ナディヤ・カザンスカ博士』を崇拝してたから、陰で『魔法使い』と呼ばれてたらしいぞ」

「時代が時代だったら『魔法使い』として、後世に名を残したのかね?」


 後日、発注したブラックホールエンジンの進捗確認と仕様打ち合わせのために「錬金術研究所」の所長がGECRI-Ⅱを訪れた。

 身長は193cmで筋骨隆々、日焼けした浅黒い肌の若者は、おおよそ科学者には見えない。

「はじめまして。ボクは『錬金術研究所』の代表を務めさせてもらっている『アレックス・カインシュタイン(Alex Keinstein)』です」

 アレックス・カインシュタイン。クローン転生したため若者の姿ではあるが、魂は90過ぎの老人である。以前の名前は「カイン・マクスウェル」といい、QPの元所長であった。




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