第7話「抱きしめる両腕」
今回から第2部の開幕です!第2部では、新しい仲間が登場し、各キャラが主役のエピソードが登場します!
ご期待ください!
フリードとの戦いが終わった翌日、朝の4時・・・・・絶好の日だ。
「よし・・・・!」
私はみんなの部屋の前に立ち、
「おはよー!!」
「んあ?なんだぁ?」
まずはロックを起こす。
「そろそろ起きなさーい!!」
「ふあ~あ、ん~?まだ4時じゃん・・・・」
次にルイス。
「リン、起きてるか~?入るぞ?」
次にリンの部屋のドアをノックし、中に入る。
「ん・・・?」
リンのベッドを見ると、リンはベッドの上で毛布をくるんで寝ている・・・・にしては、やけに毛布が盛り上がっている。
私はそっと毛布を剥がす。
「ぬふしっ!?」
毛布を剥がし、中の様子を見た途端、私は声を上げた。それと同時に毛布を全部剝がしてしまった。
「なに?どうしたの?」
私の悲鳴を聞き、ルイスとロックが駆けつけた。
私は何も言わず、ベッドの方を指差した。ベッドにはリン・・・・と何故かメアリが一緒に寝ていた。
「えへへ・・・・マシュマロの枕~・・・・」
メアリはリンに抱きつきながら寝言を言っている。
「なんか・・・羨ましいなぁ・・・・」
ルイスはボソッと独り言を言った。
みんなが起きたところで、私はみんなを2階のリビングに集めた。
みんなまだ眠そうで、あくびをしている者もいたが、リンは違った。リンは少し怒っているようだった。
「もう・・・・人の部屋に勝手に入った上に、ベッドに潜ってくるなんて・・・・」
「だって・・・昨日夜にホラー映画見ちゃったから、一人で寝るの怖くて・・・・それに、リンお姉ちゃんの胸、おっきくて柔らかくて寝心地いいからつい・・・」
「私の胸は枕かっ!・・・って、お姉ちゃん?」
リンはメアリに「お姉ちゃん」と呼ばれ、疑問に感じ、思わず声を上げた。
すると、メアリはニコッと笑って答えた。
「うん!だって、リンお姉ちゃん優しいし、スタイルいいし、格好いいもん!だから、お姉ちゃんって呼んでいい?」
メアリはリンの服の裾をつかみ、キラキラした瞳で見つめ、お願いした。
「べ、別にいいけど・・・・しょうがないわね・・・・」
それを見たメアリは、照れくさいのか、頬を少し赤く染めそっぽを向きながら答えた。
「やった!」
『それより小娘、私にも言うことがあるんじゃないのか?』
「えっ?なにが?」
メアリはメフィストに問われ、キョトンとした表情を出した。
『阿呆が!!貴様いつも私を抱っこちゃん人形のように私を抱きしめながら寝てるだろうが!!それに対する謝罪はないのか!?』
「えーっ、だって、何か手に持ってないと落ち着かないし・・・・それに、悪魔だから申し訳なく感じない。」
『おのれ!末代まで呪ってやろうか!!』
「それはそれとして・・・・おじさん、なんでこんな朝早く僕達を起こしたわけ?」
ルイスはメフィストとメアリの会話をよそに、本題に入った。
私はそれに対し、ニコッと笑って答えた。
「それは簡単さ。今日から毎日、この時間にトレーニングするからさ。」
私がそう言うと、みんなあからさまに嫌そうな顔を見せた。
「え~、めんどくさ・・・・」
「やるにしてもこんな朝早くにやらなくてもいいじゃない・・・・」
「あ、朝だりぃ・・・・」
みんなそれぞれ文句を言ってくるが、正直これは予想はしていた。
「みんなそう言うな。敵はいつ来るかわからないんだぞ?ホラ、これに着替えて。」
私はそう言うと、用意していた人数分のジャージを差し出した。
「うわっ、ダサッ!」
いの一番にルイスが文句を言った。
「・・・まぁ、しょうがないか。ルークの言ってることももっともだし。」
「俺は朝はキツイが・・・・強くなれるんならやってやる!」
「・・・・わかったよ、僕もやる。」
みんな賛同してくれたようだ。
「よーし、じゃあ早速行くぞ!まずはセントラルパークまでジョギング!到着したら外周10周だ!!」
「ひ~!!」
セントラルパークにたどり着いた私達はまず、公園の外周を走った。
「ぜえ・・・ぜえ・・・・」
「はあ・・・はあ・・・・」
まだ4周目だというのに、みんなの息が上がっている。
「どうした!?まだ4周目だぞ!?」
私は一番前でみんなに声をかける。
「走り込んで汗一つ掻いてない人に言われたくないよ!!」
「もうちょっとペース落としなさいよ~!」
「私が現役だったころはこれの倍は走ってたぞ!」
「これの・・・倍?!な、なら、俺だって・・・・!!うおおおおおおおおおおお・・・・・!!」
ロックは私を越えようと、叫び声を上げながら全速力で走り去った。
