強者との合流
ゲームやってて更新遅れに遅れとるんや・・・
「そう、知らないの・・・」
写真に写る美少女を知らないと答えた日本の平凡な女子高生、宮川澄子が出した答えに、美しい外見とは裏腹に、最新式の自動小銃を持つ女兵士カレンはそのまま立ち去ろうとした。
流石にそれは駄目だったのか、澄子に左手を掴まれて止められる。
「ちょっと! あんた兵隊かなんかでしょ!? 私を安全地帯にまで連れてってよ!」
「はっ? 連れていく・・・?」
どうやらカレンは、軍人が為すべき武器を持たぬ者達、所謂民間人の保護について余り詳しく無さそうであった。
彼女が今まで相手にしているのは武器を持った者達であり、例え民間人でも銃を持ち、撃っても良い相手であった為、護衛任務を一切やってこなかった口である。
自分を安全地帯にまで連れて行けと言う澄子に対し、カレンは頭を抱えながら教科書に書かれている民間人の保護の項目を思い出し、安全地帯にまで連れて行くことにする。
「まぁ、こんな所で民間人を放っておくのは駄目だから・・・連れてってあげるわ。その代わり、貴方も戦ってよね」
「はっ? 戦え? 本気で言ってんの?」
連れて行くと言ったカレンは、道中手に入れたFN ブローニングM1910自動拳銃を渡したが、当の澄子はそれを拒絶した。
「何って、私に全部押し付ける気? いくら何でも上等兵な私でも無理だってば」
「そう言う訳じゃないの! あんたホントに軍人なの? あり得ないわ、民間人にも銃持って戦えって!」
「貴方ね、人に何でもかんでも押し付ける口? 自分の身は自分で守れって教わらなかったの?」
「はぁ!? マジで言ってんのあんた。ホントあり得ないわ・・・マジで軍人なの? それともあっちの人?」
互いの価値観の違いに口論が始まるが、現れた男に中断させられた。
「死ねぇ! 死ねぇぇぇえええぇぇぇ!!」
「キャァァァ!!」
「うわっ!?」
手に持った猟銃らしき銃を奇声を発しながら乱射してくる男に対し、カレンは遮蔽物に身を隠し、澄子はその場に伏せた。
直ぐにカレンは手に持ったM&P15自動小銃を錯乱した男に数発ほど撃ち込み、黙らせようとする。
「う、うぼぁぁぁ・・・」
身体に空いた複数の銃創から血を吹き出しながら、男は両膝を地面に着けたが、それでも銃を握る手を離そうともしなかった。
「薬物中毒者!?」
多大なる薬物摂取で痛覚が麻痺した敵兵と思ったカレンは、蹲っている男に容赦無しに頭に撃ち込み、完全に排除した。
頭の一部が欠けた男は地面に倒れ込み、脳髄をぶちまける。
「終わった・・・?」
カレンは脳髄をぶちまけた男に近付き、完全に死んでいるのを確認した後、地面に伏せている澄子に無理矢理立たせて銃を強引に渡した。
「これで分かったでしょ? 脅しように持ってても構わないから、一応は持ってなさい」
「は、はい・・・」
先程の混乱が解けていない澄子は、カレンの指示を従った。
「それで良いの。それじゃ、行くわよ」
カレンがそう告げれば、澄子は彼女の後ろからついていき、共に安全地帯へと向かった、
一方、謎の男、シャドウに認められた桑部正芳達はと言うと、武器庫にて武器の説明を受けていた。
全員の前に立ったシャドウは、左手に尤も人を殺した銃で有名なAK47突撃銃を握り、その銃について説明を行う。
「こいつは、ロシアの偉大な発明家が作った銃、AK47突撃銃だ。ここが安全装置と、銃の連射か単発を選ぶレバーだ」
銃の右側を見せながら、シャドウは簡単に説明する。
「この銃が凄いことは、泥水に落とそうが砂の中に落とそうが問題なく稼働し、更に子供でも簡単に扱えてパーツが少ないから分解も用意だ・・・猿でも芸を教え込むように学ばせれば、使えるようになる傑作突撃銃だ」
「成る程・・・だからアフリカの少年兵達が使ってるのね・・・」
