第3話:将来はひろゆき!?煽り小学生タケ
「タケー! ふざけんな!」
女の子らしくない叫びをしてしまった。
新聞に寄稿してからというもの
私がニュースになったりYoutubeが炎上したり・・・
ということはなくなった。
実は新聞の寄稿もタケの提案だった。本当に賢い奴。
そんなこんなでタケとケンカするような日常も取り戻してきたのだ。
よかったよかった。
・・・いや、良くない。
いくら何でもこのイタズラはやり過ぎだ。コンセントから伸びた二本の導線――
私は感電させられたのだ。
タケがやたらと触らせがっている時点で気付くべきだった。
私はそれらを握った瞬間、低く唸った。
「ぜってー許さねえ!」
私はクローゼットを開け、タケを捕まえた。
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
泣きながらタケが叫んでいる。だが、こんなウソ泣きに騙される私ではない。
「お前、やって良いことと悪いことがあるだろう。なあ?」
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
「お姉ちゃんが死んじゃったらどうするの!あんた!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
「さっきからそれしか言わないけど、ほんとにそう思ってんの!?」
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
今考えると、これはタケの得意技
<相手が冷静になるまでひたすら謝り続ける作戦>だ。
人はカッとなっているとき冷静な判断ができない。
そんな奴に下手な受け答えをすると酷いことをされるかもしれない。
だがいくらカッとなっていても
泣きながら謝っている相手には攻撃できない。人間として。
それを逆手に取っているのだ。
相手がカッとなっているときはひたすら謝り、落ち着いてきたら言い訳を始める。
奴の常套手段だ。
なんとタチが悪い!
私は奴の手口に乗り、
落ち着いてきたところで尋問を始めたのだった。
「流石にこのイタズラは危ないでしょ? やめてよ」
「大丈夫だよ。
回路にはヒューズを付けたから後遺症が残るレベルの電流は流れない。
感電してもすぐ放したでしょ? ほんとにヤバかったら放すこともままならないからね」
先ほどとは打って変わってスンと答えている。
本当に性格が悪い。
口喧嘩には負けたけど、人間としては大勝利ね。