「あれ?ロック?おーーーい!!」
「あいつバカじゃないの?あんなに飛ばしたら後が続かないじゃん。」
「バカなんでしょ。」
二人の容赦ない言い分に、私は苦笑いを浮かべた。
「あれ?ロックは?」
その時、後ろからメアリの声が聞こえ、振り向くとそこには自転車をこぐメアリがいた。
「ああ、先に言ったぞ。メアリ、今何周目だ?」
「うーんと、6周目!」
「10周終わったら飲み物買って待っててくれ。」
「うん、わかった。じゃあ、みんなお先に~!」
メアリはそう言うと、自転車を漕いで先へ行った。
「チェッ、戦わない人はいいよな~」
「文句を言わない!さあ、まだまだ行くぞ!」
数十分後、ランニングを終えた私達は公園で一旦休憩を取った。
「あ~、疲れた~」
ルイスとリンは疲れ果ててベンチに背中を預けている。ロックに至っては全速力で走ったせいで地面に倒れている。
「し、死ぬ・・・・脇腹痛い・・・・」
「限度ってものを持ちなさいよ。」
「はーい!みんなー、飲み物買ってきたよー!」
メアリがペットボトルの入ったビニール袋を持って私達の元へ駆けつけた。
「助かった~、喉カラカラだよ。」
「ミネラルウォーターにしたよ。」
「お~、いいね~!」
みんな飲み物に手を取ると、蓋を開けて飲み始めた。
「プハーッ!美味ッ!」
「最ッ高!」
「い、生き返る・・・・」
3人とも、ジュースを飲んだ途端いきいきとした表情を見せた。
私はそれを見て、思わず微笑んだ。
「よーし、休憩が終わったら次は家に戻ってトレーニングだ!」
「まだやんの!?」
ランニングを終えた私達は一旦、家へ戻り、地下室へ降りた。
「うわっ、地下室ってこうなってたんだ・・・・」
地下室は広い空間になっていて、ボクシングのリングや運動器具がいくつかおけるほどの広さになっている。
「よし、まずは腕立て伏せ50回!」
「またキツイのが・・・・」
「勘弁してよ・・・・」
みんな文句を言いながらも、腕立て伏せの構えをとった。
「よし・・・・メアリ、いつもの頼む。」
「オッケー!」
私はみんなと同様に腕立て伏せの体勢に入った。
「よいしょ。」
と、そこにメアリが私の背中の上に座り込んだ。
「えっ!?まさか、そのままやるの!?」
その光景を見て、みんなは驚き、ルイスは私に向かって指摘した。
「ああ、現役ボクサーの時から手伝ってもらったんだ。前はこの状態で片手でやってたんだが・・・歳のせいか、最近はちょっとな・・・・」
「準備はいい?いくよー・・・・はい、よーいドン!」
メアリの掛け声とともに私は腕立て伏せをスタートさせた。
それに続いて、ルイス、リンもスタートした。
「あの状態を片手でやってたわけ?」
「僕達とはレベルが違うな・・・・凄いというか、呆れるというか・・・・」
二人が腕立て伏せを始めた一方で、まだ始めずにブツブツ呟いている子がいた。それはロックだ。
「あれを片手・・・片手で腕立てを・・・オッサンにできるなら・・・俺にだって・・・!!」
ロックは決心すると、片手を背中につけ、そのまま腕立てを始めた。
「1・・・2・・・3・・・」
「あーあ、おじさんに感化されちゃって・・・あんなのやったら絶対後が続かないのに・・・・」
「ほっときましょ。」
ルイスとリンはロックの行動を呆れたように見ていたが、私は違った。ロックは実際に頭の方は良くないし、粗暴が悪いように見えるが、意外に頑張り屋なところがある。それは恐らく、私に追い越すためであることと、誰にも負けたくないという気持ちが強いからだろう。
(ふむ・・・)
私は腕立てをしながら、ロックのこの長所を生かせないか考えた。
「パパ、50回終わったよ。」
「ん?ああ・・・・」
メアリの言葉に私は我に返り、腕立てを止めた。同時にメアリも私の背中から降りた。
「ふう・・・・まだまだいけそうだな。ロック!」
「ああ?」
ロックは腕立てを続けながら、私の方に顔を向けた。ロックは額はおろか、全身にすごい汗を掻いていた。まぁ、これが普通だな。私が異常なだけで。
「腕立てが終わったら私のところに来なさい。」
私はそう言うと、壁際に置いてある縄跳びを手に取り、回し始めた。所謂フットワークのトレーニングだ。
そして10分後、全員の腕立てが終わった。
「あー、疲れた・・・・」
「さすがに、もうおしまいよね?」
「後は各自別々でトレーニングをして終わりだ。」
「まだやるんだ・・・・」
ルイスはまだ終わらないトレーニングに、ため息をつき、項垂れた。
「ま、まだまだぁ・・・・!」
ロックは余裕そうに振る舞っているが、かなり息が荒くなっている。
「ロック・・・・お前は大丈夫か?私のマネをしなくていいんだぞ?君は君らしく・・・・」
