祝宴のはじまり②
推敲してません
洗濯場に行くのは初めてだ。
私はレガに言って手ぶらよりは手伝いをしているように見せるのがいい。と
告げて、今は数枚のシーツを腕に抱えて歩く。
その横には、もちろんのこと大量の洗濯物を籠で持ってあるくレガがいる。
何でも係から奪い取ってきたらしい。
今日も当番の内、一人は真面目な女性で洗濯物を渡すことを断固拒否された。
家の内部はレガとマルケル以外、味方がいないと思っていたけれど、そうでもなさそうだ。
「こちらです」
オネイロス側の十字路を右に曲がる。
この十字路に、私は何も感じない。
「少し斜面が傾いていますので、お気を付け下さい」
坂を下り終わると、また十字路がある。
「あんまり説明受けたくないんだけど」
「はい、説明させて頂きます。右手が家の正門へ、真正面がメイオールの別邸、
左手が洗い場です」
「はい……」
左に曲がるが誰にも会わない。こんなもんかなあ、と思いつつレガに聞く。
「こっちは誰も来ないの?」
質問にレガは顔を渋くする。元々無表情が多いし、ちょっとは笑ってほしい。
なんて思う。
「来ますよ、騎士団のお花畑が。いえ、花に失礼ですね。脳がない人が来ます」
「はい……」
「洗い場の井戸がある場所は、ちょうど騎士団寮の真下なのです」
なるほどナルホド。何となくわかったぞ。メイオールの色欲狂い。
それに追従する使用人たち。出会いは、この洗い場だ。
「使用人は騎士団の洗濯物をする」
これは洗い場に彼らの服やらが置いてある。己で洗濯する団員もいるだろうけれども、基本は使用人に任せているはずで洗い終わった洗濯物は彼らが回収する。
「あちらです」
洗い場の奥には干し場が見える。両端に二メートルほどの細い丸太が立ち、
足下は地に埋め込み、倒れないよう大きな石が支える為に置かれていた。
丸太の先端が分かれており、そこに両端を繋ぐ細い丸太がある。
干し場の丸太を数えると五組で手前二つに何かを引っかける細工があった。
井戸の前で洗濯物を置いて見に行くと、何かを吊す為の細工に見える。
「それは服を吊す、フックという金具です。それに衣服を、例えば一番右のフックから服の大きさに合わせて四番目のフックに服をかけます」
「おお」
見てこなかったが使用人たちの服を見ると首元に二つの輪がある。
「直接丸太に干すと一日で乾ききれませんから。風通しを良くする為に作られたと聞きます。下街だと家々の間に紐の輪を通して袖から袖に紐を通らせて干すのですが、ここでは違うのです」
ついで、団員の服を見ると使用人服と同じで首元に輪が二つある。
「奥は?」
「主にシーツを干す場になります」
なるほど、と手を打っているとガヤガヤと上から声がした。
レガの隣に戻り、お馬鹿な振りをしようとしたらレガはシーツで私を覆い、隣に丸め込む。私は洗濯物です。
「あれえ、珍しいなあ。レガさんだ」
若い声にレガが「チッ」と舌打ちしたのが聞こえた。この頃、レガが怖い。
諭すルルヤがいなくなり、さらにルルヤの言いつけも護らなくてもいいという状況はレガの本質を露わにする丁度よかったのかもしれない。
楽だもんね、と思っていると声の主が嬉しそうにレガを口説く。
「俺のこと覚えてる? 一回しか会ってないけどさあ」
「申し訳ございません……最近は家での仕事が増えてしまって」
「ハハッ、いいよ。でさあ、洗濯終わったらお部屋いかない?」
お部屋? お部屋ってなんだ。いやいや、ここは使用人と団員の出会いの場だ。彼は誘っているんだ、メイオールの屋敷に。
「いえ、今日は一人ですので、この量だと」
「えーいいじゃん、いいじゃん。殆ど俺らのモノだし、なんならソッチの手伝うよ? そしたら干してー部屋行ってーこっち戻って回収! どう?」
いい計画でしょ? みたいな口調だが軽すぎて気持ち悪い。
そこんとこレガは正直だから彼を張り倒したいのを我慢しているはず。
男の声に何人か、居ても彼を含めて三人ぐらいか。
