真面目な僕とギャルになった幼馴染
皆さんならどうしますか?
「ヒデちゃん、オーストラリアに行っても、ちゃんと連絡してね!」
空港まで見送りに来てくれたのは僕の一つ年下の幼馴染で彼女の飯村志乃。
僕と同じ大学の、一年生。黒髪で野暮ったい眼鏡、長い前髪、大人しい性格の地味な女の子。
だけど、顔も整っており、なにより僕の事を慕ってくれている。
「ああ。定期的にテレビ電話するから。元気でな!」
志乃に挨拶したのは、俺、忠野英雄。大学二年生。
地味さ加減で言えば、志乃にも負けない。平凡な大学生だ。
今から僕はオーストラリアに半年留学する。
高校、大学と、英語を学んできたが日常会話程度しか話せない。
もっとちゃんと話せるようになれば、就職にも有利だろうと考え留学を決意した。
志乃と僕が付き合い始めたのは、僕の高校の卒業式の日だった。
高校では志乃は目立たず、誰かに告白されるようなこともなかったが、元の顔が良いため僕が大学に入ってからが心配だった。
僕はずっと、大人しくて素直な志乃の事が好きだったから。
思い切って卒業式に告白したら即OKをもらえた。
嬉しかった。志乃も喜んでくれた。
そして志乃も僕と同じ大学を受験し、見事合格した。
しばらくは志乃と大学生活を楽しんだが、僕はどうしても留学したくて志乃に相談した。
「ヒデちゃんが行きたいんだったら、行った方が良いと思う。」
「半年間だけど、いいかな?」
「寂しいけど、ヒデちゃんの将来の事も考えたら行った方が良いよ。」
「ごめんな、志乃。ありがとう!」
こうして今日僕は出発する。
オーストラリアに着いて一週間は凄く緊張して会話もままならなかった。
二週間を過ぎたあたりから少しずつ周りとコミュニケーションをとることが出来るようになった。
そして今日は志乃とテレビ電話する日だ。
「そっちはどう?周りの人たちと会話できてる?」
「最初は怖かったけど、今は大分話せるようになったよ。」
「そう、楽しい?」
「そうだね、まだちょっと緊張するけど、楽しくなってきたかも。」
「応援してるよ。頑張ってね!」
こちらに来て一ヶ月経った。
友達も出来、授業にも問題なくついて行けるようになった。
今日は志乃とのテレビ電話の日だ。
「ヒデちゃん!元気?」
「あれ?メガネは?」
「あぁ、コンタクトにしたの!どう?似合ってる?」
「あ、あぁ、似合ってる…。けど、どうして急に?」
「ん?ヒデちゃんに可愛いって思ってもらいたくて。」
「ああ…。か、可愛いよ。似合ってる。」
「ふふっ。ありがとう!ヒデちゃん!」
二ヶ月経った。
こちらの生活が楽しくなってきた。
今日は志乃とのテレビ電話の日だ。
「久し振り!ヒデちゃん!」
「えっ?志乃?…髪染めたの?」
「うん!どうかな?似合うかな?」
「随分明るめな茶色だね?」
「そう!友達がこれぐらいが似合うって!私地味だったから。」
「えぇ…。僕は前の方が良かったと思うけど…。」
「えー?!皆似合うって言ってくれたのに!」
「皆って誰?」
「一月前位から仲良くなった子だよ!」
「俺の知ってる子?」
「ううん、知らない子だよ。」
「そう。ねぇ、僕は黒髪の方が良かった。戻してくれない?」
「えー、ただのオシャレだよ?」
「そうだけどさ…。」
「じゃあ、またね!」
三ヶ月経った。
今日は志乃とテレビ電話の日だ。
「ヒデちゃん!元気~?!」
「えっ?志乃ピアス開けたの?」
「うん!似合うでしょ?」
「…………志乃派手じゃない?友達の影響?」
「うーん、そうだね。ヒデちゃんいなくて寂しかった私と友達になってくれたの!」
「女の子だよね?」
「女の子もいるよ!」
「もって、男もいるの?」
「うん、今一緒に遊んでる友達の中には男の子もいるよ?」
「念のために聞くけど、浮気とかしてないよね?」
「してないよ!私の事信じてないの?」
「そういうワケじゃないけど…。」
「じゃあ、またね!」
四ヶ月経った。
今日は志乃とのテレビ電話の日だ。
「ヒデちゃん、おひさ~!」
「…うん、久しぶり。また髪色明るくなった?」
「そうだよ!気付いてくれて嬉しい!」
「もう金髪じゃん…。」
「今までが地味すぎたんだよ!これぐらいで丁度いいってみんなが!」