「マ、マネなんかじゃねぇ!おっさんにできるんだったら、俺にだって出来る!そう思ったからやったまでだ!マネなんかじゃねぇ!!」
ロックはそう言うが、多分それがマネをするということだと思うが・・・・まぁ、子どもらしい言い訳、ということにしておこう。
「そうか。じゃあ・・・・ここに立ってくれ。」
「?」
私は自分の背後を指差した。私の後ろには壁に設置されている巨大な一枚板の鏡がある。
ロックは私の言う通り、鏡の前に立った。
「いいか?鏡の前にいる自分をよーく見ろ。」
私が指示すると、ロックは睨みつけるように鏡に写る自分を見つめた。
「こいつは、自分自身の中でも最強の敵だ。君を堕落させ、君を惑わそうとする・・・・こいつを倒すつもりで、シャドーをやってみなさい。」
「シャドー・・・?」
「目の前に敵がいるつもりで戦うフリをするんだ。」
「わかった。やってみるぜ・・・・」
ロックは返事をすると、拳を鳴らして構えた。
「フッ!シャッ!デェリャッ!!」
ロックは鏡に写る自分自身を捕らえながら、パンチ、キック、エルボーなどを次々と技を繰り出す。
「そうそう、その調子だ。」
私はそう言うと、その場を離れリングの方へ向かった。
「なんであいつだけ別メニューなの?」
ロックだけ別のトレーニングだということをルイスは私に指摘した。
「実は、彼にボクシングをやらせようと思ってな。」
「ボクシング~?あいつに?」
「絶対向いてないと思うけど・・・・」
「何を言うんだ!彼のあの目を見てみろ。あのギラギラとした目付き、あれはボクサーの目だ!」
ルイスとリンの言い分に、私は反論してみせた。
「ボクサーねぇ・・・・」
「さっ、練習だ、練習!これが終わったらご飯だぞ!」
「はーい。」
30分後、全てのトレーニングが終了し、私達は二階のキッチンへ上がった。
「お疲れ様―!ご飯出来てますよー!」
キッチンに入ると、メアリが笑顔で出迎え、後ろのテーブルには出来上がった食事が置いてある。
「あ~、お腹減った~!」
腹を空かせた皆は、各々自分の席に座った。
今日の朝食はベーコンと卵が入ったパンケーキに、果物が乗ったヨーグルト。飲み物はコーヒーと果汁100%のオレンジジュースだ。
「おおっ、美味そうだ!これ全部メアリが作ったのか?」
「えっへん!」
ロックが尋ねると、メアリは得意気な顔で胸を張った。
『いばるな、小娘の分際で。』
「どれどれ、味はどうかな・・・・?」
みんなは一斉にメアリが作ったパンケーキを食べ始めた。
「あっ、美味しいじゃない!」
「ホントだ、イケるね。」
「うむ、腕を上げたな、メアリ。」
私を含め、ルイスとリンはメアリの料理を賞賛した。だが、ロックの方は少し様子がおかしい。
「ほ、ホントに美味いぜ・・・・こ、これだったら、俺、ま、ま、毎日でも食いたい・・・な・・・・」
ロックは顔を赤くしながら恥ずかしそうにメアリの料理を褒めた。
「えっ?パンケーキばっか食べてたら飽きちゃうよ?」
メアリはキョトンとした顔で即答した。
「だ、だよなー・・・・栄養偏っちまうもんなー・・・・ハハハ・・・」
即答されたロックはどこかショックを受けたような表情で引きつった笑顔を浮かべた。
(ありゃりゃ、これはひどい。)
(ドンマイね、ロック。)
「?」
ルイスとリンは、ロックがメアリにアプローチをかけたことに気がついていた。が、私はちっとも気がつかなかった。恐らくメアリも。
「みんな、ご飯食べ終わったら一階で仕事するぞ。」
「はいはい。」
「りょーかい。」
「おう・・・・」
ルイスとリンは素っ気なく、ロックは軽く落ち込みながら返事をした。
朝食を終えた後、メアリは学校へ行き、私達はヒーローの姿へ変身し、一階の事務所へ降りて仕事を始める。一階での仕事は主に悩み相談やお客様の依頼を受けることだ。お客様の依頼を受け、その悩みや問題を解決すれば地域貢献になるし、知名度も上がる。我ながら良いアイデアだと思うが・・・・
「・・・お客さん、来ないね。」
なかなかお客様来なかった。まぁ、始めてから一日しか経っていないから仕方ないと言えば仕方ないだろう。
「あーあ、かったりぃなぁ・・・・」
ロックはあくびをすると、デスクの上に足を乗せた。
「コラ!行儀悪いぞ!」
「そうそう。こういうのはバレないようにやらないと・・・・」
そう言ったルイスはスマホのゲームアプリで遊んでいた。
「バレるバレない以前に仕事中にゲームをするんじゃない!」
「全く、二人とも子どもなんだから・・・・」
リンはそう言いながら、英訳された日本の少女漫画をこっそり読んでいた。
