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ラノベ作家志望の異世界修正  作者: 獅子堂零
コルテスダンジョン
12/16

ベースキャンプとエリアボス

トグロ討伐隊は大まかに三つに分けてダンジョンに潜ることにした。

俺達は先陣を切る第一グループとして出発し、ベースキャンプとなる第5階層のボス部屋を目指す。

もちろん俺達のパーティーが先頭を進み、ルートの確保を担っている。

俺とミカ、エリュナは何度もダンジョンに潜っているので大体の道順はわかるが、パーティーには新米冒険者のシェルがいる。

いつもの調子でサクサク進んでしまったら確実にはぐれてしまうので、普段よりもややゆっくりと第5階層を目指す。


「大丈夫っすか? キツいなら早めに言うっす」

「だ、大丈夫……だと思います……」


時折ミカがシェルに対して声をかけ、シェルの調子を確認する。

そんな中、パーティーメンバーに選んだゴルタスが俺に耳打ちしてきた。


「なあブラドさん。何であんなルーキーを連れてきたんだ? あんな調子じゃ、すぐに死んじまうぜ」


ゴルタスは心底嫌そうにそう聞いてきた。

まぁ無理もないか。

誰だって足手まといになる新米をこんなところに連れてくるなんてバカなことはしない。

だけどな、こいつは主人公だ。

そう簡単にくたばらせてなるもんか。

……まぁ、そんなことは言えないがな。


「俺の決定に、文句があるのか?」


俺はただ一言そう言うと、ゴルタスは舌打ちしながら引き下がった。

ゴルタスの後ろを歩いているエリュナは、彼に対しての警戒か、もしくはシェルを庇うためか、剣に手をかけていた。

俺はアイコンタクトでエリュナに止めさせるように促して先に進んだ。


大がかりな移動だったが、予想よりも早くベースキャンプ地となる第5階層のボス部屋に到着した。

ヘカトンケイルの死骸とヘカトンケイルに巻き付いたトグロの脱け殻が、一種のアートのように見え、さながら美術館のような雰囲気を醸し出しているが、俺は気にせずテントの設営を進めるのだが……


(やっぱり気になるやつは多いよな……)


俺以外は皆、ヘカトンケイルとトグロの脱け殻でできたアートをまじまじと観察していた。


「こ、これがトグロか……」

「あのヘカトンケイルがこんなになっちまって……」

「これって脱け殻だよな? それじゃ本体って相当でかくなってないか?」

「バッカ、当たり前だろ! ブリーフィングでなに聞いてたんだ!」

「すごいっす! 大きいっす! かっこいいっす!」


やっぱりミカの声は分かりやすいな。

そんな中、エリュナは俺の元にやって来た。


「ブラドさん。ちょっといいですか?」

「手短に頼む」

「あのヘカトンケイルですが、発見したのは昨日ですよね?」

「あぁ、そうだが?」

「……何で消えてないのでしょう?」


エリュナの一言で、俺の記憶の中からいくつかのビジョンが写し出された。

それらはすべてボス戦の内容だったが、今回の状況と大きく異なる点がわかった。


本来ボス部屋とはそれぞれ五の倍数の階層を守っており、倒されても何度でも復活することができるのだ。

もちろん周期は異なるのだが、ヘカトンケイルは大体1日もあれば五体満足で復活する。

それなのに今のヘカトンケイルの死骸は残ったままだ。


「いったい、どういうことなんでしょうか?」

「……どうなってんだ?」


俺が『作者権限』でこの世界に介入してからたったの数日だが、俺の記憶にある本来の筋書きとは大きく異なっていった。

おもしろ半分で産み出したトグロは、俺の想像以上の化け物となり、今も第6階層で暴れまわっているのだろう。

ほんと、ルール違反もいいところ……


「……ルール?」

「ブラドさん? 如何しました?」

「……本来ボスは俺達冒険者が倒すものだよな?」

「はい、そうですが……」

「もし仮にモンスターがボスを倒したら、どうなると思う?」

「……それはあり得ないです。いくら低レベルの階層のボスでも、その階層のなかではトップになっているのです。下克上なんて……」

「仮にっつったろ。俺の考えだと、トグロはここの階層の雑魚だったが、突然変異となりこの階層のモンスターを喰いまくっていった。十分に力を着けたトグロはヘカトンケイルに挑み、そして殺した」

「……まさか!」


俺の考えを理解したエリュナは驚きのあまり目を見開いた。


「そうだ、()()()()()()()んだよ。ヘカトンケイルから、トグロに」


そう言ってヘカトンケイルとトグロの脱け殻を見た。

トグロの脱け殻が、ニヤリと笑った気がした。

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