「僕は黒髪の方が良かったな…。」
「そう?でも可愛くなったでしょ?」
「…そうかなあ?」
「ヒデちゃんが帰ってくるまでにもっと可愛くなっとくからね!」
「…うん。」
五ヶ月経った。
今日は志乃とテレビ電話の日だ。
「ヒデちゃん!元気~?!」
「あ、あぁ、元気だけど、志乃、その服露出多すぎない?」
「え?普通だよ?可愛いでしょ?」
「うーん、あんまり僕の好みじゃないけど…。」
「こういうのドキドキするんでしょ?」
「まぁ、そうかもだけど、その格好で大学行ってるの?」
「うん、そうだよ?友達も似たような感じだから大丈夫!」
「えぇ…。大丈夫かな…………。」
「あっ、今行くよ!じゃあね!ヒデちゃん!」
「あ!志乃?」
そして六ヶ月経った。
オーストラリアの友人たちに別れを告げ、日本に帰ってきた。
志乃が迎えに来ていた。
「やっほ!久しぶり!ヒデちゃん、元気してた?」
「…………あぁ、元気だけど…………。」
「どしたの?帰ろうよ。」
「何かまた派手になってない?」
「可愛いでしょ?」
「僕は以前の志乃の方が好きだった。」
「うそでしょ?あんな地味だったのに?」
「ホントだよ。今の志乃はあんまり好きじゃない。」
「わ、わかったよ!髪も染め直すし、ピアスも外すよ。それでいいでしょ?」
「…………とにかく、帰ろう。」
僕のアパートに着き、荷解きを始める。
アパートの掃除は母さんがやってくれてたみたいだ。
綺麗なままだった。
二人で荷解きをしていると、
「ヒデちゃん、今日泊まってってもいい?」
「え?泊まる?」
「うん、いいでしょ?私達大学生なんだし。」
「え、けど…………。」
「大丈夫!いっぱい練習したから!」
「練習?何の?」
「言わせないでよ~。もちろん、エッチの。」
「…………は?」
「大学生にもなって処女は恥ずかしいんでしょ?初めては痛いだけだから、ヒデちゃんとする前にちゃんと練習しといたよ!」
「えっ?冗談?何?」
「え?だからエッチの練習…。」
「…………それ、浮気だってわかってんの?」
「浮気じゃないよ!練習だもの。」
「騙されてるよってか、普通騙されないよ、そんなんで。」
「何言ってるの?」
「ホントにわかってないの?志乃はただ性欲処理に使われただけだよ?」
「えっ?性欲処理…………?」
「そんなにバカだったっけ?志乃って。」
「えっ?ひどいよ、バカじゃないよ?」
「バカだろ。そんな適当なこと言われて信じたの?」
「えっ?適当じゃないよ、みんないい人たちだよ?」
「エッチの練習なんてあるワケないだろ!!」
「…だって、みんなやってるって…………。」
「その友達とやらはやってるかもしれないけど、普通はしないよ。」
「…………うそ…………。えっ?ヒデちゃん、わたし」
「志乃がこんなバカだと思わなかったよ。幻滅した。」
「待って!ごめんなさい!別れないで!浮気だと思ってなかったの!」
「…………。」
「お願い!私が好きなのはヒデちゃんだけなの!別れたくない!」
「…………。」
「ねぇ!もうこんなことしないから!ね?お願い!」
「…………。」
「もうあの人たちとは関わらない!私にはヒデちゃんだけだから!」
「…………信じられるわけないよ。」
「お願い!ヒデちゃんと別れるなんてヤダよ!」
「…………僕は今の志乃とは付き合いたくないよ。」
「ねぇ、どうしたら別れないでいてくれる?」
「…………さあ?」
「私何でもするから!ねえ!お願い!」
「じゃあ、検査してきてよ。そんな連中と付き合ってたんなら、性病怖いでしょ?」
「性病?そ、そうなの?」
「そうだよ。その人たち誰としてるかわかんないでしょ?」
「そうなの?…………わかった、今度病院行ってくる。そうしたら別れない?」
「もし病気になってたらちゃんと治してね。それからだよ。」
「わかった!もうヒデちゃん以外の人とはしないよ!」
「じゃあ、今日は泊っていっていいよ。そういう事は病院行ってからね。」
「うん!私頑張るから!あ、ご飯も作るよ!」
そう言って志乃はキッチンへ向かった。
だったらせいぜい練習させてもらおうじゃないか、クソ〇ッチ。
最後までお読み頂きありがとうございました。