「君も漫画を読むな!全く、この子達は・・・・!!」
私は3人の勝手な行動に少し怒りを覚えたが、ここは大人らしく耐えた。と、その時だった。事務所の入口のドアが開いた。
「!!」
私はハッと気づき、入口に目をやった。そこには小さい、小学生ぐらいの女の子がいた。
「ほら、みんな!お客様だぞ!」
私が大声で叫ぶと、3人は慌ててきちんとした姿勢で座り始めた。
「お嬢ちゃん、今日はどうしたのかな?」
「・・・・これ見て来たの。」
少し間を開けて、女の子は手に持った新聞を広げて見せた。
「・・・あっ!」
私は思わず声を上げた。
「どうしたの?」
私の声を聞き、3人が私の元へ集まってきた。
「これを見ろ!」
『・・・あっ!』
3人も私と同じ反応を見せた。なぜなら、新聞の一面に私達の姿が映っていたからだ。タイトルは「謎のヒーロー『パラディンフォース』、強盗犯を倒す!」というものだ。
「いつの間に・・・・」
「さすがマスコミ。手回しが早い。」
「あっ、ここ見て!」
リンが新聞を見て何かに気がつき、記事の下の文を指差した。そこを見てみると「『パラディンフォース』の事務所は朝9時~午後4時まで営業中!相談したいことや頼みたいお仕事があれば是非お立ち寄りを!」と、書かれていた。
「あっ、そういえば何か聞かれたような気がしたな・・・・」
私は今更マスコミにインタビューされたことを思い出した。
「こんな大事なことを忘れるなんて・・・・」
「いやぁ、すまんすまん。それで、お嬢ちゃんは今日は相談事かい?それとも依頼?」
「・・・・パパを・・・」
「えっ?」
「パパを探して!!」
私が聞き直すと、女の子は耳が裂けんばかりの大声で叫んだ。
その大声に、他の3人は耳を塞いだ。
「君のパパを・・・・?一体どうしたんだい?」
「・・・いなくなっちゃったの。」
「いなくなった?」
女の子はコクリと頷くと、続きを話し始めた。
「パパ、リハビリから帰って来なくなって・・・・もう三日も経ってるの。」
「三日も・・・・」
「こんな小さい子を心配させるなんて・・・・」
「よしっ、分かった!君のパパは私達が必ず見つける!」
「本当っ!?」
女の子は声を上げると同時にかわいらしい笑顔を浮かべた。
「もちろん!」
「ありがとう!それと、パパを見つけたら・・・・これ渡して!」
女の子はそう言うと、ポケットからハート型に折られた折り紙を手渡した。ハートに折られた折り紙は、真ん中の部分が三角状に白くなっており、その部分に「パパ大好き!」と書かれていた。
私はそれを見て、微笑ましく思い、思わずマスクの下で笑顔が溢れた。
(ホントにパパのことが好きなんだなぁ・・・・)
「わかった。必ず渡すよ!そうだ、君の名前を教えてくれるかな。それとお父さんの名前と・・・・君の家の連絡先も。見つけたら教えるから。」
私の頼みに、女の子はコクリと頷き、自分と父親の名前、それに家の電話番号を教えた。
女の子の名はボニー。父親の名はニコラス・アビントン。
早速私達はニコラスの捜索を開始した。まずは彼がリハビリをしていた病院を訪れた。
「ニコラスさん?ああ、あの人、今日は・・・・ていうか、最近全然来てないですね。」
病院にいた若い医師に尋ねると、ニコラスのことを教えてくれた。
「あの人、リハビリすごく頑張ってましたから・・・・」
「どこか彼が行きそうなところはないですか?娘さんが心配してるんです。」
「うーん・・・・そういえば、仕事場がここから近いって言ってたな・・・・確かDVDのレンタルショップって言ってました。」
「わかりました、ありがとうございます。」
こうして、情報を得た私達は次にニコラスの仕事場であるレンタルショップを訪れた。
「ニコラス?あー、あいつ3日前から全然来てないんだよ・・・・」
「そうですか・・・・」
店にいた店長に尋ねてみたが、これといった情報はなかった。
「あの・・・・ちょっといいですか?」
すると、ルイスが店長に尋ねた。
「もしかして、ニコラスさんって、陸上選手やってた人ですよね?」
「おおっ、兄ちゃんはあいつのこと知ってんのか!」
店長が尋ねると、ルイスはニコッと笑った。
「ええっ、確かにオリンピックの参加候補の一人だったんですよね。」
「そ、そうだったのか・・・・」
「っていうか、みんな知らなかったわけ?」
ルイスはそう言いながら私達を貶むような目で見始めた。
「わ、私は格闘技以外はさっぱりで・・・・」
「お、俺も全然・・・・」
「私も・・・っていうか、なんでアンタが知ってんのよ!」
「僕のお兄ちゃんがニコラスさんのファンなの。で、確かニコラスさんって・・・・」
(話を戻した!)
