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ファウスト ~FIRST HEROS~  作者: 地理山計一郎
第1章「ヒーローチーム結成編」
7/38

第6話「パラディンフォース結成!」

ようやくチーム結成&投稿です!どうしても次の投稿まで時間かかってしまう・・・ネタはあるのに・・・


ルイスが仲間に加わり、私達はテーブルを囲んで話し合いを始めた。

「さーて、みんな揃ったところで、大事なことを決めないとな!」

「大事なこと?」

「まずは・・・・名前だ!」


私はまず名前を決めようと考え、白い用紙に「hero name」と書いた。

「名前?」

「その通り。街の人々から愛されるヒーローになるには、まず名前がないとな。それとヒーローコスチューム。」


次に用紙に「hero costume」と書いた。

「正体がバレてしまうと、プライバシーに問題が生じてしまうからな。この二つは・・・・」

「はいはーい!」

私が言おうとした瞬間、メアリが大声を上げ、割って入ってきた。


「名前とコスチュームデザインはもう決めてるよ~!!」

「ヒュー!仕事が早いね。」

「まず・・・リンちゃん!」

メアリはそう言うと、スケッチブックを取り出し、それを一枚めくった。

そこにはコスチュームと思われる絵が描かれていた。


「ヒーローネームは『ドラゴンガール』!!」

リンのコスチュームはスリットの入ったチャイナドレスにウエスタンブーツ、顔には龍を模したマスク、腰には足を上げた時に下着が見えないようにレギンス。つまり・・・・・

「いつも一緒じゃない。」

「リンお姉ちゃんはそのままで充分デザインが完成してるかなーって思って・・・・」

「名前もそのまんまだし・・・・まぁいいわ、私に合ってるし。」


「オッケー!じゃあ次は、ルイス!」

「格好いいの頼むよ。」

メアリはスケッチブックをめくり、リンに続いてルイスのコスチュームと名前を公開した。

「じゃーん!ヒーローネームは、『エレメント・ガイ』!!」

ルイスのコスチュームは黒の革ジャンに赤の革ズボン、ズボンにはリベットが撃ち込んであるスタッズベルト、頭にはバンダナ、目の部分にサングラス状の目出しマスクが装備されている。

「・・・・なんかヒーローにしては普通な感じが・・・・まぁいいか。格好いいし。」


「はいはい!次はロック!」

「お、おう!俺はなんだっていいぜ!その・・・お、お前が作ったのなら・・・・」

ロックは小声で言うも、メアリには届かず、スケッチブックをめくった。


「ロックのヒーローネームは、『スティール・キッド』!!」

ロックのコスチュームは、ファーと肩にトゲがついている革ジャンに同じ素材の黒ジーンズ、目にはサングラス状のマスク。

「こ、こいつとあんま変わんねぇ・・・・」

ロックの言う通り、デザインはルイスの物と大差なかった。違いは革ジャンにファーとトゲが付いていることぐらいだ。


「っていうかこれ、ヒーローっていうかロックバンドの格好じゃないの?」

「まぁ、それは置いといて・・・・チームエンブレムも作ったよ!」

メアリはそう言うと、スケッチブックをめくりエンブレムを見せた。そのエンブレムは丸型の形で、そこに私の、ファウストのマスクが描かれている。


「あー、なるほど。これはわかりやすいかもね。」

「うん、人目見たらすぐ私達だってわかるわね。」

エンブレムの方は、皆の反応を見ると、なかなか好評のようだ。

「後はチーム名だが・・・・これは私が考えてきたぞ。私はネーミングセンスがないが・・・・ないなりに必死に考えたんだ。」

私はそう言いながら紙が入ったクリアファイルを取り出した。


「漫画のヒーローって格好いい名前が多いだろう?だから、それにあやかって・・・チーム名はこうだ!その名も『パラディンフォース』!」

私はクリアファイルからチーム名が書かれている紙を取り出し、皆に見せた。

私の予想では皆に拍手喝采を受けることを想像していた。だが、そんな予想とは違い、皆は微妙な反応を見せた。


「う、うん・・・・い、いいんじゃないの?」

(めっちゃくちゃ微妙!)


「な、なんつーか、斬新だよな!」

(な、なんか違う・・・・なんか上手く言えない・・・)


「そ、そうそう!わ、私もいいと思うな~」

(どうしよう、ルークの顔自信満々!)