シャドウのAK47がどれだけ凄いか分かる説明に、大和撫子のような外見を持つ女性が納得した。
実際、AK47は操作性が簡単であり、子供でも容易に扱える代物だ。
密造されたその銃はテロリストの御用達の物であり、今でも多くの紛争やテロで使われている。
「取り敢えずだ。銃の扱い方が知らない連中が多いお前等に、この代物を渡しておく。これは・・・お前だ、そこのお前が持て」
AKの説明を終えたシャドウは、正芳に視線を向け、今持っている銃を渡した。
「あ、ありがとうございます・・・俺、銃を撃ったことが」
「あぁ、そう言うのは良いんだよ。何回も言う奴が居るから聞き飽きてんだよ。遠慮すんな、お前でも扱えるって、絶対に。お前より頭が悪そうな連中でも使ってるんだぜ? 行けるって、マジで」
「は、はい・・・」
シャドウの機関銃のような言葉に、正芳はその小さな殺戮兵器を半ば強制的に持たされた。
「俺はコレにするか」
「おぉ、でっかい兄ちゃんは74か。そいつは47よりちょいと脆いが、命中率と反動は優れ物だからな。所でお前、名前、なんつったけ?」
武人のような男が取ったAK47の小口径モデルであるAK74を手に取ったのを見たシャドウは口を開いたが、名前を聞いていなかったのか、その男に名を問う。
「三輪田貞雄。元陸上自衛官、普通科所属だ」
「三輪田、三輪田ね・・・道理で日本人にしては肝っ玉が据わってる訳だぜ」
三輪田と名乗った男に対し、シャドウは二度その名を口にしてから他の日本人とは違う雰囲気の訳を知って納得した。
他の面子の名前を聞いていなかったのか、シャドウは全員に名乗るよう提案する。
「そういいや、お前等の名前聞いてなかったわ。取り敢えず名乗ってくれや」
男の態度に何名か苛ついたが、以下にもオタクという風貌な日本人の男が最初に名乗り出た。
「灰川真・・・労働者っす・・・それと、軍事オタクっす」
「道理でここにある銃を見て興奮した顔付きしてた訳だぜ。次、そこの、ナチの親衛隊の親玉みたいなおっさん」
真が銃を見て興奮していたのを納得すれば、丸眼鏡を掛け、ナチス・ドイツの親衛隊の長官のような風貌をした年配の男を指名する。
「誰がナチスの親衛隊の親玉だ! 私は日村金木、私企業の社長をやっている者だ。我が社をよろしく頼む」
名乗った日村に対し、シャドウは出された名刺を受け取って数秒間読んだ後に捨てた。
「こんなとこまで企業精神旺盛でご苦労なこった。次、そこの綺麗な姉ちゃん」
名刺を捨てたシャドウに日村は怒りを隠せなかったが、銃を突き付けられたので、怒りを抑えた。
そのシャドウは次に、大和撫子のような風貌を持つ日本人女性を指名する。
「わ、私は・・・北条百合奈。単なる労働者です」
「すげぇ美人なのにタレントじゃねぇのか・・・まぁ、後は勝手に名乗ってくれや」
北条の名を知ったシャドウは飽きたのか、後は自分の好きに名乗るように告げた。
それからはこれから戦友となろう者達の名を知るべく、残った者達は各自名乗り始める。
先程シャドウに突っ掛かったドイツ人の少年がエレン・シュヴァイガーで妹がエリナ・シュヴァイガー、高貴な育ちな少女アドルフィーネ・フォン・フェーゲライン、その護衛のアドルフ・シュタイナー。
アメリカ陸軍の兵士、ダレン・ジェームス、同じアメリカ人だが、民間人のクモン・チャイルドとフリム・ロビン、ロシア人美女のノンナ・パブロフ。
中国人のワン・インに美女のリウ・リーシー、韓国人の青年イ・ロンミに北朝鮮の特殊部隊員ヨン・チョル、キューバ出身のボンクラ、カリスト・タビーノ。
「結構生き残りそうな面揃いだな・・・まぁ、全員生きてこの島から出られることを祈るよ」
装備を調えた一同は島から脱出する方法を見出すべく、シャドウの隠れ家であるシェルターを後にしようとする。そんな彼等を見送るためか、シャドウは出入り口の前に立っていた。