洗濯係は二人、そんで男は三人、メイオールの屋敷には彼女か使用人か、誰かはいるはずだ。おええ。
シーツの中で無心でいることにした。レガなら、どうにか切り抜けるだろう。
「先日より神への奉仕がメイオール様より言いつけられておりまして、尊きお方がお休みになられている内に来ましたので、お誘いは」
レガは淡々と返す。
「……じゃあさ、洗濯ついでにレガさんの服も洗濯しない?」
なんか隣から、とてつもない殺気がする。なんで、この団員は生き急いでいるんだ。コイツの脳ないな。
へらへらと男共が揶揄の言葉をレガにかける。
そういえば今日のレガさんは美しい太ももにナイフ仕込んでるんですよ、知ってますか。
カチャリという音が聞こえて、流石に不味いと私はシーツごと手を伸ばして、レガの足に触れる。
「何をしている」
私と触れると同時に、凜とした声が響いた。
「あっ、ハ、ハルナさん」
男が気まずそうに名前を呼ぶ。この声がハルナ。こちらから会いに行く予定が繰り上がる。
「お前たちも洗濯か? なら、そちらの使用人を手伝うといい。私も女騎士たちの洗濯だしな、丁度いいだろう」
冷たさがアホ団員を包み上げて萎縮させているだろう。
彼らの声が聞こえない。
「お初にお目にかかります、わたくし、レガ・ガル・センシスと申します」
「そうか、レガ。神への奉仕、ご苦労である」
ハルナは騎士見習いに降格したってことは元々の地位は高いはず、ならば、この諫める口調もわかる。そして男らを威圧させるのも。
「それで、お前たちは何用で、この場に居る」
「お、俺たち、ま、間違って洗濯物出してしまいまして、取りに来たんです」
「そうか」
ザッと坂を下りる音がする。それは重く、しっかりとした足取りで男共に近づく。男たちは、自分が出した衣類を取り出したのか「これで」と言い、ドカドカと足音をたてて帰って行く。
あんなんで騎士団員なのか、まあ、不埒なことが目当てな奴らだし弱いんだろうな。
「……レガ、隣に包まっている者は誰だ」
え、なんでバレたの?
「誰、とは」
「しっかりと布を巻き付けているからだ。呼吸でシーツが動いている」
「……」
流石、ルルヤの家族だ。会って数秒でバレるなんて、あの男共にはバレなかったというに。こんな大きさなら彼女はわかるはずだ。下手な言い訳をレガにさせるより、私を覆うシーツを払うと立ち上がる。
陽光の中、ハルナという女性は男性に見えた。それほどに顔は整い、髪を短くしている。しかし体の線は女性特有でありながら細身の男性にも見えた。
切れ長の瞳は、私を見て細められる。
「初めまして、ハルナ」
彼女の声に負けない為に声を張り上げた。
「……神」
「ええ、そうです。その慧眼、お見それしました。私は、あなたに会いに、ここまで来ました。本当は、そちらまで出向くつもりだったのですが」
ハルナは早走りで、こちらに来ると洗濯物を置いて私の前で跪く。
「ご命令を」
それに私もレガも言葉をなくす。
「このハルナ・ホル・マティス、お待ちしておりました」
「ハル、ナ」
「祖父ルルヤ・ホル・マティスより事を伺っております。そして、機会を窺い、マティス家傘下騎士一同、準備はできております」
目を見張る。私は、私の想像よりも大きく広がっていたのだ。
そしてマティス家、ハルナ自ら洗濯場に訪れる不思議も消える。
「ハルナ、私は貴女に失礼なことをしたわ、顔を上げて」
美しい相貌が私を射抜く。
「私は騎士団に対して賢者シルウァヌスが団長であることで、全てが敵と思い、行動をしてた。ルルヤの孫娘である、あなたがいるのに……ごめんなさい」
ハルナは首を振る。
「詮無きこと。私を含む騎士団員は、余程の限り家に赴くことはできません。まだ警備役が続いていれば、早く貴女様の元へ行けました」
険しい顔をするハルナは続ける。
「マティス家傘下騎士、五十名。各階級に十五名、残り五名は見習いとして待ち設けております」
「……ハルナ、私はあなたの声が聞きたい」
その言葉にハルナの表情が、ぴくりと動く。レガと同じく無表情であるけれど熱を持つ顔付きは、ただの騎士だ。
