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再会したくない野郎ども


 体が小さいまま現場に向かうのはいくらなんでも危険すぎるし、行ったところで力を発揮できるとも限らない。それに双子戦で力を使いすぎている。どうにか最小限の異能で、和葉さんを救出するのが目的だ。


 敵の最戦線に踏み込むわけだ。大輝にはああいったが、無事に帰ってこれる保証なんてどこにもないのだから。ミイラ取りがミイラになってはいけないんだ。


 戦力がいる。だが、六魔は六魔で動いているから、大輝も仁さんも、いや如月も頼ることができない。


 それ以外で俺に協力してくれそうな奴は……。少し考えたところである奴らが脳内検索にひかかった。


 普段なら絶対に関わりたくないタイプの人間だが、こういう時に限っては誰よりも率先して動いてくれるはずだ。あいつらならきっと俺に力を貸してくれるはずだ。


 そう考えた俺はあいつらを一刻も早く見つけるために、まずは会場を探すことに決めた。


               **


「和葉様ぁ~、どこに行かれたのでありますかぁ~」


「やっぱりついていった方がよかったんじゃ……」


「和葉様が待機せよと命じられたんだぞ! その命令に背くなど言語道断ッ! 返ってこられるまでここに待つのが親衛隊としての任務だろうがッ!」


「「おおー!! さすがリーダーだ!」」



 見つけるのにそんなに時間はかからなった。というか、雑踏の中でひときわ大きな声を上げて自分たちの存在をアピールするかのように目立っていたのが紛れもない俺の用のある人物たちだった。


 会話の内容を聞く限りでは、あいつらはどうやら和葉さんがどこにいるかも、何をしているのかもわかっていないようだな。


 ここは条件を出して俺に協力させる形をとった方がいいか。単純そうだからうまく騙せそうな気もするが、和葉さんのことになると尋常じゃなくなるってのが経験済みだ。


 あんまりこの姿であいつらに見つかりたくないっていう気持ちもあるが、どうにか子供を装って騙す方向で行くか。


「あのー。お兄さんたちぃ?」


 我ながら酷い出来だ。自分でやってて悲しくなるな。


「む。なんだね、少年」


 リーダーの神月護(こうづきまもる)(だったか?)に話しかけると、わりとまともな感じで応えてくれた。まぁ、子供には普通の接し方する、みたいだな。


「リーダー! この子なんかにおいますよ!?」


 さっきまで後ろにいたはずのブタ丸くんが急に俺の方へやってきて、なにやら変なことを言いながらじっとした目線を俺に投げかける。


「な、なに……? お兄ちゃん……」


 えへへと気持ち悪い作り笑いを浮かべて、どうにか体裁を保って見せる。ま、まさかバレてないよな? こんな一瞬で見破られるわけが……。第一俺のことをこいつらが覚えているか、だが。


「ふんっ! 少年にお兄ちゃんなどと呼ばれてもまったく嬉しくないであります! どうせなら少女に生まれ変わってから出直してくるであります!」


 隣にいたメガネくんもピンクのマントを大きくなびかせて、片手を俺に突き出すようなポーズを決めて声高に宣言した。


 周囲の温度がかなり下がった気がした。


 なんだよ、こいつら。やっぱりまともじゃねえだろ……。相談する相手を間違えたか……?


「まぁまぁ、落ち着けお前ら。こういったことにも真摯に向き合ってこそ和葉様が喜んでくれるかもしれないんだぞ。だから私はこの少年の話を聞くことにするッ!」


「「リ、リーダーぁ!?」」


 なんだこの茶番。


 心の底から驚いているのかわからないが、大げさにがっくりしたような表情を見せるメガネと両手を組み合わせて前に突き出しているブタ丸。両者とも不本意そうに、唇を尖らせていた。


 そして、リーダーは。


「さぁ、なんでも話したまえ。少年よ!」


 制服に着けた白いマントをばばぁーんとはためかせて、両手を広げるポージング。


「はは、わーい……」


 俺はひきつった笑顔でそれを見るしかできなかった。


 

 

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