01 ノンフィクション
物語の前の事前知識編
○宇宙計画
バイオスフィア2と言う実験が存在した。
アメリカ合衆国アリゾナ州オラクルに建設された、巨大な密閉空間の中の人工生態系である。
第1回は1991年9月26日から1993年9月26日まで、その後第2回は1994年に6か月間一時的に行われた。
計画が断念された背景には、施設内の温暖化に歯止めがかからなかった事とされている。
これは、地球の生態系をバイオスフィア1とし、それを温室状の限られた密閉空間で再現しようと試みた実験である。
この試みは将来的にスペースコロニーや宇宙基地などの生体系循環に役立つと思われている。
人類の有人宇宙進出は、1961年ガガーリンの有人宇宙飛行に始まる。
1969年のアポロ11。
1971年からの宇宙ステーションサリュートからミール。
1998年国際宇宙ステーションに、2024年から始まるアルテミス計画かへと至る。
米国では、これらと平行して無人機による火星探査が行われ、火星の惑星改造や移住計画が考えられている。
1997年に火星に到着したマーズ・パスファインダーが地表の状況を詳しく調べた。
再び始まる月への有人飛行と、火星移住計画。
更に2020年9月18日には、何度も月探査を行った中国までも、有人月面飛行計画を表明している。
現状で、地球の人口は百億に近付き、SFでも増えすぎた人口問題を解決する為に、宇宙移民が考えられている。
ここで、先のバイオスフィア2と宇宙開発が結び付いてくる訳だ。
さて、人類の宇宙計画は、未知の宇宙への挑戦か?人口問題を解決する為か?
それとも?
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○大きな歴史
約6600万年前
直径約10〜15キロメートルの小惑星が地球に衝突した為に、恐竜など多くの生物が死滅したと言われている。
地球全体では全生物の70%が死滅したと予想される。
西暦1503年
この年に生まれたミシェル・ノストラダムスは、ルネサンス期フランスの医師、占星術師など多彩な才能を持つ人物だった。
予言者として、多くの詩を残した彼が、最も有名になったのが、以下の予言だ。
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1999年7の月、
空から恐怖の大王が来るだろう、
アンゴルモアの大王を蘇らせ、
マルスの前後に首尾よく支配するために。
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1910年5月
前年から観測されていたハレー彗星が地球軌道の近くを通り、地球が彗星の尾に入った。
当時は、彗星の放つガスで大気が汚染されると言う噂が飛び交い、空気の入ったチューブを買う人や自殺する人が増えた。
1999年5月
最大径7キロメートルの小惑星『1999 JM8』が発見される。
発見直後の7月から8月に撮影が行われた。
この小惑星は、地球に衝突する可能性を秘めていて、最接近は2075年で地球に383万キロメール〔月と地球間の十倍の距離〕まで接近すると予測されている。
金星から火星軌道までの広い範囲に点在する小惑星集団のアポロ群に属する。
アポロ群の軌道傾斜角は13.8°で、地球との接触する機会は多い。
2061年7月28日
ハレー彗星が内惑星系に接近する。
軌道傾斜角162°のハレー彗星は地球との差が18度しか差がなく、先のアポロ群とは5度の差しかない。
ハレー彗星と幅の広いアポロ群小惑星の接触は可能性が大きい。
〔軌道傾斜角/地球の公転面を基準にした、他の天体の公転面との差を表した角度。90度を越えると逆転となる。〕
2075年
『1999 JM8』が地球に最接近する・・・・見込み。