とりあえずキャラが増えていく展開①
春。
暖かな陽気。
そして、
……1限目のチャイム。
これらはどれも素晴らしい。
いや、一つだけ違うな。
とにもかくにも、学園のチャイムがBGMとなり、いつもなら重々しく廊下を歩く俺の足が、今日は空に浮くような高揚感と優雅さがあった。
端点に言えば、遅刻である。
遅刻のいいわけとして、大輝を理由にしようと考えながら教室に向かう。いや、和葉さんの方がいいかもな……。
もはや遅刻のついでに、1限目ごとサボろうと思い、学園内を散歩していると……
おっ!金髪ポニーテールの美少女発見!
いやはや俺のレーダーは衰えてないな。ふぅ。
というか、職員室前だった。
あかん、俺はバカか……。
その女の子は困った様子でオロオロしている(ように見える)。
どうしたのだろうか。
胸のリボンをみると一年生カラーであった。
しかたない。ここは先輩という建前で話しかけてみるかな!
「って、美鈴ちゃんじゃん。どうしたのこんな所で」
「お、おはようございます! 翔太先輩」
そう、俺はこの少女を知っていた。
なにを隠そうさっきまで一緒にいたあの男(大輝)の実の妹なのだ。
確か祖母がイギリス人だったかで、クォーターなんだっけか。
奴と何回か遊ぶうちに一緒に遊んだことがある気がする。
普段は人を覚えるのは苦手だが、彼女の金髪が印象強かったからか、単純に可愛かったからか、どちらにせよよく覚えていたなぁ俺。
ここであっちが挨拶してきて、俺が「どちらさんですか?」なんていおうもんなら、それは大変なことになる。
知ってる人に忘れられるなんて辛いもんな。
それは俺が一番分かってる。
「それで、先輩はどうしてこんな所にいるんですか? 授業中ですよね?」
何か用事が?と可愛く首をひねって聞いてくる。
……しまった、遅刻のことを考えすぎてサボりがバレた時の理由を考えてなかった。
サボりだなんてバレたら、俺の面目が……。
くそ!考えるんだ、俺!!
「………えぇーと。み、美鈴ちゃんを探してたから?」
「私になにか用事が?」
お願いだから、そんな純粋な目で見ないで欲しい。
良心が痛むから。
「………ただ会いたかったんだよ(キリッ)」
なんて決め顔で決めてみる。
すると、
「そんな……私に合いたいだなんて……。嬉しいけど困ります」
最後の方が小さすぎて聞き取れなかったが、顔を赤らめてもじもじしているところを見ると、何か勘違いさせてしまったか……。
これ以上喋るとドツボにはまりそうな予感。
無理矢理話題を変えなければ!
「ところで、美鈴ちゃんはどうして……」
そう言いかけたところで、廊下の先から大声が響いてきた。