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7話「決闘 前編」

5キロ痩せました

 ハヤトとアキラは武器の一流メーカー『疾風』の本社の中にある広場へと移動した。

ここは新作の武器などの試し斬りなどに使用する場所だと社長が説明した。


 「ここだったら、思っきり動けるな」


 「ねぇ、本当に決闘(デュエル)やるの??」



 決闘(デュエル)とは、冒険者同士が己の強さを発揮させるために行われる強さ試しみたいなものだ。

ルールは至ってシンプル。相手を戦闘不能にさせるか、武器を手から手放させるかである。ちなみに、闘う者達同士でオリジナルでルールを設け決闘するケースもある。



 「うん。嫌??」


 「嫌じゃないけど」


 「じゃあ、もしアキラさんが勝ったら何でもお願い聞いてあげるよ」


 「早くやりましょ!!!」


 ハヤトの提案で、乗り気じゃなかったアキラは、テンション高めで決闘の準備に取り掛かる。


 もし、これで勝てばハヤトをSランクに昇格することが出来る!!やった!!


 と、心の中で思いながら、アキラは自分のアイテムボックスから愛槍である『ユニコーンランス』を取り出す。


 「ほぉ、これは珍しい。『ユニコーンの角』を素材にした武器ですか」


 アキラの武器を見た社長は、珍しくハヤトよりユニコーンランスの方に興味を示した。

流石は武器商売の社長。価値が分かってる。


 「はい。フリーダンジョンの時にたまたまユニコーンの死骸を見つけまして……」



 忘れもしない。Aランクだった時に、たまたま見つけた洞窟でユニコーンの死骸を見つけた時のあの感動を。そして、それを持ち帰り出来上がったこのユニコーンランスを初めて手にしたあのときめきを。

正直言って、私はこの武器があったおかげで何度も厳しい壁を乗り越えられたし、Sランクに昇格できた理由もこの武器があったからこそだと思う。



 「ほう。そうですか………。もし、その武器を修理または改良したい時は是非我社の方に立ち寄ってくださいね。」


 「はい!!ありがとうございます!!」


 「ねぇ!!早くやろうよ!!」


 アキラと社長が会話している中で、ハヤトが子供みたいに駄々をこねる。早く、自分の新しい武器を試したいらしい。

でも、せめて数分ぐらい我慢しようよ………


 「はいはい。ルールは正規でいいよね??」


 「おう!!ねぇ、社長さん!!審判よろしく!!」


 「分かりました。では、両者前へ」


 ノリノリで審判を引き受けてくれた社長の言葉で、ハヤトとアキラは前に出て、戦闘態勢に入る。


 「どちらかが戦闘不能の状態、又は武器を手放させた時点で決闘は終了です。両者、準備はよろしいですか??」


 ハヤトとアキラは真剣な表情になりながら、互いに頷く。

こうして、改めて考えるとアキラはハヤトと闘うのは初めてだ。彼の闘う姿はあのクエストの1度きりしかないので、この決闘を通して、どんな戦い方をするのかじっくりと観察しようとアキラは思った。