(ってか、アニキいたのか・・・・)
ルイスは話を戻すと、ニコラスのことを尋ねた。
「ニコラスさんって、確か事故にあって・・・・」
ルイスがそう言うと、店長の表情は曇った。
「・・・ああ、あいつ、オリンピックに出るって張り切ってたんだが・・・・参加を決める前日に交通事故に巻き込まれてな・・・・そのせいであいつは下半身不随で陸上ができなくなっちまったんだ・・・・」
「じゃあ、その怪我のせいで自暴自棄になって、行方不明に・・・?」
「いや、ちょっと待て。」
ルイスの一言に、私は待ったをかけた。
「おじさん?」
「確かに、オリンピックに出られなかったし、下半身が動けなくなったのはショックだったろうが・・・・しかし、自暴自棄になったなら、リハビリを頑張ると思うか?」
私の言葉に店長とルイス達はどよめいた。
「た、確かに・・・・」
「言われてみれば・・・・」
「自暴自棄の人が、そんなポジティブに繋がることをするはずがないものね。」
「それに、彼には娘さんがいるんだぞ?娘さんはまだ小さい・・・・それなのに、あの子を置いて行くと思うか?」
「うーん・・・・でもよぉ、だったら、ニコラスのおっさんはどこに行ったんだ?」
「それは・・・」
その時だった。どこからか、携帯の着信音が鳴り響いた。
「おっと、失礼・・・・」
着信音は店長の携帯だった。店長は電話に出た。
「はい、もしもし・・・・!?お、お前、ニコラス!?」
『!!』
店長の言葉に、私達は反応した。
「お前、今どこにいる!?ボニーの奴心配してるんだぞ!えっ?なに!?足が戻る!?元通りに走れる!?おい!どういうことだ!ちゃんと説明を・・・・!!切れちまった・・・・」
「店長、今のは・・・・!」
「ニコラスからだ。でも、あいつ何かおかしかった・・・・声が荒げてたし、『元通りに走れる』って言ってたし・・・・」
「まさか・・・・」
話の内容から、私は悪魔が関連しているのではないかと感じた。
3人の顔を見ると、一斉に私に向かってコクリと頷いた。どうやら、ロック達も感づいているようだ。
「ニコラスさんはどこにいるかわかりますか?」
「街外れの空き地にいるって言ってたが・・・・」
「なら、ここは私達にお任せください。」
「お任せって・・・・?」
「ここからは、我々専門職の出番です。」
私は店長にそう言うと、すぐさまみんなを連れて外へ出て、街外れの空き地へ向かった。
しばらくして、私達は街外れの空き地にたどり着いた。そこは、空き地だったが元は大きな建物でも建っていたのか、かなり広かった。
「ニコラスさんが電話で言っていたのはここか・・・・一体どこにいるんだ・・・・」
「あっ、見て!あそこ!」
辺りを見回していると、リンが何かに気づき、指を差した。指が差された方向には、捨ててあったドラム缶に座りながら空を眺めている男がいた。
「まさか、あれが・・・・?」
その男がニコラスではないかと考えていると、向こうがこっちに気がつき、座っていたドラム缶から立ち上がった。
「あれ?店長は・・・・?それにボニーは・・・・?」
ニコラスの口ぶりは、まるで我々のことを知っているようだった。
それになんだかニコラスの様子がおかしい。目もどことなく虚ろで、どこを見ているか分からないし、なによりも下半身が動かないはずなのに、ちゃんと2本足で地面に立っている。
「・・・あなたは私達のことを知っているのか?」
「言ってたんだよ、スポンサーが。あんた達が店長とボニーを連れて来てくれるって・・・・」
「スポンサー?ニコラスさん、あなたは奴に何をされたんですか!?」
ルイスはニコラスに尋ねた。すると、ニコラスはニコッと笑いながら答えた。
「そんな・・・・あの人を悪党みたいに言うなよ。あの人は、俺の足を元通りにしてくれたんだ。ちょっと形は変になっちゃったけど・・・・」
ニコラスはそう言いながら、靴と靴下を脱ぎ、ズボンの足首から膝辺りまでを力尽くで破り、私達にその足を見せた。
『!!』
その足を見た途端、私達は驚愕し、息を飲んだ。ニコラスの足は驚くほど変わっていた。それは見た目的な意味でだ。本来ならそこに人間の足があるはずが、ニコラスのは異形の姿と化していた。鳥のようなかぎ爪に骨と筋肉が剥き出しになったかのような銀色の両足・・・・その足は、まさしく悪魔のようだった。
