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4話「結婚!?」

 アキラはハヤトと一緒にいて、初めてこの場から離れたいと思った。てか、ものすごく帰りたい気持ちでいっぱいだった。


 目の前にいる女性………チアキは、邪悪な殺気のオーラを片っ端から放出し、アキラを睨み続ける。このオーラを感じた一般人は、ブルルッと身体を震わせ、逃げるかのように歩く速度を早くしていった。


 「あぁ、こちらはアキラさん。ただの知り合いだよ」


 チアキの殺気のオーラをまるで感じていないかのようにハヤトはサラッとアキラをチアキに紹介した。

アキラはチャンス!!だと思い、弁解の気持ちを込めてこの流れに乗ろうと行動に出る


 「はじめまして。冒険者をやっているアキラと申します。ハヤトくんとは先程本人自身も言われた通り、知り合いです。」


 これで完璧だ!!と、アキラ自身でも思うぐらいの自己紹介をする。これで、きっとチアキの誤解も解いてれることだろう


 「つまり、私のライバルって事ね」


 「人の話聞いてました!?」


 アキラの弁解をオール無視して、チアキはさらに殺気のオーラを強くしてアキラの方をギリッと睨みつける。ちなみに、この状態で近くを通り過ぎた一般人は泡を吹いて倒れてしまっていた。恐らく、今のチアキはAランク冒険者に匹敵するぐらいの実力だろう………と、アキラは正直少しビビっていた。

女の恋の執念ってやつはこんなに恐ろしいものなのか………


 「何だよ〜、もう2人仲良しじゃ〜ん」


この男の視界はどうなっているのだろうか………、とアキラは呆れる。どう見ても、仲良しどころか犬猿の仲にしか見えないはずなのに!!この男、鈍感すぎる!!


 「じゃあ、そろそろ食材調達しに行きますかね」


 ハヤトは方に手を置き、ぶんぶんと腕を振り回す。この姿を見たチアキは先程の殺気が嘘のようになくなり、ぱぁぁ、と顔を赤く染めながら、ときめいていた。


 「んじゃ、チアキちゃん!!また後でね」


 「はい!!よろしくお願いしますね!!」


 チアキは何度も頭を下げて、礼を言う。ハヤトは苦笑いしながら、「いいって」と言い、食材を調達しに向かおうとしていた。


 「あ、じゃあ私は帰るね」


 アキラは、手を短く挙げ、ハヤトに伝える。ハヤトは少し驚いた表情になり、チアキは少しホッ、とした表情をとる。


 「え?アキラさん、帰るの?」


 「うん。元々、私たちパーティ組んでないからクエストに参加できないし、時間も時間だしね」


 本当はもっとハヤトの行動を見ていたかったが、チアキの目線も気になるし、先程言った通り、ギルドのクエストをする際に2人以上で挑む時はパーティを組んで受付に行かなければならない。もちろん、ハヤトはソロの方で受付しているはずなのでアキラはこれからクエストに向かうハヤトにこれ以上干渉してはいけないのだ。

あと、もうあれから結構な時間が経ち、今はすっかり夕方だ。空が夕焼けで綺麗だった。


 「そっか…………。それはしょうがないね。じゃあ、またね。アキラさん」


 「うん、またね」


 きっと、すぐにまた会えるだろう、とアキラは思い、ハヤトは食材を調達しにクエストへ、アキラはギルドの方へ向かったのだった。


 ♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


 ギルドに戻ったアキラは、まず周りの冒険者からハヤトについて色々と聞かれたが、それを見事にスルーし、クエストボードの方へ向かった。


 「んー、特にないなぁ」


 クエストボードの依頼表を見ても、アキラがしっくりと来るクエストが無く、残念だと思い酒場スペースの方へ行くと


 「オーグさん………、流石にそれはヤバいっすよ」


 「うるせぇ!!俺はあのカス野郎がどうしても許せねぇんだ!!邪魔すんな」


 「いやいや、本当にダメですって!!オーグさん、冒険者クビになりますよ!!」


 酒場スペースのテーブルで、先程ハヤトに喧嘩売ったオーグと手下2人が何やらヒソヒソと話していた。オーグに関してはまだハヤトのことを許していないらしく、何かやらかすつもりだが、手下2人が必死に説得していた。

 アキラは特に関わる必要は無いだろう、と判断し酒場のマスターに酒を注文した。


 「あら、アキラじゃない。帰ってきてたのね」


 注文したお酒を飲んでいると、声をかけられた。声のした方を見ると、1人の女性が立っていた。顔は整っていおり、まさに美貌を擬人化したかのような顔たちで、髪は藍色で腰ぐらいまで伸びているロングヘアー。身長は170ぐらいで、服装は彼女の特徴である大きい胸を強調しているかのような防具で、しかも露出が多い。普通にどっから見ても、痴女にしか見えない


