表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呂布奉先、ローマを治める  作者: ヲヲクラゲ
4/27

第四話 呂布奉先、ローマを治める <序>

 辺りはすでに夕暮れの色に包まれつつある。


 ふいに。


 「伯よ」と、父は静かに声をかけた。


 呼ばれて伯は向き直る。


 父の目は伯の顔をじっと見ていた。沈む夕日の斜光が眉間の皺をさらに深いものにしている。


 「剣では常に勝るか」短く父は問うた。


 「…」


 伯は答えない。

 

 確かに剣において、というよりも剣においてのみ自分はラクレスより技量が上達したのであろう。


 しかしそれとて木剣での話だ。真剣になれば、また別である。


 そのうえ、槍、弓、馬上においての全ての動作で自分はラクレスの足下にも及ばない。


 何よりも自分に剣の振り方を教えてくれたのはラクレスである。


 「呂大夫様」木剣を地に置き拝礼しながら答えたのはラクレスだった。


 「伯様の剣は常にそれより勝ります」


 呂大夫はしばらくの間をおいて伯に言った。


 「精進したようだな」


 伯はその言葉に微かな悲しみの響きがあるのを感じた。


 怒るにしても褒めるにしても豪快な人である。いつもとは違う父の物言いが気になった。


 呂大夫はそれだけ言うと中庭から立ち去ろうときびすを返した。


 「父上」


 なぜか伯は無性に不安になり呼び止めた。


 振り向いた呂大夫は「一週間後、儂の部屋に来い」とだけ言った。



ブログはじめました。全作品・最新作を読みやすくまとめています。


ブログ「ヲヲクラゲを救って」https://wowokurage.com/

もし良かったらご覧頂ければとても嬉しいです!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