「フフッ、どうだい。ちょっと変わったけど、これでまた走れるようになるんだ!」
私達が驚いているにも関わらず、ニコラスは笑顔で話し続けた。
「メフィスト・・・・ニコラスさんはどんな悪魔に取り憑かれたんだ。」
『むぅ・・・・これは言った方がいいものか・・・・』
私が尋ねると、メフィストは珍しく自身がなさそうな口調になった。
「どうしたんだ?早く!」
『あの足を見るに、あれは「速度強化」のアーツを持つトルスだ。だが・・・・おかしいんだ。肝心のトルスは・・・・もうこの世にはいないんだ。』
「なに!?」
メフィストの衝撃の一言に、私は思わず声を上げた。私だけでなく、ロック達も同様の反応を見せた。
メフィストはそれに構わず、話を続けた。
『何千年も前、悪魔と天使による戦争があった。トルスはその戦争に参戦し・・・・戦いの末にアーツを失い、永遠に消えてしまった。だから、もう奴も、奴のアーツもこの世に存在しないはずなんだ。』
「そ、それじゃあ・・・」
「あの足は一体・・・・!?」
『わからん・・・・おい!そこの人間!!』
メフィストは突然顔を出し、ニコラスを問い詰めようとした。
『貴様、その足をどこで手に入れた!?さっき話に出た、スポンサーとかいう奴か!?』
「・・・・そんなの、どうでもいいじゃん。」
メフィストの質問に対し、ニコラスの返事はそっけないものだった。
「これで、俺はまた走れるんだ・・・・!もう一度、スターへの道を・・・・!そしてボニーも幸せにできる・・・・!!なぁ、ボニーは?ボニーはどこだ!?」
ニコラスは嬉しそうにしながら辺りを見回し、ボニーを捜した。
なんともいい表情だった。それも当然だ。動かなくなった足が、もう一度動くようになれば、誰だって喜ぶだろう。
私が今からやろうとしていることは、その喜びを壊すことにもなるかもしれない。だが、これしかない。
「・・・・悪いが、ボニー・・・あの子には会わせられない。」
「・・・えっ?」
私の一言に、ニコラスは呆然とした。
ボニーに、今のニコラスを見せるわけにはいかない。今のニコラスを見れば、あの子はきっと悲しむし、怖がってしまうだろう。それになにより、世間の目もある。マスコミが彼を見たら、あることないことをでっち上げられてしまうだろう。そうなれば、二人の居場所がなくなってしまう。だからこそ、止めなければならない。
「みんな・・・・わかってるな?」
「おうよ!」
ロック達も分かっているようだ。ニコラスをこのままにしておけないことは・・・・
「ニコラス・・・・今のあなたを、ボニーに・・・世間に見せるわけにはいかない!!」
私はニコラスに向かって叫び、構えを取った。ロック達も同様にニコラスを睨みつけ、構えた。
「どうしてだ・・・・?どうして!どうしてなんだぁぁぁぁぁぁ!!」
ニコラスはボニーに会えない怒りに打ち震え、叫び声を上げた。すると、ニコラスの体が変化し始めた。全身が両足のように骨と筋肉が剥き出しになったような銀色のものに変わり、両手には鋭い爪、頭は肉食獣の骨格のようなものに悪魔めいた角が生えたものに変わった。
「ソコヲドケェェェェェ!!」
低かった声がさらに低くなり、さらに悪魔に近づいてしまった。
「みんな、必ずニコラスさんを止め、元に戻すぞ!!」
『ラジャー!!』
「先手必勝だオラァ!!」
ロックは体を硬質化させ、乱暴な叫び声を上げながらニコラスに殴りかかった。
だが、ロックの攻撃が当たる寸前、ニコラスの姿が消えた。
「なにっ!?消えた!?」
「ロック!横だ!」
私は注意を呼びかけるも、すでに遅く、ロックは横からニコラスの飛び蹴りを食らい、吹き飛ばされた。
「ぐあっ!!い、いつの間に・・・・!!」
『さっき言ったことを忘れたのか!?トルスのアーツは「速度強化」!スピードが速くなるんだ!』
「あいつとは相性バッチリってことか・・・・!」
「だったら・・・・!!」
ルイスは右手に風を宿し、ニコラスに向かって発射した。
「風で動きを止める!!」
「ガガガ・・・・!!」
ニコラスはルイスの作戦通り、強力な突風で動けなくなった。
「リンちゃん、今だ!」
「言われなくてもわかってるわよ!」
リンはルイスが放つ突風へ飛び込んだ。
「龍嵐脚!!」
そして、風に巻き込まれながら回転しながらの飛び蹴りをニコラスに繰り出す。
「ヌウゥゥゥ!!」