ハルナが息をするのを見る。
「わたしは、祖父のことを信じております。しかし……神」
「私は私だから、神と呼ばなくていい」
「……この日まで焦慮に駆られていました」
「うん」
ハルナは私の両手を掴んで額に押しつけた。
「祖父のこと、賢者のこと、貴女様のこと、祖父は世界が大きく動く、貴女様がわたしを頼るまで現状の維持を続けろ、と。堪え、懸命に仲間を鼓舞しつづけ、くるし、かったです」
手先が熱い。たった数日でも若い彼女には頼るべき人がおらず、疑いを晴らしてくれる人もいない。疑心暗鬼で潰されそうな日々を耐え抜いてくれた。
「ありがとう、ハルナ。こうやってあなたを迎えられるのは偶然じゃないよ」
たまたま、ここにハルナが来たのは偶然じゃない。
力を無くしていた彼女の手を包み、ゆっくりと離して抱きしめる。
「あ……」
「ハルナ、ありがとう」
「……っ」
背に回る手は、少し強く、彼女の苦しさを体現していた。
「もう大丈夫、大丈夫だよ、ハルナ」
震える体を抱きしめる。肩に埋もれる頭を何度も撫でる。
「ハルナ」
「うっ、ううっ、怖かった、怖かった」
私は恵まれていた。こんなにも信じてくれる、心を寄せてくれる人がいるなんて、きっと人間の生涯のうちに、どれだけあるだろう。
日差しは温かい。この世界で優しく生きるには辛すぎた。
耐えて耐えて、耐え続けてくれたハルナと騎士たちに感謝をしなければならない。そして、これからのことも、この先、私が命を奪おう。
傘下にある団員に会うには難しすぎる。
だが、ハルナの一言で、その顔で騎士たちは信じてくれるだろう。
私は確信していた。
「レガ」
ハルナを抱きしめながら、同じ面持ちの彼女に声をかける。
「はい」
「今まで起こったことをハルナに話す。洗濯物、多いけど任していい?」
レガはスカートを持ち上げて答えてくれた。
涙が止まったハルナの頬を撫でる。
「これから話すことは信じられないことかもしれない。でもハルナたちが居れば私は必ず、この国を変える。変えれなかったら……」
「いいえ、祖父もわたしも貴女様に」
首を振る。
「私と一緒に死になさい」
ハルナは微笑んだ。
意外な収穫に、私の心の嵐は少しだけ収まる。
そうして、説得しないと、と思っていたことの現実味がおびてきた。
人目につかないように私とハルナは干し場の奥の木々に隠れて話す。
真実を知らされた彼女は、わなわなと震え、堪え、大きく息を吸う。
今にも駆け出したいだろう、問い詰めたいだろう、剣を、振るいたいだろう。
「……祖父は、使徒の、ことを」
私は首を振る。長年、家に勤めていたルルヤが使徒のことを知らないなど、ありえない。それはハルナに疑念を抱かせていることだろう。
「必ずルルヤは戻ってくる。そうでしょ?」
こくり、と彼女は頷く。
「では、明日、その計画を実行するのですか」
「うん、シルウァヌスが自分の傘下騎士を警備として動かすとは思えない。もし動かしたとして、その対処はマティス家傘下の騎士に抑えてもらう。最悪は死人がでる」
「覚悟しております」
ハルナの目は熱が入り、光りで煌めいていた。
早く、彼女に会うことができていればと悔やむが、そればかりはどうしようもないことだ。今は確実に計画を遂行しなければ。
私が大きく息を吸うとハルナは、くすりと笑う。
「おじいさまが言われた通りです」
「なにが?」
「貴女様は誠実で慧眼、そして聡明、なによりこの国では忘れ去られた愛をお持ちです。ハルナは、おじいさまの言葉でなく貴女様に仕えます」
騎士は私の手を取り、安心したように笑う。
「……うう、そ、そうだ、ハルナ! 早く洗濯しよ! 私やったことないからさ! 教えてもらえると嬉しい!」
「洗濯なら、わたくしがお教えできますが」
「レガ!」
ハルナの顔を見ているとケーレスと違う格好良さとか、恥ずかしくなって私は逃げるし、なんかレガは余計なことを言うし、
「いいや、レガ。わたしも物心つく頃から騎士団員、洗濯はなれているよ」
