俺の日常にラブコメを求めるのは間違っているだろうか
父親からの破門の宣告を受けた次の日、俺はすでにこの学園にいた。非戦闘用の異能を発現したわけだから、もちろん『情報科』である。
新しい学校に通い、新たな生活が始まる!
……なんて希望に満ちあふれるどころか、今の俺はどん底の暗いテンションであった。
なぜなら……
「てめえ、どこに目つけてんだオラァ?!!」
「調子乗ってんじゃねぇぞ! オイ、聞いてんのか?ああん?」
……なんて不良に絡まれているのでした。てへっ☆
初日からですよ、初日。
こんな路地裏じゃ、大声を出しても助けが来ないわ! どうしましょう!
なんて乙女チックにヒーローを待っていても仕方がなかったので、
「……俺はこの学園に入ったばかりだから、規則とかぜんぜん知らないんだけど。んんー、学園長から聞いた『決闘』とか言うなんかでいいか? 面倒くさいから采配はお前らに任せたいんだがな」
と言うと、売り言葉に買い言葉と言うやつか、不良の性格上お決まりの言葉と言うやつか、
「あぁん、なめてんのか?」
「いっそボコボコしてやろうぜぇ!!」
十分後……
「す、すぴ、すびばしぇんでじだぁァ(がち泣き)」
「調子乗ってたのは、僕らっしたぁァ!!(がち泣き)」
あっさり勝負はついてしまった。まぁ、俺が武術で本気出したら、不良たちが逃げだそうとしたわけだが。
そうして俺は決闘において勝者の『お願い』を手に入れた。
後々、詳しく聞いてみたのだが、この『お願い』はどこからどこまでという明確な制限がないそうだ。
何してもいいとか、異性にたいして大丈夫なんですかね。グへへへへ。もうそれじゃあ、お願いではなく、脅迫だろ。
当時の俺がこんなことを知るはずもなく、学園の案内をして貰うことにした。
ついでに言うと、不良たちに学園の案内をさせてる時、周囲の目線がとても痛かったです。はい。
その後、『不良らを従えた一年生!』なんていう噂が広まったのはここだけの秘密。
まあ、言ってる時点で秘密じゃないけどな。