エピローグ
「こ、ここは…?」
銃座を女呪島の主へ振り下ろした後、桑部正芳は目を覚ました。
彼が目を覚ました場所は、自分の部屋、自分のベッドの上だ。辺りを見渡して自分の部屋であることを確認した後、頬を抓って現実であるかどうかの確認を行う。
「イテテ…現実だ…これは現実なんだ…」
タチの悪い悪夢ではない。これは慣れすぎた平凡な日常の感覚。つまり、正芳が送っているいつもの日々だ。痛覚を感じてそれを実感した彼の瞳から涙が流れ始めた。死の恐怖に包まれた悪夢から、平和な日常に帰ってこられた事への感動であろう。そんな実感を抱きつつ、正芳は身体を起こした。
「女の怨みを買ったら…またあの島へ…」
女の恨みを買えば、また女呪島へ送られる。
その事を思い出した正芳は震え、額に汗を浸らせた。震えると同時に、また送られないようするにはどうすべきかと考えた。答えは自ずと出た。
それは「女の恨みを買うような事をしなければ良い」。
男にとっては、余りにも屈辱的な事であるが、紳士的に行けば、ある程度は女性に慕われるだろう。怨まれない程度に程々にすればだが。
そう考えた正芳は、喉を潤すべく、自室の出入り口のドアを開けて出た。
彼の自宅は二階建てであり、彼は父と母、兄に姉、妹の六人家族で暮らしている。
階段を下りる最中、生きていた宮河澄子とアドルフィーネ・フォン・フェーゲラインはどうなったのか気になったが、自分と同じく自室の布団かベッドへ寝ていると思い、一階を降りた。
それから彼は冷蔵庫のドアを開け、右茶の入った容器を取り出し、机の上に置いてあるコップにお茶を濯ぎ、喉を潤した。
後書きは後日、上げる予定です。