何故か皆の心の声が聞こえてくるような気がした。幻聴だろうか。


「・・・・そうか。」

皆の顔を見て、私は察した。この名前があまり喜ばれていないことに。

気持ちを察した私は、紙をクリアファイルに戻し、棚にしまい、テーブルについた。


「・・・・で、活動の拠点についてだが・・・・」

『話を流した!?』

ロック達は私がチーム名の件を流したことに驚いた。

「なにか問題でも?」

私はチラリと睨み、優しめの口調で聞き返した。

『滅相もない!!』

ロック達は即答し、私は次の話に入った。


「我々がヒーロー活動をするにあたって、その活動の拠点なのだが・・・・私は事務所を建てようと考えている。」

「事務所?」

「ああ。最初はこの家を拠点にしようと思ったが・・・・考えてみたら、君達は一体どこに住んでるんだ?」

私はロック、リン、ルイスの3人に寝床を尋ねた。


「えっ?僕はホテル。パパの知り合いがやってるから、そこに世話になってる。」

「私は格安のビジネスホテル。」

「俺は廃車の中。」

「ダメじゃないか君達は!!」

私は突然声を荒げ、テーブルをバンと叩いた。


「な、なにが?」

「そんな生活はダメだと言ってるんだ!特にロック!君は特にひどいぞ!」

「んなこと言われてもよぉ・・・・」

「だから私は決めた。事務所を作ると同時に、私達全員が暮らせる居住スペースも一緒に作るとな。」

『えーーーーーっ!?』

ロック達は驚きから声を上げた。


「こいつらと一緒に暮らすなんて俺は嫌だぜ!特に・・・このチャラ男が隣同士だったら、プライバシーもクソもねぇよ!」

「こっちだってごめんだよ!隣がリンちゃんやメアリちゃんならともかく、こいつとなんて嫌だよ!なんか臭そうだし!」

ロックとルイスは互いに悪口を言い合い、口喧嘩を始めた。

「コラ!2人ともやめなさい!」

そこにリンが2人の間に入り、ケンカを止めた。


「実はもう見取り図とかも作ったんだ。」

私はケンカをよそに、見取り図を取り出し、テーブルに広げた。


「一階が事務所で、二階がリビングとキッチン、三階が風呂とみんなの部屋。それと、地下室を作ってトレーニングに使おうと思ってる。」

『私の研究所も地下室だ。』

「どうかな。」

私は計画を述べた後、3人の反応を疑った。


ロックとリンはあきれたような顔をし、ルイスは顎に手を当て、考え事をしていた。

「どうした、ルイス。」

「作るのはいいんだけどさぁ・・・・お金どうすんの?」

ルイスの言葉に私はハッと気がついたが、すぐに余裕そうに笑ってみせた。


「フフフ・・・・私は元チャンプだぞ?こんなこともあろうかと、コツコツとファイトマネーを貯蓄しておいたんだ!」

私はそう言って通帳を差し出した。


「どれどれ・・・・」

ルイスは通帳を手に取り、ページをめくった。通帳には5000ドル(約50万円)が入っている。


「足りない分はこの家を売って作る。この家と別れるのは寂しいが・・・・メアリとも相談して決めた結果だ。」

「・・・それはいいけど、これだけで足りるかなぁ・・・・地下室って作るのすごい金かかるんだよ?1万ドルや10万ドルなんてあっという間になくなるんだから・・・・それに土地とかどうすんの?」