「それはそれは、しかし下働きの使用人の仕事です。どうぞ騎士様はお休みになって下さい」
「……」
「……」
「わあ! 泡が一杯でるなあ!」
二人に挟まれながら、見様見真似で人生初の洗濯を体験したのに生きた心地がしなかったのは、何故? 洗濯しているだけなのに。
頭の上で、あーだこーだしている内に、どれだけ早く洗濯ができるとか、争い始めたので「私のこと好きになってくれたんだ、わーい」とだけ思っておこう。
ガサッと音がした。
レガが私の背を護り、ハルナが音が鳴った方に体を向ける。
「あ、ああ、メルイか……脅かしてくれるな。ご紹介します」
茂みの中から現れたのは、私の銀髪より白乳色の髪、肩で切りそろえられ、第一印象は物腰が柔らかい、女性に人気そうな男性だ。顔に似合わず体格は、服の上からでもわかるくらい、しっかりしてそう。
「初めてお会いします。騎士団警護役を務めさせて頂いております、メルイ・クー・エルと申します。あの三人が戻ってきたあと、ハルナ様が戻られないのですから、エリンが私の元へ来たのです」
貴女を殺害しようと企むシルウァヌスの傘下がいるのですから、と付け加えて、私は驚く。
「ハルナは狙われているの!?」
「ハルナ様はルルヤ様の令孫。シルウァヌス殿はルルヤ様を毛嫌いされておりましたので……その令孫であられるハルナ様を殺害すれば騎士団は、本当の意味でシルウァヌス殿のものになりますから」
「メルイ! この方に何を聞かせる!」
確かに、ルルヤの出奔から始まった事態。シルウァヌスなら暗殺をしてもおかしくない。あれは激情家だから、すぐ手が出そうだもの。
「ありがとう、メルイ。教えてくれて。その暗殺の妨害ができてる?」
「はい、見習いの四人はハルナ様の護衛です。腕の立つハルナ様でも万が一ありましたら、マティス家傘下のエル家の名折れ」
そしてメルイは私を、じっと見る。微笑みの顔は貼り付けている所を見ると、彼はハルナのお目付役? なのだろうか。
瞳に揺蕩うのは疑念。彼はハルナを信じても私を信じない、訳がない!
私は立ち上がってメルイに手を伸ばす。
「初めまして、メルイ。私は元、神。詳細はハルナから聞いて。とりあえず、決定事項として明日の夜に死ぬかもしれない初めての命令を出します。あなたたちなら死ななそうだけれど、よろしくね」
にっこり、と笑いかけるとメルイの瞳から疑念が消えて欣喜が溢れ出す。
彼は一礼した。
「そうだ、忘れてた。ハルナ、今日の夜、私の部屋に来れる?」
私を見下ろしたハルナは「平気、ですが?」と疑問を口にする。
「顔合わせ。明日に向けて各方面の情報をまとめて宴が酒が程々に入った頃に、あの六人に鎖をつける。でも、弱すぎず強すぎず、利害が一致するように、ね」
三人共が「できるのか」と私を見る。
私は、うっそりと笑う。
「やるんだよ」
柔らかく瞳を細め、柔らかく口角を上げ、慈愛を湛える。
「このメルイが手配します」
「お願い」
「他のご命令は」
「ハルナ、マティス家の幅はわかった。それ以外、ソヨトの傘下を探して」
「承知致しました」
「……ハルナ」
指を口元に持っていく。確か、
「シルウァヌスの弟子がいるよね」
「はい」
「彼が、どれほどシルウァヌスに傾倒しているか調べて」
「はっ」
こんなもんかな、と背を伸ばす。
「……メルイ」
「はい」
彼は優秀だ。剣の腕も立つ、しかも騎士団階級の上流警護役。そこから導かれるのは一つ、彼がマティス家の傘下でありながらも、まだ警護役にいる理由。
「情報を掻き回せるか。そうだな……他の賢者が出し抜いて私腹を肥やしている、なんてどう?」
メルイは心から嬉しそうに笑う。
「まるで鳥の歌を聴いているようでございました」
あ、この人、レガ系だ。
「じゃあ、このまま、じっとしててもしょうがない。レガ、戻ろう。ハルナもメルイも気をつけてね」
ぱちくり、メルイは瞬いた後、通常の顔に戻る。腕の立つ二人に「気をつけて」なんて失礼だったかな。
