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プロローグ

 目が覚めると、見知らぬ部屋にいた。

 狭っ苦しい部屋だ。

 いや、狭いと感じるのはものが多いからかな。

 今、私が寝ているベッド。大きめのデスクとその椅子。

 デスクの上にはパソコンのモニターが乗っている。下には、なんだか自作臭いパソコンが光っている。

 あとは、冷蔵庫と電子レンジ。

 ここまではいいのだけど、棚が多い。本棚が5つのに普通の棚が三つ。なんだって、こんなに棚が多いんだろう。

 ……と、それよりもおかしなことがある。トイレの入り口のドアはあるのに、玄関のドアが見当たらない。ひょっとして、あのトイレのドアみたいなのが玄関のドアなのかな。あるいは、トイレ越しに玄関がある不思議間取りとか。変な間取りの欠陥住宅とかあるし。

 そうでなかったら、密室?監禁?…そう思って、ベッドから体をもたげる…その瞬間、パソコンの起動音がなった。パソコンには…


  <YES>  OR <NO>


という選択肢らしきものが表示される。それと同時に、パソコン用の椅子がくるりとこちらに向く。椅子にはちょこんとのねずみのぬいぐるみらしきものが座っている。椅子が回転するのはどういう仕掛けなんだろう…


 「おはー、ってもうその時代には古いか」

 「なにはともあれこんにちは、そこから抜け出したいよね?」

 「YESなら、キーボードのYを押してね。NOならNだよ」


 ぬいぐるみがしゃべる。といっても、いかにもスピーカー越しにしゃべっているってかんじだ。          

 私はベッドから降りて、椅子に座るぬいぐるみを横目にパソコンに近づく。当然、YESを選択する。


 「よろしい。では、あなたには異世界の神様になってもらうけどいいかな?」

 

 私はノベル系のゲームとかはとにかくYESを連打するタイプだ。そのせいで、ちゃんと聞く前にYESを押してしまった。まあ、でも大丈夫だろう。


 「じゃあ。目的とその手段、あなたができることを表示するね」


パソコンの画面が切り替わる。

 

<目的>

 今いる状態から抜け出すこと。

<手段>

 異世界で育てた戦力と現実世界の戦力を使って密室状態を作り上げている力の根源を打ち倒す。

<あなたができること>

 特定のタイミングに、

 ①現実世界の人を転生もしくは召喚によって異世界に送り込むこと

 ②特別なスキルあるいはアイテムを授けること

 ③お告げによって情報を与えること

 この中のいずれか一つ。

 ※特定のタイミングは不定期に訪れる

 ※ピンチに駆けつけて手助けするなどの直接的な干渉はできない。



 「これから実行すべきことの順序と留意点も説明しておくね」

 また画面が切り替わる。



ステップ1-転生者または召喚者を異世界に送り込む

※あなたは、特定の人物を異世界に送り込むことはできるが、その人物を異世界から現実世界に戻すことはできない。

※一人ではなく複数人異世界に送り込むことも可能

ステップ2-異世界で送り込んだ人物を強化する

ステップ3-現実世界で協力者を見つけ、異世界で強化した人物を現実世界に再召喚する。

ステップ4-現実世界で密室状態を作っている力の根源を打ち倒す。

※異世界で、力の根源と戦うことはできない。


「まあ、だいたいこんなかんじかな。質問はある?」


 ああ、質問させてくれるのね。とはいえ、異世界の神様になるか……要するに、このふざけた遊びに付き合えば、いずれは解放してくれるということだろうか。あるいは、言うことを聞いても開放してくれないのだろうか。ともかく質問しよう。


 「あなたは誰ですか?」


 あ、ひょっとしてキーボードで打ち込まないちいけないのではないだろうか。言った後、ちょっとしまったと思ったけど…音声で入力できるのか、勝手に私が言った質問がモニター上にも表示される。


「えっとね。今君と話している僕は単純なAIみたいなものだよ。僕は君に状況を説明するために作られたんだ。だから、S○RIさんと同じで完全に想定外の質問にはちゃんとは答えられないよ。


 AIね。本当にそうなのか。ちょっと疑わしい。でも、相手に合わせて続けよう。


「では、監禁をしたのはあなた?じゃなければ、あなたを作った人?監禁をした目的は何?あなたを作った人はどんな人なの」


「一度にそんなにたくさんの質問をするなんてひどいなあ」

「監禁をしたのは……そうだね…僕を作った人だね。現実世界と異世界の狭間にこの空間を作って君を閉じ込めたんだ」

「目的は…そうだな、大したことじゃないけど、今は秘密、また今度教えてあげるよ」

「僕を作った人がどんな人かって。君と同じかわいい女の子だよ。君よりもちょっとお姉さんだけどね」

 

 話によると犯人は女のマッドサイエンティストみたいなかんじかな。

 さっき、言っていた「力の根源」っていうのもその人ってことになるか。あるいは、その人が作った強大な何かかも。作ったけど制御できなくなったとかはよくあるストーリーだし。それから、私は狭間の世界にいるのか。まあ、そういう設定だろうけど。どうも頭のおかしな人に捕まった人みたいだ。今のところ私自身に危険はないみたいだけど。ともかく、もう少し話を合わせて、いろいろと聞き出さないと。


「まあ、質問はあとでもゆっくりできるさ」

「まずは、ステップ1を始めて見よう」

「プロフィールとパラメータを表示するから好きな人を選んで」


 すると、膨大な数のデータが表示される。いや、こんなの見きれないでしょ、と思ったけど、よく見ると設定のところに並び替えのボタンがある。

 攻撃力、防御力、魔力といった項目を昇順•降順で並び替えられるみたいだ。いろいろと試してみる。体力も攻撃力もさほど飛び抜けた人はいないようだ。次に魔力を降順で…ん、なんだこの魔力が馬鹿高い人は、二番目でも80くらいなのに、この人だけ999って小学生が設定したパラメータみたいになってる。∞とかになってないだけましだけど、これカンストしてるんじゃないだろうか。しかし、それに対して運命力が低いな。でも、この人にするかな。


名前:渡辺ヒノキ

性別:男

年齢:18歳(大学生)

 体力:50

 攻撃力:50

 防御力:50

 魔力:999

 知力:50

 運命力:5


 他の人のパラメータから類推するに50が平均みたいだ。とすると、魔力以外はだいたい平均だな。

 運命力ってなんだろう。


 「じゃあ、異世界に移動させる手段を選んで」

 

 モニターにそう表示されると、家にある棚が何か所が光り始めた。

 一冊の本、羊のぬいぐるみ…そして「転生トラック」と書かれたトラックの模型…この三つが光っている。

 …………なんだかわからないけど、私は最後の一つを選んだら負けだと直感的に感じた…

 


 

 








 











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