 「それでは、始めっ!!!」


 社長の合図の直後に、アキラは反射で瞬きをし、目を開けた瞬間



 「ッッーーーーー!!??」



 少なくとも5メートルは離れていたハヤトがアキラのすぐ目の前におり、ライトソードαの刃先がアキラの腹に斬り掛かる直前だった。


 「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


 アキラは吠えながら、反射的にユニコーンランスでハヤトの攻撃を受け止めた。そして、すぐアキラは反撃をしようとしたが、ハヤトは素早く後退し、距離をとった。


 もし、ハヤトの攻撃をあとコンマ秒遅れていたら確実に殺られていた……………


 アキラは荒い呼吸を上げながら、気づいたら大量にかいてあた汗を腕で拭う。そして、またすぐに戦闘態勢に入る。


 「おぉー!!軽い軽い!!確かに前のやつよりも扱いやすいぞ!!」


 「ちょっと、ハヤトくん速すぎないかしら!?」


「それが、俺の得意とする戦い方だからね」


 やっぱり、こいつFランクの冒険者ではない動きをするな!!と思いながら、今度はアキラがハヤトの方に接近し、ユニコーンランスで素早く突く攻撃をする。

しかし、それを軽々と躱したハヤトはジリジリとアキラに近づき、そのまま剣を振り下ろし、それがアキラの横腹に直撃した。


 「くっ!!!」


 ライトソードαの剣を喰らったアキラは一旦距離を取る。武器の火力はパワーアップしてもランクがランクなので高くはない。

しかし、このままハヤトの神速攻撃を喰らい続けると小さい攻撃が積もり積もって大きいダメージとなってしまう。

真正面から当たったら殺られると判断したアキラは目を閉じてユニコーンランスを地面に突き刺した。


 「何してんの??」


 「……………」


 「なら、こっちから行くよ!!」


 ハヤトは思っ切り地面を蹴り、物凄い速さでアキラの方へ向かう。あと、数秒もすればハヤトの攻撃範囲に入ってしまう



 「速いなら、動きを止めてしまえばいい。」



 ニヤッと笑ったアキラは、ハヤトの動きをまるで分かっていたかのようにユニコーンランスを強く握り、叫ぶ。




 「属性スキル発動!!」




 すると地面に刺さっているユニコーンランスが白く輝き始め、刺さってる部分の地面が凍り始め、そこからあっという間に広場全体の地面がツルツルに凍ってしまった。


 「何っ!?」


 しかも、ハヤトは自分の足が凍ってしまった地面にやられ、身動き取れない状態になってしまった。



 属性スキルとは、高ランクの武器のみが使える特性みたいなもの。例えば、アキラのユニコーンランスの属性スキルは『氷』。属性スキルの種類は豊富であり、しかも武器によってランダムなので自分の戦闘スタイルに合っている属性スキルが出るまで武器を厳選する冒険者も少なくはない。




 「悪いけど、これで終わりよ!!」



 そして、アキラは素早く武器を抜き取り、身動き取れないハヤトの方に接近して腹に目掛けてユニコーンランスを突き出し、ハヤトをぶっ飛ばした。ハヤトは吹っ飛ばされている途中、何回か地面にし、そのまま広場に植えられている大木に直撃して倒れた。

低ランクの防具が、Sランクの攻撃に耐えられるはずもない。

これでハヤトは気を失うはずだとアキラは予測していたが…………


 「ぐぬぅ!!根性ぉぉぉぉ!!」


 ハヤトは痛みを我慢し、歯を食いしばりながらなんと立ち上がった。表情からして見てとてもキツそうである。

アキラは信じられないという表情をして、


 「ど、どうして??」


 「気合いと根性さえあればあんな攻撃屁でもねぇよ」


 「いや、とても辛そうに見えるんですけど!?」


 今すぐにでも倒れそうなハヤトが意地を張るのでアキラは軽くツッコミを入れた。どうして男の子は維持を貼りたがるのだろうか


 「俺、まさかアキラさんがこんなに強いなんて思ってもいなかった」


 「何よ急に」


 「いやいや、マジの話。てっきり、Sランク冒険者って言うのはアキラさんの中の架空の話で将来お笑い芸人のツッコミ担当を目指す人だと思ってたもん」


 「めっちゃ失礼じゃん!!」


 アキラが大声でツッコんだあと、ハヤトは何回か深呼吸をしてゆっくりと戦闘態勢に入った。これを見たアキラもすぐに戦闘態勢に入る


 ダッ、とハヤトは凍っている地面に上手く重心を乗せ、そのまま、アキラの方に突進していくかのように直進した。とても速いが、やはり先程のアキラの攻撃が響いているのか以前よりもスピードは出ていない。

またしてもアキラはユニコーンランスの属性スキルを発動しようとした瞬間、接近しているハヤトがニタァと不気味な微笑みをしながら一言呟いた。




 「属性スキル…………発動」

補足。

属性スキルを発動する時、体力が物凄く消費します。Sランク冒険者のアキラさんでも打てて3回が限界です。


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