「と、土地?」

「そう、土地!アテはあるの?」

ルイスのその言葉に私は何も言えず、ただ黙り込み冷や汗を掻いた。

「・・・考えてないね?」

ルイスは私の心中を見破った。私はただコクリと頷いた。


「しょうがないなぁ・・・・パパに頼んでみるよ。」

ルイスはそう言ってスマホを取り出した。それと同時に全員がルイスの方を見た。

『人間の親程度が解決できる問題ではなかろうが・・・・』

「僕もこれは賭けだけど・・・・あっ、もしもし?」

ルイスは父親へ電話を掛けた。電話が繋がったと同時にルイスは家の外に出た。


「あいつの親父一人でなんとか出来る問題か?」

「わからないが・・・・今はルイスを信じよう。」


10分後、ルイスが戻ってきた。

「お待たせ。なんとかなったよ。」

『えっ!!?』

ルイスの言葉に私達は思わず声を上げた。


「なんとかなったって・・・・!?」

「うん、パパに相談したら、10万ドル貸してくれるって。」

「10万!!?」

ロックが金額の大きさに声を上げた。


「それと、ニューヨークにある土地をくれるって。」

「土地まで!!?」

今度はリンが声を上げた。


「し、しかし、そんな大金返せないぞ・・・・」

「お金は出世払いでいいって。好きに使ってくれて構わないってさ。」

「10万・・・・ステーキ何枚食えんだ・・・?」

「土地付きでご自由に・・・?」

私達はルイスの父親の凄さにただただ呆然とするだけだった。


「ね、ねぇ、ルイスのパパって何の仕事してるの?」

その時、メアリは私達がルイスに聞きたかったことを早速聞いて来た。


「えっ?ごく普通の貿易商で、ごく普通の財閥ですけど?」

『ざ、財閥・・・・』

ルイスの一言に、私達は全員体が硬直した。

「明日になったらお金入ってるはずだから、明日から本格的にスタートってことになるね。」

「そ、そうだな!よーし、みんな!明日は頑張るぞ!」



翌日、私達は本格的に計画を進め始めた。私の方は、長年家族と一緒に住んだ家を売る準備をし、引っ越しの準備も同時に進めた。


「メアリ、お前の部屋はもう片付いたか?」

「うん、スパイダーマングッズはもうダンボールに詰めたし、後はベッドとかタンスとかを業者さんに運んでもらうだけ。」

「そうか、私の部屋も終わった。元々物が少なかったから、早く終わったぞ。それにしても・・・・」

私は片付けの終わった家全体を見回した。


「この家はこんなに広かったか?」

「・・・前はママもいたから、ちょっと狭く感じたかも。でも、楽しかったなぁ・・・・」

私とメアリは何もない部屋を眺めながら、妻であり、メアリの母・・・マリアとの日々を思い返した。


『ねぇねぇママ!見て見て!スパイダーマンかっこいいよ!』

『あら、本当ね。』

『メアリ、パパとスパイダーマン、どっちが格好いい?』

『うーん、どっちも!』

『あらあら、この子ったら・・・・』

『はははは・・・・!』


部屋を見てると、あの時の光景、会話が鮮明に写る。


「・・・・あれから8年か・・・・思えばあっという間だな。」

「うん・・・・」

メアリは悲しそうな顔で微笑んだ。メアリはまだ16歳・・・・まだ母親が恋しいだろう。


「寂しいか?この家と離れるのは・・・・」

「うん・・・すごく寂しい。でも、ママが落ち込んでる私見たら、絶対に嬉しくないと思うし・・・・それに、ママとの思い出はちゃーんと、私の中で生きてるから。」

「メアリ・・・!」

メアリのその言葉に、私は目頭が熱くなり、今にも泣き出してしまいそうだった。


と、その時・・・・

『おい貴様らァ!!』

「ぬふしっ!」

「キャッ!」

突然メフィストが私達の間に入り、大声を上げた。


『この私を無視するとはいい度胸だな!』

メフィストは何やら怒っているようだ。眉間に皺をよせ、こちらを睨んでいる。


「何を怒っているんだ?」

『貴様ら聞いてなかったのか!?私は腹が減ったと言ったんだ!早くパスタを作れ!』

メフィストは食事にパスタを要求した。最初にパスタを食べてから、すっかりパスタが大好きになってしまったようだ。


「それは無理だ。キッチン綺麗にしたのに、また汚してしまうじゃないか。今日はピザのデリバリーだ。」

『嫌だ!私はパスタがいいんだ!!』

メフィストは子どものように駄々をこね始めた。これがあの有名なメフィストの姿だと思うと、少し泣けてくるな・・・・ダメな意味で。


「もう、メフィストったら・・・・それ以上パスタ食べたら、体がパスタになっちゃうよ?」

『なるかバカ者!貴様、部屋の掃除を手伝わせ解いてその言い草・・・・!貴様の髪の毛をパスタ代わりに茹でて食ってくれるわ!』

「パスタお化けが怒った~!!」

メアリはメフィストから逃げようと走り出した。

『私はお化けではないわ!!』

メフィストは怒り、メアリを追いかけ回した。そして、二人はしばらく家中を走り回ったのだった。


「全く・・・・子どもが2人いるみたいだなぁ・・・・」

私はそう言いながら、ダンボールにしまったマリアの写真を手に取った。


「マリア、我が家は少し賑やかになったよ。」

私は微笑みながらマリアの写真を見ながらそう言った。



それから半月後、ついに、我らが「パラディンフォース」の事務所が完成した。


見た目はただの雑居ビルだが、表には「Paladin Force」と書かれた大きい看板が立てられ、二階、三階には我々の居住スペース、地下にはトレーニングルームとメフィストの研究所、一階は事務所。

