表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

てるてる坊主

 やすきくんはいじめられっ子だ。


 一年生の時からずっといじめられてる。


 五年生の今になってもそれは変わらない。


 周りのみんなも先生も いつしかそれが当たり前だと思ってる。


 やすきくんは考える。どうしてボクはいじめられるのかな?


 ボクがイヤだって言わないからかな? 何かされてもただ笑ってるせいなのかな?


 ああ、多分みんなはボクをいじめてるって感覚がないんだろう。


 でも、ボクはいじめられてる。そんな自分が、ボクは嫌いだ…


 やすきくんの想いは 誰も知らない、気づかない。



 昨日も放課後教室で、やすきくんはみんなから言われてた。


「明日は七夕だろ? おい、お前もてるてる坊主を作ってお祈りしろよ?」


「そうだぞ。明日はヒコボシとオリヒメの一年に一度のデートの日だからな」


「もし雨が降ったらお前のせいだからな。いいか? てるてる坊主、忘れるなよ?」


 やすきくんはいつもの様にただ笑っているだけ。


 その夜、やすきくんは考えた。てるてる坊主か…大きなてるてる坊主…


 自分の部屋から布団のシーツ、ベランダから洗濯ヒモを持ち出した。


 それから深夜の道を、自分の学校へと急いだのだ。


 何とか自分の教室に忍び込んだやすきくん、持ってきた蝋燭の灯りで 黒板に向かう。


 熱心にチョークで何かを書いた。


 書き終わると頭からシーツをかぶって 洗濯ヒモを首にかけ…



 七夕の日の朝、教室に入ってきたクラスメイトたちが見たものは…


 黒板いっぱいに書いてある、これまで彼をいじめた生徒と先生の名前。それと、


 【これはボクの復讐だ 七月七日を忘れるな…お前らが作った てるてる坊主を忘れるな…】


 という文字。


 それから一際目を引いたのは、窓際にぶるさがっている、大きなてるてる坊主だった。




 







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 自分は無いから気にして無かったから、何処かでいじめに苦しんでいる子、人沢山いると考えさせてくれた話でした。 [一言] 悲しい結果になってしまったけれど、きっと本人は満足して仕返しができたん…
[一言] 読ませてもらいました。 さくっとしたホラーで好みです。人によっては、結末が読めると思われるかもしれませんが、短編なんてこんな感じでいいのではないでしょうか。 観弥さんの、七夕のアイディアも面…
2015/07/14 22:33 退会済み
管理
[一言] せっかく七夕なので黒板よりも笹の葉に生徒達の名前の書いた短冊を吊るしたら面白いんじゃないかと私は思いました。想像したらちょっと怖いですよね、てるてる坊主も一緒にと考えましたがさすがに七夕用の…
2015/07/08 11:17 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