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作者: 琴石ここ



ねむい

ねむくてたまらないというほどでもないけれど

このまま目をつむって寝てしまえたら

それはきっと幸せだろうなと思うほどにはねむい


クジラが海水を吸い込んで食事をするように

たった数十億分の1の私は

どんどん世界へ吸い込まれていく


私はプランクトンで

このままねむってしまうことができたら

海が私の世界になるのだろうか


それともクジラの体内の臓器の細胞の

たったたったひとつとして

広大な海原を堪能できるのだろうか



ねむい

ああやっぱりねむすぎるのかもしれない

少し瞼を開けるのが億劫になっているくらい


このまま手を広げて足を投げ出して眠ったのなら

青く広がる草原や光る波の間を通り抜ける

風の中にほんの一時でもいられるだろうか


わたしは大きな白い鳥になって

このまま飛んでねむって飛んでねむって

そうやって夢の中を渡っていって


あるいは風の中の花弁になって

遠く遠く飛んでいって

世界中を駆け抜けられるだろうか



ねむい

そろそろ瞼が上がらなくなってきた

私の手足のはずなのに遠く遠くに感じるんだ


海でも風でもない私のかたちが床に溶けていって

家になって道になって街になって

月や星の光を眺めることができるだろうか


もっと溶けて溶けて染み込んでいって

大きくなって重くなって星になって

宇宙の月や星に会いにいけるだろうか


海になって風になって星になって

私は世界と一緒になって

夢の中を漂っていく




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