クローン法
2448年2月。ISCOは「クローン法(Cloning Law)」を理事会、評議会での可決により制定した。公布は2448年7月とし、施行を2449年1月とした。
これは「国際宇宙条約(International Space Treaty)」(2446年制定、2447年公布、2452年施行)と比べると、異常とも言えるほどのスピードでの施行だ。クローン法は「Gravity Ghost Gear計画」を円滑に進めるため、超大国主導で法案化されている。しかしクローン法は、誰の目から見ても超大国によるエクセル・バイオへの締め付けの意味合いが大きいと感じられた。
クローン法(Cloning Law)
第1条 クローンの定義と規定
1. 「クローン」とは、素体の細胞を胚生成クローニング(Embryo Cloning)により形成、体外培養カプセル内で発育させ、成熟した個体であり、かつ転生前の魂の無い個体を指す。
2. 「胚生成クローニングにより形成された胚をヒトの母体(子宮)にて出産させた場合、産まれた個体は『クローン』の定義から外される。
3. 「魂」とは科学的に証明されている「幽子」と「霊子」が活性化している状態を指す。
4. 「魂」のない「クローン」は人間としての権利を有さず、倫理的・法的な規定は別途定められる。
第2条 クローンの制限
1. クローンの製造および使用は、倫理的および法的に厳格な規制の下で行われなければならない。
2. クローンの製造および使用は、人間の尊厳と人権の尊重、個人の自由とプライバシーの保護、および公共の安全を確保するために、適切な監督および規制機関により監督される必要がある。
3. クローンの製造および使用は、全て記録され、管理および保管し、厳重に管理されなければならない。
第3条 クローンへの転生
1. 自己のクローンに対する転生措置は認められる。
2. クローンへの転生には、特殊な装置による魂の転送が必要であり、転生されるクローンは成人体でなければならない。
3. クローンへの転生は、特殊な手続きと厳格な規制の下で行われなければならない。
4. クローンへの転生は、全て記録、管理し身分証明と共に記載されなければならない。
第4条 他人のクローンへの転生
1. 他人のクローンへの転生措置は認められない。
2. ただし霊媒体質者のクローン(万能憑依型クローン)に対する転生は一時的なものに限り認められる。
3. 霊媒体質者のクローンを「万能憑依型クローン」と呼ぶ。
4. 万能憑依型クローンの製造および使用は、適切な監督および規制機関によって監督されなければならない。
5. 万能憑依型クローンへの一時転生は、全て記録され、管理および保管されなければならない。
第5条 クローンに関する倫理的・法的責任
1. クローンの生命や権利に対する責任は、法的および倫理的な規定に基づいて厳格に管理される。
2. 素体が死亡、または権利を喪失した場合、速やかにクローンを抹消しなければならない。
3. 素体を失ったクローンの二次利用を禁ずる。ただし適切な監督および規制機関によって認められた場合に限り、二次利用することが出来る。
第6条 転生の制限
1. 未成年体のクローンへの転生は禁止であり、成体でなければ転生は認められない。
2. クローンへの転生の回数に制限はない。
3. 無許可でのクローン転生を禁ずる。
第7条 罰則
1. クローン法に違反した場合、適切な罰則が適用される。これには、罰金、刑務所の刑罰、およびその他の法的制裁が含まれる。