蹴りはニコラスに直撃した。
だが、驚いたことにニコラスは蹴りが直撃した瞬間に、リンの足を掴んでいた。
「えっ!?」
「止められた!?」
「ウオァァァァァァァ!!」
ニコラスはリンの足を掴むと、叫び声を上げながらルイスの方へ投げ飛ばした。
「うわっ!」
「キャアッ!」
投げ飛ばされたリンはルイスと激突し、地面に倒れる。
「もう止めるんだニコラス!」
私はニコラスに呼びかけながら、彼を止めようと拳を繰り出した。
「あなたは理性を失っている!自分を見失ってはダメだ!」
私は攻撃を繰り出しながら説得を試みた。ジャブ、ストレート、フック・・・・ボクシングの技を次々と繰り出す。
「ボニー・・・・ボニーハドコダァァァァァァァ!!」
だが、ニコラスに私の声は届いていないようだった。そして、私の攻撃を次々といなしている。
「防ぐスピードが速い・・・!?」
最初は私の攻撃を防ぐスピードはそれほど速くはなかった。だが、徐々にそのスピードが増し、防御と同時に私の体に攻撃を直撃させている。
「どうなっている・・・・!?ぐあっ!!」
『「速度強化」のアーツはただ移動スピードを速くするだけではない!攻撃の動作や体感速度さえも速くするのだ!』
「それを速く言え!!」
私は重要なことを言わなかったメフィストに怒りを覚えながら、ニコラスの攻撃を喰らった。
「ぐはっ!クソッ!どうすれば・・・・『魔穴』を突けば戻るのか!?」
『いや、奴は悪魔に取り憑かれたわけではない!だから、「魔穴」を突いても意味はない!となると、打つ手は・・・!』
その時、メフィストの自称天才的頭脳にひらめきが走る。
『そうだ・・・・!おい、ガキども!!奴の動きをなんとしても止めろ!!』
「ああ!?どういうことだ!?」
メフィストのいきなりの命令に、ロック達は混乱した。
『黙れ!!いいから止めろ!!』
だが、メフィストはそれを気にせず命令した。
「ったく、なんなんだよ!」
「簡単に言ってくれるよ!」
文句を言いながらも、ルイスは両手に炎を宿し、ニコラスを囲むように炎を発した。
「どうだ!これで逃げられないぞ!」
「グ、ヌウゥ・・・・!!」
炎の壁はニコラスを覆うかのようにドーム状に変形していく。これなら、跳び越えることも逃げることもできない。
「スキアリだァッ!!」
その時、ニコラスの背後からロックが現れ、羽交い締めにした。普通の人間が炎に飛び込むのは危険だが、ロックなら、ロックの「鋼鉄化」のアーツなら無傷で通ることができる。理にかなった方法だ。
「オラッ!もう逃げられねぇぞ!」
『よし、そのままそのまま!ルーク、腕輪を使え!!』
「腕輪を?」
私はメフィストの言葉に少し戸惑いながら、腕輪「ドレインバングル」に触れた。すると、腕輪がスライムのような液体に溶け始め、私の拳に纏わり付いた。
「な、なんだ!?」
私が驚いているのをよそに、液体になった腕輪はさらに変形し、宝石が組み込まれた籠手に変化し、私の拳に装着された。
「こ、この腕輪・・・・変形できるのか!?」
『私の天才的頭脳に不可能はないッ!!それを使って渾身の一撃をかませ!そうすれば、腕輪が奴のアーツを吸い取る!そうなれば、奴も元に戻るッ!!』
「よーし・・・・わかったッ!!ロック、放り投げろ!!」
「よっしゃあ!!オラ・・・よっ!!」
ロックは思い切りニコラスを上空へ放り投げた。
「リン、今だ!」
「わかったわ!」
私は拳と拳を合わせ、リンは私の方へ向かって全力で走る。すると、リンは高くジャンプし、私の拳の上に足を乗せた。その瞬間、私はバレーボールをトスするようにリンを上空へ放り投げる。
「さらに風でッ!!」
ルイスは右手に風を宿し、リンに向かって風を放つ。吹き上げられた風によって、さらに高く跳び上がるリン。ついに投げ飛ばされたニコラスを追い越した。
「今ッ!!チェェェリャァァァァァァ!!」
リンは雄叫びを上げながら、ニコラスに向かって全力のかかと落としを繰り出した。
「グァァァァァ・・・・・!!」
かかと落としを喰らったニコラスは、そのまま地面に向かって真っ逆さまに落ちる。
ここで私の出番だ!
「はあぁぁぁぁ・・・・・!!」
私は腰を落とし、拳に力を溜める。ニコラスを正気に戻すための、悪魔を祓うための、強力な一撃のために。
その時、ニコラスの顔が私の視界に入った。チャンスはここだ!
