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永遠の輝き団(2)

《俺が知っていることを全部話すよ。『永遠の輝き団(Hermetic Order of Eternal Radiance)』が結成されたのは22世紀後半ぐらいの話だ。西洋魔術を基本とし、永遠の命を求めるために「超心理学」「スピリチュアル学」「古代伝承」「東洋魔術」「アフリカ呪術」など様々な分野の研究者、哲学者、科学者、魔術師などの知識人から構成された秘密結社だ》

《エクセル・バイオの設立は2203年ですから、初代の頃に接触があっても不思議じゃありませんね。我が社のデータベースの『永遠の輝き団』が、不老不死の研究をする秘密結社として残っているのも納得できます》

《そして『永遠の輝き団』に転機が訪れたのは2230年頃のことだ。永遠の命を得る魔術が完成して、実験が成功したんだよ。実験に関わった全員死んだけど・・・な》

《え!?どういうことですか!?永遠の命を得たのに、全員死んだのですか!?》

 リリーが疑問に思うのも当然だ。矛盾している。

《当時はまだ『肉体の死』が死ぬことだ。永遠の命を得たのは『魂』の方だったんだよ。全員の魂が一つになることで、永遠の命を得たということだ。死霊となって・・・な》

《死霊とは・・・まるでファンタジー世界の『リッチ(lich=死者の王)』じゃないか・・・》

《ゼーさんから『ファンタジー』なんて言葉を聞くとは思いませんでしたね》

《洋子は腐女子だったんだよ。アイツの黒歴史で私は出来ているようなモンだから》

 ゼーは佐藤洋子の二重人格である。二重人格は解離性同一性障害とも呼ばれるが、切り離した感情や記憶が成長して別の人格となるのだ。黒歴史が表面化するのも無理はない。

《俺から言わせれば『化け物』か『怪物』だけどな。永遠の命を得る魔術がヤツを生んだんだ。裏社会だけじゃなく、表社会の国家でさえもヤツを恐れた。連中は躍起になって、ヤツを倒そうとした。国家は特殊部隊も投入した・・・が、全員返り討ちにされた。その頃からヤツは『フェノーメノ・モンストローゾ(Fenômeno Monstruoso=怪物の仕業)』と呼ばれるようになったんだ》

《では『永遠の輝き団』が暗殺組織になったのは・・・》

《並み居る暗殺組織が怪物に滅亡させられていくうちに、逆に『永遠の輝き団』が暗殺組織のトップに立ったということだ》

《・・・そういうことでしたか》

《それにしても、グレイだっけか。随分と『永遠の輝き団』のことについて詳しいんだな。まるで結成当時から団員だったような口ぶりだったぜ》

 ゼーが発した意見は、ヴィクトールら全員が感じたことだった。

《俺は・・・誰だ?これは誰の・・・記憶・・・?》

「それは、私の記憶だな」

 ヴィクトールたちがいる「冒険者」の更衣室に、ゼーと同じ容姿の佐藤洋子のクローンの「ホムンクルス」がもう一人入ってきた。4人が訝しがる。佐藤洋子のホムンクルスを常用しているのは、この更衣室にいるヴィクトール、ユリとリリー、ゼー以外にはいないはずだ。では5人目の人物はいったい・・・誰だ?4人の疑問にヴィクトールが口にしたのは。

「あなたは・・・フェノーメノ・モンストローゾ?」

「ご名答」




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