事務所の方は受付に会議室、お客用の相談室に相談窓口。二階にはリビング、キッチン、風呂、その他家電を完備。三階は我々一人一人の部屋。奥から私、メフィスト、メアリ、リン、ルイス、ロックの順だ。


「ついに完成した・・・・!私達の事務所!」

事務所の完成に、私を含め、全員が満足気な表情を浮かべた。

「みんな、ここからだ!ここからが私達のヒーローとしての道が始まる!気合いを入れていくぞ!!」

『オーッ!!』

私達は掛け声を上げ、事務所に入って中に入り、いつでも開けるように準備を進めた。

テーブルの場所や棚などの家具や事務用品はあらかじめ置き場所を決めていたため、作業は思いの外早く終わった。


「ふーっ、これで終わりか・・・・結構早く済んだな。」

「でも、もう夕方だよ。」

私はルイスに言われ、外を見た。ルイスの言う通り、外は夕陽に照らされ、少し薄暗くなっていた。


「本当だな・・・・よし、パトロールしよう。その途中で何か食べよう。」

「よっしゃ!せっかく金があるんだし、ステーキでも食いに行こうぜ!」

「いやいや、イタリアンがいいよ。」

「私、ピザがいい!」

『パスタだ!』

ロック達はリンを除き、目を爛々と輝かせ、夕食に期待している。子どもらしくて微笑ましいが、ここは大人としてちゃんと言わねば。


「ダメ!」

私はロック達を一喝した。すると、ロック達はあからさまに残念そうな表情を浮かべた。


「こんな所で無駄遣いしたらダメだ!せっかくルイスのお父さんが貸してくれたお金だ!その恩を忘れてはならない!無駄遣いはダメ!」

「チェッ、ケチ!」

「文句を言わない!ホラ、行くぞ。」

私はロック達をなだめ、事務所を後にし、パトロールを開始した。


「クッソー・・・なんか事件起きねぇかなぁ・・・・このイライラ、悪者どもにぶつけてぇ!」

ロックはイライラした様子で拳で自分の手のひらを叩いた。


「物騒なことを言うな、平和が一番さ。」

「でも、それじゃ私達が活躍できないわよ?」

リンの言うことに一理ある。確かにこれでは街の人に私達の存在が認知されない・・・しかし、街が危険な目に会うのも・・・・

「うーむ・・・・どうしたらいいものか・・・・」


私は腕を組み、唸り声を上げた。その時、

『止まれ!』

メフィストが突然大声を上げた。


その声で、私達の足は止まり、誰にも見られないように路地裏へ回った。

「どうした!?悪魔の気配があったのか!?」

『ああ、そいつは私と同じ憑依型だ。場所は・・・・ここから1㎞先の宝石店だ。』

「宝石店・・・・宝石を奪って売りさばく気?」

「そうはさせん!みんな行くぞ!」

私の一言に、皆は頷き、すぐに向かおうとした。


『待て!お前達に渡しておくものがある。』

と、メフィストはそう言うと、自分の影の中から3つの腕輪を取り出し、ロック、ルイス、リンに手渡した。

『お前達のコスチュームが完成した。』

「この中にコスチュームがあるの?」

「なんか変身道具みたいだな・・・・」

『変身する時は「レッツ・モーフィン!!」・・・でいいのか?』

メフィストは「どうでもいい」といった表情でメアリを見た。すると、メアリは嬉しそうに頷いた。


「メアリが作ったの?」

リンがそう尋ねると、メアリは得意気に鼻で笑った。


「フフフ・・・・何を隠そう、私が変身アイテムを考案して・・・」

『・・・・私が作った。』

「ヒーローだったら変身アイテムは必要でしょ?だから作ってもらったの!ほら!みんな早く変身して!」

「ええっ・・・」

メアリは早く変身を見たいとばかりに瞳を輝かせ、ロック達を見つめた。


「ちょっと嫌だなぁ・・・・」

「でも、あんな目で見られちゃ・・・・」

「だな・・・よし、いくぜ。」

三人は覚悟を決め、腕輪をつけ、口元へ持って行く。


『レッツ・モーフィン!!』

三人は大きな声で掛け声を上げた。すると、三人の体が光に包まれた。


「ぬおっ!?なんだこの光は!?」

光が晴れると、3人はメアリが考案したコスチュームに姿が変わっていた。

「すごい・・・・本当に変身しちゃった・・・・」

「これならいちいち着替えなくても大丈夫そうね。」

「おい、メアリ、どうした?」


ふとメアリの方を見てみると、メアリは拳を握ってぷるぷると震えていた。

「~~~~~ッ!!キャーーー!!やったーーーーー!!ヒーローの変身シーン見れたぁ~~~!!」

メアリは嬉しそうに叫び声を上げ、その場をピョンピョン跳びはねた。よっぽど生でヒーローの変身シーンを見れたのが嬉しかったのだろう。我が子ながら単純と言うべきか、欲深いと言うべきか・・・・