 「そっちは相変わらずね、ラン。少しは露出を減らしたらどうなの??それ、防具の意味ある?」


 「ちゃんとこの露出の多さには意味があるのよ。こういう防具の方が動きやすいし、男性冒険者のテンションを上げたりとか…………ね☆」


 「ね☆じゃないわよ!!何そのドヤ顔!!」


 ランと呼ばれているこの女性はアキラの冒険者の同期であり、良き友人(?)である。一見、ふざけるしか脳がない女性にしか見えないが、冒険者の実力はかなり高く、こう見えてSランク6位の冒険者である。てか、Sランクの冒険者は変なやつしかいない。


 「で、今回のクエストはどうだったの??クリアしたんでしょ??」


 「うーん、どうだろう」


 実際、ハヤトが来なかったら確実にアキラ含め他の冒険者たちも牛鬼に殺られていたし、複雑な気持ちだ。しかも、今回のクエストのMVPはアキラになっている。


 「これで、ランクの順位上がるといいわね。あ、そうそうどうでもいい事なんだけど、聞いてくれる??」


 「急だね……、どうしたの??」


 こういった前振りをする時のランは本当にどうでもいい事しか言わないので、この流れに慣れているアキラは素直に聞いてあげる


 「近いうちに私、結婚して冒険者引退する」


 「え?」


 「そして、今妊娠3ヶ月」


 「ぶほっ!!」


 アキラは丁度飲んでいた酒を盛大に吹いてしまった。そして、ゲホゲホとむせているとランは少し引いたように


 「汚いわねアキラ。そんなに驚くことじゃないでしょ??」


 「いや、驚くわよ!!何、爆弾発言をサラッと言ってんのよ!!」


 詳細を聞くと、他の国に住んでいて、10年間ずっとお付き合いをしていた彼氏が、ランの妊娠を知った直後にプロポーズしたこと。もちろん、ランはそのプロポーズに対し、OKを出し、近いうちに結婚式を挙げるのこと。


 「っと、こんな感じかな〜。私的には冒険者続けたいけど、こんな身体じゃねぇ………」


 「しょうがないわよ。ねぇ、ラン」


 アキラの呼びかけに対し、ランは「ん?」と反応する。アキラは目に涙を浮かべながら


 「結婚しおめでとう。ランが冒険者を引退しちゃうのは寂しいけど………、幸せにね!!」


 アキラにとって、ランは冒険者になってFランクからずっと一緒に切磋琢磨しながらやってきた大事な友達だ。その友達が、結婚するのだ。それを祝ってやるのが、真の友達っていうやつだろう。


 「あ、ありがと」


 まさかアキラが、こんな言葉を言うとは思わなかったのだろうか、ランは目を丸くしたあと、顔を赤く染めて照れているのを隠すように顔を俯かせた。


 「そっかー、結婚かぁー。ちょっと羨ましいかも」


 「アキラは誰かいい男いないの??」


 この言葉で、アキラは真っ先にジャンの顔が頭の中に思い浮かんだ。異性としてはあまり認識はなかったが、アキラのことを凄く尊敬し、慕ってくれていた。けど、ジャンはもういない。

アキラは帰りの馬車で、ジャンの死が悲しくて耐えられなくなって凄く泣いた。今は落ち着いたと思っていたが、ジャンの事を思い出した瞬間、また泣きそうになった。


 「いないかなー」


 「え?でも風の噂で聞いたんだけど、今日アキラ男性冒険者に逆ナンしたんでしょ??」


 「え!?してないけど!?」


 いや、ハヤトを連れ出す時、あまり自覚はなかったが、第三者からしたらあれは逆ナンにしか…………見えなくもないな。ランはさっきからニヤニヤと意地悪っぽくアキラを見つめる。アキラは誤魔化すかのように言葉を出す。


 「そ、そーいえばランが引退しちゃったらら、Sランク6位の所が空いちゃうよね。やっぱりそこは繰り上げになるのかな??あははは」


 「あ、そうそう。その事に関して相談があってさー」


 「相談?」


 アキラはぽかん、とした表情になる。ランが相談しに来るなんて滅多にないことだからだ。


 「うん。ギルドの人に引退するって報告した時に私のランクの所に入れる人を推薦してくれって言われてさ〜。ほら、私クエストとかやる時、緊急クエスト以外はほぼソロじゃん??だから、誰がいいのか分からなくてさ〜。人脈あるアキラならいい人知ってるんじゃないかって思うんだけど〜」


 「なるほどね。うーん、そうだなぁ」


 Cランク以上で冒険者としての実力がある人をほぼ把握しているアキラは、何人かの冒険者を頭に浮かべるが、その冒険者たちがSランクとしての器があるかといったら疑問が残る感じだ。


 そして………





 「あ!!1人だけ最適なやつがいる!!」






 アキラが思い浮かべたのは、今頃200人分の食材を調達しているあのFランク冒険者だった。



感想・ブクマ待ってまーす。

ちなみに、ランさんの年齢は25です。

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