まず正芳の装備は、先程渡されたAK47とマカロフPM自動拳銃に鉈と言う紛争地帯の民兵のような者である。
次に三輪田は先程手に取ったAK74に大口径の自動拳銃コルト・ガバメントで、何故かウォーハンマーを背負っていた。三輪田曰く「使ってみたい」そうだ。
ロンミは兵役期間を終えていたのか、M16A1突撃銃を持ち、チョルは北朝鮮でライセンス生産されたAK74を持っている。
ダレンはそのままM4カービンで、シュタイナーはG3A4自動小銃である。他はAK47より生産性が高くなったAKM突撃銃を装備していた。
準備万端となった一同はシェルターを後にし、先に安全地帯へ向かった大半の者達とは違ったルートで安全地帯へと向かうことにした。
これはシャドウが教えてくれたルートであり、ハーピーやドラゴンに襲われる心配のないルートだ。
何故安全地帯へ向かうのかは、脱出する方法の手掛かりを得るためである。
ヘッドライトを頭に付けた一同は、地図に書かれたとおりのルートを辿って安全地帯を目指した。
だが、そう上手いこと事が進むはずもなく、数百歩ほど歩いたところで敵が現れた。
「おい、あれは・・・!?」
先に日村が敵を見付ければ、直ぐに三輪田とチョルが先制攻撃を仕掛ける。
「やったか?」
ロンミが突撃銃を下げたところで敵が確実に死んだのかを見ようとしたが、その敵はまだ動いていた。
「ぞ、ゾンビかよ!?」
正芳もシャドウから習った撃ち方で全員と同様に銃撃を加えるが、その敵は銃弾を物ともせずに向かってくる。
敵が近付いてくるにつれ、敵の外見が段々と見えてきた。それは肥満体のような巨体であり、正芳等が放つ銃弾を腹の脂肪で全部防いでいる。その肥満体の両手には、鋭い包丁が双振りほど握られていた。
「弾が効かないぞ!?」
「に、逃げろ!」
カリストがスペイン語で叫べば、言葉は分からずとも意味を理解した者達は何処かへ逃げていった。
「イテェ!」
だが、正芳は逃げ遅れたようだ。逃げる一同はそんな正芳を助けることもなく、一目散にへと逃げていく。まさに絶体絶命だ。
「う、うわぁ・・・や、止めてくれぇ・・・!」
失禁しながら命乞いをする正芳であるが、肥満体には言葉は通じず、左手の包丁が今も振り翳されようとしている。
もう終わりだ・・・!
そう正芳が思った瞬間、自分等が持っている銃とは違う何発かの銃声が耳に入った。
誰かが撃ったのかは分からないが、包丁を持つ左手を撃ち抜いて、正芳を助けたことには変わりない。
正芳は脱出する隙を逃さず、反撃することもせずに逃げようとする。
「ひっ、ひぃぃ・・・!!」
彼が無様に逃げようとしている間に、肥満体に銃撃が数発ほど加えられ、右手に持った包丁を手放す。
それから小さな人影が茂みから飛び出し、人影は銃らしき物から背中の西洋剣を抜き、肥満体の頭を両断した。
首が地面に落ちたのと同時に小さな人影は着地し、剣を背中の鞘に収める。
「は、はぁ・・・・?」
何が起きたのか分からない正芳は、自分を助けた人影に目をやる。その人影は段々と正体が分かるようになった。背中に剣のみならず盾を背負っており、紐に吊された小型の短機関銃たしき物がぶら下がっている。
背丈は正芳より20㎝程は低いと見える。
やがて月の光が当たれば、その正体がはっきりとしてきた。
「お、女の子!?」
自分を助けたのが、少女だと分かった正芳は驚きの余り声を上げた。
正芳を助けた少女は浮世絵離れした容姿を持つ美少女であり、誰もが美少女と認めるしかない程である。長いブロンドの髪を持ち、雪のように白い肌と空色のような大きな瞳を持っている。人種は白人で、おそらくは北欧系の出身であろう。
そんな少女は倒れている正芳に手を差し伸べた。
「大丈夫? お兄ちゃん」
「あっ、あぁ・・・大丈夫・・・」
初めて異性から手を伸ばされた正芳は顔を赤くしながら、大抵の男なら手に取るその美少女の手を取った。