「ハハハ・・・・よし、みんな準備はOKだな!いくぞ!」

私は皆にそう言いながら、ファウストへと変身した。


「おうっ!」

「うん!」

「ええ!」

「メアリは警察に電話してくれ!」

「わかった!」

私達はメアリを残し、急ぎ宝石店へ向かった。


まだ訓練もしていないため、少し不安だが、そう簡単に負けるわけにはいかない。私達はこの街のヒーローなのだから。


宝石店へたどり着くと、すでに野次馬が集まっていた。


「ちょっと通ります!」

私達は空高くジャンプし、野次馬達を飛び越した。


「あっ!君達、待ちたまえ!!」

警官が止めようとするも、私達はそれを突破し、店の中へ入った。


「待て!そこまでだ!」

私は中にいた強盗犯に向かって叫んだ。


その強盗犯は見た目は中年で、体はかなり細く、眼鏡をかけ、両腕両足は何故か凍っていた。

「なんだぁ?お前ら?」

「この街のヒーローさ。」

私がそう言うと、強盗犯は低い笑い声を上げた。


「ケケケ・・・・漫画のキャラのつもりか?だが、誰が相手だろうが・・・・」

『俺達は止められない!!』

強盗犯の台詞に続いて、強盗犯の背中から体が白く、目が真っ赤に染まった化け物が現れた。


「ッ!こいつが彼に取り憑いた悪魔か!」

『貴様・・・・フリード!』

「知り合い?」

『ああ、私の実験台だ。』

メフィストの一言に私達は全員顔を見合わせ、フリードという悪魔の方は見るからに怒りに満ちた表情を浮かべ、歯ぎしりを立てていた。


『メフィスト・・・・!!貴様に受けた屈辱は忘れん!!ここで永遠に凍り付かせてくれるわ!!』

『フン、実験台にしかなれん役立たずが寝言を言うな!』

「ふ、二人に何があったのかはわからないが・・・・フリード!彼に取り憑くのはやめろ!どうせ何か洗脳でもしてるんだろ!」

私はフリードに向かって叫んだ。しかし、予想外なことにフリードと強盗犯は一緒に笑い始めた。


「ギャハハハハハハハ!!バカが!俺が操られてるとでも思ってるのか?」

『善人野郎は勘違いしやすいなぁ!俺とこいつ・・・・ジョニーは互いの利害が一致したからこそ、契約を結んだのだ。』

「俺はいつもバカにされてきた。キモイだの、見た目が貧相だの、貧乏クサイだの・・・・!!会社で一番働いてるのは俺だ!なのに他の連中ばかりいい思いしやがって!!」

『ククク・・・どうだ?こいつの恨みは。俺はメフィストを恨み、こいつは会社と社会を恨んでいる。だからこそ、俺達は惹かれ合ったのさ!!いくぞ、ジョニー!!』

「ああ、俺達の恨みのパワーを見せてやる!」

二人はそう言うと、フリードはジョニーの中に入った。


すると、ジョニーの体が180cmほどに大きくなり、全身がフリードのように白くなり、目は真っ赤になった。


「一体化した!?」

「どうなってんだ!?」

ジョニーの変化に、私は驚いた。すると、メフィストが説明に入った。


『悪魔と人間は一体化することにより、アーツの力を最大限まで使うことができる!だが、その条件は憑依型の悪魔であることと、互いの精神がシンクロした時のみ!』

「なんだかわからんが、みんないくぞ!」

『OK!!』

「ドラゴンガールとエレメント・ガイは散開して奴と戦いつつ店の中にまだ人がいないか確かめてくれ!スティール・キッド、君は私と来い!」

「おう!」

私の命令通り、リンとルイスは散開。ロックは私と一緒に敵に突っこむ。


「凍り付けぇ!!」

ジョニーは叫びとともに突風のような白い息を吐いた。すると床が一直線上に凍り付いた。


「ぬおっ!?あぶねっ!!」

私とロックは咄嗟によけ、難を逃れた。


「奴の攻撃に気をつけろ!凍ってしまうぞ!」

「そう簡単に言わないでよ!」

「ホントホント。ん?」


その時、ルイスは店のレジで隠れている女性店員を見つけた。


それを見るなり、ルイスは嬉しそうに口笛を吹いた。

「ねぇ、お姉さんここの店員さん?かわいいねぇ~、これが終わったらデートしようよ。」

なんと、ルイスは突然店員をナンパし始めた。しかし、店員の方は当然そんな余裕はなく、身を低くして震えていた。


「このバカ!ナンパしてる場合じゃねぇだろチャラ男!!」

ロックはルイスの行動に怒った。


「よそ見するなよバカが!」

ジョニーはその隙を突き、口から氷の塊を吐き出した。


「エレメント・ガイ!よけろ!」

私はルイスに向かって叫んだ。すると、ルイスの人差し指が赤く光、その指で円を描く。すると、その前に炎の盾が現れ、氷の塊を溶かしてしまった。


「なに!?」

ルイスの視線は今だに店員に向いたまま。すると、店員はその様子に気づいたのか、立ち上がり、ルイスの方に顔を向けた。


「あっ、やっとこっち向いた。もう大丈夫だよ、あんな奴、僕達がやっつけちゃうからさ。」

ルイスはそう言うと、店員の手をとり、手の甲にキスをした。

「安心して早く逃げて、マドモアゼル。」

「・・・はい。」

ルイスはそう言いながら優しく微笑んだ。すると、その笑顔にやられたのか、店員はポッと頬を赤く染めて、裏口から外へ出た。


「こ、この優男野郎が!!俺はお前みたいな奴が一番嫌いなんだ!!ウオオオオオオオオオッ!!」

ジョニーは怒りに燃え、叫び声を上げ、両手で床を強く殴った。すると、ジョニーを中心に8方向からつららが飛んできた。


「くっ!」

「あぶねっ!」

私とロックは身をかわし、

「おっとっと・・・・」

ルイスは冷静に炎でつららを溶かす。


しかし、リンの方は・・・・

「・・・・」

なんと、リンはよける素振りを見せずにつららの前に立ち、構えを取った。


「ドラゴンガール!?一体何を・・・・!?」

「はぁぁぁぁ・・・・」

リンは息を吐き力を抜いた、と思った次の瞬間!