「デビルスインパクトォッ!!」
私はニコラスに向かって思い切り駆け出し、腕輪をつけた拳を突き出し、ニコラスの腹に叩きつけた。
「ゴブアッ!!」
ニコラスは一撃の痛みから叫び声を上げ、吹き飛ばされ、地面に倒れた。
すると、ニコラスはみるみる内に元の人間の姿へ戻り始めた。
「ニコラスさん!」
私達はすぐさまニコラスの元へ駆け寄った。
ニコラスは完全に元に戻っていた。両足も人間の物に戻っていた。
「う、ううっ・・・・」
ニコラスはうめき声を上げながら、正気に戻った。
「わ、私は・・・・元に戻れたのか・・・?」
「ニコラスさん、大丈夫ですか?」
私はニコラスに尋ねた。するとニコラスは腹を抑え始めた。
「ああ・・・・ちょっと腹のところは痛いけど、大丈夫・・・・」
さっきの私の攻撃のせいみたいだ。しかし、先ほどの悪魔の時の体が盾になったのか、それほど痛みはなさそうだ。
「私は・・・あなた方に迷惑を掛けたようだ・・・・」
「覚えているんですか?」
「あまり・・・・でも、自分の体が、自分じゃなくなっていく気分だったのは、覚えてる・・・・」
「ニコラスさん・・・どうしてこんなことを・・・・?」
ルイスはニコラスに、何故自分を化け物に変えるようなマネをしたのかを訪ねた。
「決まってる・・・・歩けるようになって、もう一度陸上選手に戻るためだ。陸上選手は、足がなきゃダメなんだ。足がなきゃ、終わり・・・・!ダメになったも同じなんだ・・・!!」
ニコラスは悔しそうに、唸るように理由を話してくれた。その話を聞いて、ロック達は何も言えなかった。だが、私は違った。
「ニコラスさん・・・これを。」
私はボニーから預かったハートに折られた折り紙をニコラスに手渡した。
「ボニーが、あなたの為に作ったものです。」
「ボニーが・・・・『パパ大好き』・・・・」
真ん中に書かれた文字を読み上げると、ニコラスは目に涙を浮かべた。
「そうか・・・ボニーが・・・・!」
「ニコラスさん、確かに、あなたにはもう足はない。だけど、この腕があります。この腕で、愛する人をうんと抱きしめて上げてください。」
「はい・・・・!!」
ニコラスは目に涙を溜めながら、力強く返事をした。
こうして、ニコラスは元に戻り、自分の家へ戻った。家へ戻ると、ボニーが満面の笑みで出迎え、ニコラスに抱きついた。ニコラスもボニーをうんと抱きしめやった。自分が持つ両腕で・・・・・
『ククク・・・・やはり、私は天才だなぁ。腕輪の変形機能までつけてるとは思わなかっただろう?さぁ、私に感謝しろ!底脳のウジ虫どもめ!』
私達も家へ戻り、リビングで休んでいると、メフィストは自慢気に話ながら私達を罵倒し、感謝を求めた。
「チッ、ウゼーな・・・・」
「はいはい、天才天才。」
「そんな性格だからアンタは嫌われるのよ。」
『ぐぬぬ・・・!!』
ロック達は感謝するどころか、メフィストの傲慢な態度に気を悪くしている。
「いや、今回ばかりはメフィストの言う通りだ。」
『なに?』
「君がいなかったら、ニコラスさんは助けられなかった。ありがとう、メフィスト。」
『む、むむっ・・・・』
私は素直にメフィストに礼を言った。メフィストは慣れてないのか、少し困惑しているようだった。
「それに、初めて名前を呼んでくれたしな。」
『~~~ッ!!?』
私の言葉に動揺し、メフィストは声にならない声を発した。
「言われてみれば・・・・初めてだね、メフィストがおじさんの名前を言うなんて。」
『フ、フン!貴様は私の計画の駒に過ぎん!だ、だが、名前だけは覚えてやろうと思ってなッ!!』
メフィストはそう言うと、後ろを向いてしまった。相変わらずだが、恐らく照れているのだろう。
「あっ!メフィストったら照れてる~!!」
先に帰っていたメアリはメフィストをからかい始めた。
『て、照れてなどおらんわ!気持ち悪い!誰が下等な人間なんぞに・・・・!!』
「別に隠さなくてもいいじゃ~ん!メフィストってばカワイイ~!!」
メアリは照れ隠しをするメフィストに愛らしさを感じたのか、抱きつき始めた。
『ええい!抱きつくんじゃない!!離れろ!!』
メアリとメフィストは和気藹々(?)と触れ合い、私達はそれを見て笑った。それはまるで、ヒーローとしての仕事を成功させたことへの喜びのようだった。
しかし、まだ謎は残っている。スポンサーとは何者なのか、メフィストの計画は何なのか・・・謎は尽きないが、今はこの喜びをかみしめるばかりだった。
30分番組を意識して作ってるせいか、なんか1話1話が長く感じる・・・
私の作品、長いですか?