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洋上のアルス・マグナ  作者: kitaro-
第二章:二人の少女の対人事情
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第二章:二人の少女の対人事情――3

          ◇  ◇  ◇


 ――話が随分とややこしいことになってんなあ……。


 道真は、頬杖を突きつつ、半眼で吐息する。


 永劫の命を手に入れた錬金術師、アデプト。その目的は、〝完全〟を求めて研究を続けることらしい。

 一体全体、バハムートと呼ばれる人物が、何を考えているのかはサッパリ分からないが、一般人の自分には思いも付かぬ考えあってのこと、だろう。


 転生者たちの中にも、複雑な事情があるようだ。

 とにもかくにも、疑問は本人にぶつければ良い。幸いなことに、捜索は容易だ。

 何故ならば、


「あんたとバハムートって人は、友人関係なんだな? じゃあ、話は簡単だ。容姿の特徴さえ掴めてんなら、片っ端からカメラをハッキングすりゃあ、一日以内に解決だよ」


 武と自分とで、錬金領土の監視カメラ、防犯カメラに手当たり次第侵入すれば、この場にいながらでも捜索は進められる。


 電子機器は武の支配下にあるのだ。

 壁に耳あり障子に目あり。プライバシーの侵害過ぎるが、……まあ、あれだ。事情が事情だし、ヘルメスも黙っていてくれるだろう。

 緊急避難的な合法手段ってことで。


 しかし、ヘルメスが神妙な顔つきで首を振った。横にだ。


「残念だけど、ワタシの記憶は頼りにならない。バハムートは生体系錬金術のエキスパート。容姿の偽装なんて訳がないんだ」

 何せ、

「彼女は、自分の〝塩基配列えんきはいれつ〟――つまり、遺伝情報を自在に編集できる。それによって、人外の特殊能力すら会得可能なんだ。場合によっては、年齢すらも誤魔化している。そんな可能性もあるからね」


 ……チートな能力者がいたもんだなあ――。


 正直な感想だ。


 確かに、この地球上には、再生能力を持っていたり、若返ることができたりする生物はいる。

〝ベニクラゲ〟に至っては、不老不死の生物だと噂に聞くが、そのバハムートっていうアデプトは、そんなことが可能なのか?


「ワタシ一人で捜索しても、手掛かり一つ掴めないかもしれないんだ。――動機は分かってくれたかい?」

「まあな。見ず知らずの地で、実質上の変身能力者を探すなんて、ツチノコの発見くらい難しそうだ」


 ヘルメスの依頼の理由は、良く分かった。

 都合の良いことに、自分と武は〝システムギルド〟に所属している。錬金領土のネットワークを管理する職業柄、粗方の情報は掌握できるだろう。

 彼女に取って、パーティーとするなら適任だ。


「引き受けてくれるかな?」


 尋ねてきたヘルメスに、


「一つ、聞いても良いか?」


 道真は尋ね返した。


「その複製されたアルス・マグナを用いたら、何が可能になるんだ? 話の流れから言ったら、ろくなことじゃねえんだろ?」

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