「でぇりゃあああ!!」

掛け声とともに勢いよく足を振り上げ、つららを粉々に粉砕した。


「な、なんだと!?たかが女程度に!」

「おおっ!見事な蹴り技!」

「女だからって甘く見ないことね。さあ、もう大丈夫よ。」

リンはそう言いながら視線を後ろに移した。


すると、リンの背後から豪華な服を着た5歳ぐらいの小さい男の子が現れた。

「あの子を守るために・・・・」

リンは男の子の前でしゃがんで視線を合わせた。


「ねっ?お姉ちゃん強いでしょ?だから、あんな奴には負けないわ!だから安心して、ね?」

「・・・・うん!」

リンが優しそうな笑顔でそう言うと、男の子も笑顔になり、強く頷いた。


「さ、早くパパとママの所に行きな。」

「うん!お姉ちゃんありがとう!」

男の子はお礼を言うと、店から逃げていった。


男の子が逃げたのを確認すると、リンはキリッとした表情をし、ジョニーを睨みつけた。

「あんな小さい子を怖がらせるなんて、あんた男として最低ね!」

「じゃあ、その最低男を心身ともにへし折ってやりますか。」

「へし折るのは得意だぜ!」

「覚悟しろ、ジョニー、フリード!」

私達はじりじりとジョニーへ近づいていく。


それに動揺したのか、ジョニーはたじろぎ始めた。

「な、なんなんだ・・・・なんなんだお前ら!!」

「言ったろ、私達はヒーローだ。それも、最強チームだ!」

「くっ・・・・」

『気押しされるな!まずはルイスとかいうやつを狙え!奴を倒せばもう氷を溶かす手立てもない!』

「よし・・・死ねぇ!!小僧!!デッドリーフリーズ!!」

ジョニーは私達を顧みず、真っ先にルイスに襲いかかり、口から冷凍光線を放った。


(シャーマ)!!」

対し、ルイスは両手から巨大な火炎を発射した。二人の攻撃がぶつかりあい、せめぎ合う。

その時だった。なんとルイスの出した炎に、店内の火災報知器が反応してしまった。サイレンが鳴り響き、天井のスプリンクラーから水があふれ出す。


「やっば・・・・!!」

ルイスは突然のことに動揺し、冷や汗を掻いた。対し、ジョニーはニヤリと笑った。


スプリンクラーが作動したことで、ルイスの炎が段々と弱くなっていった。冷凍光線は徐々にルイスの方に向かっていってしまう。


と、その時だった。

「うぉぉぉぉらぁぁぁぁ!!」

ロックはジョニーの方へ飛び出し、鋼鉄化した体で飛び膝蹴りをジョニーの顔に喰らわせた。


「ぐへぇ!!」

ジョニーは顔に飛び膝蹴りを喰らい、光線の軌道をずらしてしまった。


さらに、ロックは間髪入れずに続いてジョニーの頭を掴み、バスケのダンクシュートのように頭を床に叩きつけた。


「鋼鉄のダンクシュートだ!!ざまーみろ!礼はいらねぇぜ、チャラ男!」

「・・・・礼は言わないよ。」

「て、てめぇら・・・・!どこまでも俺をバカにしやがって・・・・!!なんで俺ばかりこんな目に・・・・!!」

「・・・ジョニー、それは違うぞ。」

愚痴を叩くジョニーに私は言った。


「なにぃ!?」

「『なんで俺ばかり』・・・・そう思う人はたくさんいる。だが、それは逃げているだけだ。そうやって文句を言って、悪事を働くことが、君にとって『格好いい』ということか?それは違うぞ!本当に格好いいのは、どんなに辛く、険しくても戦って勝つことだ。・・・違うか?」