うぐぐ、声にしたものの固まってしまう。
「……夜にも鳥の声が聴きたいのだけれど?」
ふっ、ふふふ、と笑い出したのは揶揄を使ったメルイだ。笑いのツボに入ったのか体を折り曲げて、近くの木に捉まる。
「あは、畏まりました。このメルイ、マティス家そして貴女様に仕えましょう」
メルイ、あの方に失礼だぞ、と言いながらハルナも微笑んでいた。
じゃれていたら洗濯物はレガによって干されて、仕事は終わる。
「二人とも、よろしくね」
手を上げて振った。二つの礼を見ていたら横にいたレガも二人に礼をしていた。ケンカ仲間にはならなかったようで安心。
「なんか、トントン拍子で、ちょっと怖いな」
「トントン拍子から嫌なことがあると思うのは、そのトントンが一番いいことで、その次に起こるのは、小さなことでも嫌な出来事であれば、トントン拍子の後は嫌なことが起こると言う俗信ですよ」
へえ、と返事をしながら歩く。
メイオールの屋敷に続く道まで来て「どれだけの出入りがあるんだろうね」とレガに聞いた。
「使用人側でしたら、わたくしが把握できます。できるだけ明日はあちらに行くように手配します」
「お願いします」
深々とお辞儀して笑い合う。
私にとって家は、とてもとても大きな場所だった。
今は小さい小さい、ごくごく普通の軟禁場所。もっと世界は広くて、国も広大、穀物を畑があり、野菜に水、騎士団の鎧を作る工房、生活の必需品数々、結構な職がある。
「無知は罪だよね」
ぽつりと呟く。罰はいつ下されるのだろう。
「何を言っているのですか、部屋に戻りますよ」
「はーい」
レガの後ろをついていく。今日も使用人の気配がない。
悩んでいるとレガは「メイオールの指示ではないと思いますよ」と声を小さくして耳打ちする。
そーやー広場に行く時はメイオールと一人の使用人、それくらい。それ以外はお留守番だ。
直前まで知らされないのかもしれない。あとは屋敷かなあ。
流石に強行した出立に、わーわーしててくれ。ケーレスが動きやすいだろう。
部屋に戻ってくると扉が開いていた。
「後ろに」
レガの指示で私は一歩下がる。
じり、じり、とレガが扉に近づく。そして扉から出る人影にレガはナイフを横になぎ払う。
それを見切った相手はレガの手首を掴んで引き込むと、足払いをしてレガを床に倒す。それもレガは仰向けになり、一回転と距離を取った後、仕掛けたナイフを取り出して二本、不審者に投げつけたが、不審者のナイフで簡単にあしらわれてしまった。
覚悟を決めたのか、レガは逆手にナイフを持つと相手の懐に飛び込む。
上へに振り上げすぎず、避けられたと判断すれば横に払う。突いてもいいが、相手のカウンターが怖い。しかし、男は反撃をする素振りを見せなかった。
痺れを切らしたレガが、ナイフを男の腕を狙う。が足払いを受けて、レガは
廊下に倒れ込んでしまった。
「レガ!」
それでも彼女は挫けずに残りのナイフを取り出して警戒を解かない。
瞬間、一陣の風が吹き上げる。部屋の中に入り込み、不審者の相貌が現れた。
フードが取れた、そこには先ほどまで話題だったルルヤ・ホル・マティスがいるのであった。
プロット『12の時-5』
他国の違いと国の仕組みがわかってきた私
噴水広場での交流でルルヤと誰か二人が見守っている姿を見かける
声をかけられないので、わかるように手をふった。
この日は六人の賢者は宴を開くという
一般の国民と自分たちは同じはずなのに
宴の前に弟に会いにいく私
拒絶されるが古代語(もう日本語でいいです)を謳う
蔵書庫の書物にあった言葉だ
弟を説得し、必ず助けると残して私は会場に戻った
お手洗いとレガに合わせてもらう
シスン・セルディル・エレブ・リナに出会う
それぞれ六人の賢者と関わりがある四人は、賢者を持ち上げる言葉を口々に言う
私は、こうして国がつくられていったのだと嘆く
四人に反発、それぞれにダメ出しをしていく
リナは反抗的
私は四人で戻らないと不審に思われると告げて
宴の席に戻っていく