私は説教を始め、ジョニーを説得しようと試みた。


すると、ジョニーはぷるぷると拳を振るわせた。

「ジョニー・・・・」

説得が成功したと思い、私は手を差し伸べようとした。


しかし、

「何が・・・何が『逃げ』だァァァァ!!」

ジョニーは突然怒り、ロックを吹き飛ばした。


「うわっ、な、なんだ!?」

「そんな綺麗事聞きたくねぇんだよ!!俺の気持ちもわからねぇような善人野郎に・・・・俺の気持ちなんて分かってたまるかぁ!!」

ジョニーは怒りを露わにし、叫び声を上げた。


すると、彼の怒りに呼応したのか、体から白い風のような物を発し、背中から巨大なつららをせり出した。

『いいぞジョニー!そのまま怒りに身をゆだねろ!!』

「ウオオオオオオオオオッ!!」

ジョニーの声が低くなり、本物の化け物のような声になっていく。


「ちょっとちょっと・・・・このままじゃマズイんじゃないの?」

「ああ・・・・早いとこ終わらせるぞ!!みんな、奴を弱らせてくれ!とどめは私が決める!!」

「っしゃあ!」

「任せといて!」


「ウガアアアアアアアア!!」

ジョニーは叫び声を上げながら、白い息を突風のように吐き出した。


「そーらっ!!」

ルイスは両手から竜巻を巻き起こし、白い息を押し返す。


「今よ!」

「おうよ!」

ジョニーが風で押されてる隙に、ロックとリンはジョニーに向かって突っこむ。


「龍尾脚!!」

リンは下側から鋭い飛び蹴りをジョニーの顎に食らわせた。


「プラス・・・・!!アイアンハンマー!!」

リンの蹴りでジョニーの顔が上に上がったところで、ロックが渾身の一撃を顔面目掛けて振り下ろした。


「がはっ・・・・!!」

「おっさん、今だ!!」

「よぉし・・・・!!デモンズスクリュー!!」

私は四股を踏むように腰を入れ、上半身を後ろに反らす。反らした反動を利用し、ジョニーの「魔穴」、みぞおちにコークスクリューを繰り出した。


「ごふっ!!」

『こ、この一撃は・・・・こいつの体から、離れてしまう・・・・!!う、うわああああああ!!』

拳が命中した瞬間、フリードはまるでノリで貼り付けたページを剥がすかのようにジョニーの体から引き離された。


「お、俺は・・・・ただ幸せになりたいだけだったのに・・・・!!」

フリードから離れたジョニーは、気を失い倒れた。


『クソッ・・・!この役立たずめ・・・・!!』

フリードは気絶したジョニーを罵倒する。どうやら、信頼しあっていたのは嘘のようだ。


「出たな、お前の本音が。」

私達はフリードを取り囲んだ。


しかし、不利な状況にも関わらず、フリードは笑い捨てた。

『へっ!こ、これで勝ったと思うなよ!悪魔が死ぬことはない!他の人間に言っても信じてくれはしないだろうぜ。』

「確かにそうかもな。でも、君の存在を消してしまうことはできる。」

私はそう言いながら、腕の「ドレインバングル」を見せつけた。


『な、なんだぁそりゃあ・・・?』

『ドレインバングル。悪魔が持つアーツを奪い取ることができる。』

『な、なにぃ!?』

メフィストの言葉に、フリードは余裕がなくなり、一気に青ざめた。


『ふ、ふん!そんなものがあるか!どうせこけおどしだろ!?』

フリードは冷や汗を掻きながら強がりを言うが、メフィストはニヤリと笑う。


『なら、証拠を見せるか。「筋力強化」だ。』

メフィストがそう言うと、私の体は変化を始めた。私の全身の筋肉が膨張し、1.5倍にまで膨らんだ。


『こ、これは!パドロのアーツ!?ま、まさか本当に・・・・!?』

「さあ、どうする?アーツを奪われるか、降参するか・・・・」

私がそう言うと、フリードは両手を上に挙げた。

『こ、降参・・・・』

フリードは降参を示した。私はそれを見てコクリと頷いた。


「よし、ならとっとと地獄に帰るんだな。」

『くっ・・・・!!』

その後、フリードは地獄へと戻った。


私達はジョニーをロープで縛り、逃げられないようにした。

「さぁ、来るんだ。」

私はジョニーを警察に差し出そうと外へ出た。


外へ出ると、警察のパトカーが停まっており、警官達が何人も立っている。


私は警官達に向かって敬礼をし、ジョニーを差し出した。

「彼が、この事件の犯人です。」

「こいつが?信じられんなぁ・・・・」

敏腕刑事風の男が、私とジョニーを睨み、疑い始めた。


すると、

「その人です!私見ました!その人が大きくなって店で暴れてるの!」

「僕も見た!」

私達に賛同する者が現れた。それは、先ほどルイスが助けた女店員と、リンが助けた男の子だった。


「あっ、さっきの店員のお姉さん!」

「さっきの坊や!」


さらに、それに続き・・・・

「お、俺も見たぞ!」

「私も!」

「ワシもだ!」

二人に続いて、店にいたお客さん達も賛同した。


「みんな・・・・!!」

私は無償に嬉しくなった。なぜ嬉しいのか自分でもよくわからなかったが、心の底から喜びの感情が溢れる・・・・多分、これが、ささやかではあるが皆にヒーローとして認められたという証明なのかもしれない。


「・・・・おい!」

刑事は近くにいた警官を呼んだ。


「店の監視カメラを調べろ。証拠があるはずだ。」

「はい!」

刑事の命令に、警官は快く引き受けると、すぐに店の中へ入っていった。


「オホン!あ~、ご苦労だった。」

刑事は小さく咳払いすると、私達に賛美を送り始めた。


「君達のおかげで、被害は最小限に済んだ。・・・・ありがとう。私はニューヨーク市警のラリーだ。君達は?」

ラリー刑事の質問に対し、私達はニヤリと笑い、答えた。


「私達は、この街を守るヒーローチーム・・・・」

『パラディンフォース!』

私達は一斉にチーム名を叫んだ。


こうして、私達のヒーローとしての人生がスタートした。この先、幾多の困難や強力な敵が待ち受けているが・・・・そんなものに負けはしない!なぜなら、私達は「パラディンフォース」なのだから!



第1部 完



今回で第1部は終了です!次回から第2部が始まります!

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