女呪島の事実
ごめん、後一話くらいになった(汗
人の死体で出来た化け物を倒した正芳一行は、遂にこの島の主が居るとされる神殿までたどり着いた。
周囲にて機影が居ないか確認する。これまで何度も待ち伏せを受けたため、最後の最後には念を入れて周囲を観察する。敵らしき影が居なければ銃口を下ろし、その場で腰を下ろす。
正芳は遂に帰れると思って、気を落ち着かせるために水を口に含む。
「一体何人犠牲になったか…」
貞雄はこれまでの犠牲者の数を数えた。
ワン・イン、イ・ロンミ、田代真矢部、灰川真、クラウス・マイジンガー、ノンナ・パブロフ、ダレン・ジェームス、クモン・チャイルドの八人が犠牲となった。
脱落した北条百合奈とカレンの二名を除き、狂った挙げ句に殺された日村金木に関しては、一行の中では死亡扱いを受けている。死んだ日村を入れれば、犠牲者は九人である。
最初は十九人で始まった脱出手段を探す旅も、一人減って三人増えて二十人になったが、半数が犠牲となり、二人リタイアしたので、今は十人になっている。
まだ半分残っているとはいえ、これ以上の犠牲は出してはならない。
そう誓った貞雄は、神殿の中へ入ろうとした。
「ちょっと待て。ここで殺し合った奴等の武器を使わせてもらおう」
「あぁ、そうだな…」
ヨンの呼び止めに神殿の前で足を止めた貞雄は、激しく殺し合ったと見られる男達の死体から武器の回収を行った。
「迷彩服三型…? 陸自の隊員がなんでこんなとこで死んでんだ?」
殺し合って死んでいる兵士達の中に、装備一式を身に着けた陸上自衛官の死体を見付けた貞雄は、近くに89式小銃がないか探した。
して89式小銃とは、89年に自衛隊に採用された主力自動小銃である。
日本でもライセンス生産されていたAR-18をベースに設計され、64式小銃の命中率を維持しつつ軽量化に成功し、各国の自動小銃や突撃銃と同様に扱いやすい物となった。
だが、価格はスイス軍が採用しているSIG SG550と近い価格となっている。量産効果で単価が下がったところで全体配備は予算の都合上難しいようである。
自国の高性能アサルトライフルを手に入れた貞雄は、試しに構えてみて、現役時代を思い出す。
「懐かしいな…やっぱこいつだぜ」
安全装置が掛かっていることを確認しつつ、ライフルリングを肩に掛け、死体にあるであろう予備弾倉をポーチごと剥ぎ取り、自身の体に身に着けた。
89式小銃を手に入れた貞雄を見た正芳も、周囲に転がっている死体から使えそうな武器を探す。
「これが、使いやすいかな…」
手に入れたのは、M1カービンと呼ばれるアメリカ軍が第二次世界大戦中期に採用した自動小銃だ。
元の持ち主である迷彩服を着ている兵士から予備弾をポーチごと拝借し、貞雄と同じく自分の身体に身に着ける。
他の者達も、殺し合いを終えた者達から武器を取り、自分の物とする。もう既にこの世には居ない彼らにとっては、武器など不要な物であろう。生きている者が有効に扱うべきだ。
そんな考えを抱きつつ、各々が装備を調えれば、神殿の出入り口の前に集まり、突入の準備を始めた。
「行くぞ…」
先陣を切る貞雄が全員に問えば、皆は無言で頷き、突入する貞雄の後へ続く。
貞雄は自衛隊時代に受けた訓練の通りに突入し、周囲に銃口を向けて敵が居ないか確認する。
正芳を含めた他の者達も彼の真似をして、周囲に敵が居ないかどうかを確認した。
「クリア」
自衛隊時代のクセで敵が居ないことを知らせる単語を発した貞雄が銃口を下げれば、一行も各々の古今東西の銃の銃口を下ろし始める。
「よし、奥に行って…」
「おぅ、来たか。お前等」
そのまま奥へと行こうとした時に、この山へ行くと告げていたシャドウが姿を現した。
彼の姿を見た一行は驚き、何かするのではないかと思って銃口を向ける。
「おいおい、俺は正気だ…神殿の前で殺し合った連中とは違ってな。それよりも最短記録更新おめでとう。お前等のグループで五十八時間だ。前はここに来るまで一週間掛かった挙げ句、入る前に気が狂って殺し合いを始めた。ちなみに、更新前の記録は六十時間だ」
銃口を向けながらも、時計を見ながら正芳一行が、自身が知るグループの中で最短記録を更新したと拍手をしながら告げる。
正芳一行の前のグループとは、先程神殿の前で殺し合って全滅した兵士達の事であった。
人の死を何とも思わず、その事実を告げられた一同は、尚のこと銃口を下ろさず、照準をシャドウに合わせる。
「はぁ…なんだよ、この島で人が死ぬのは珍しい事じゃねぇだろぉ? 今もこうしている間にも、誰かがこの島に呼ばれて別の誰かに殺されるか化け物に殺されるか狂ってるんだぜ。そんなに殺気立つなって」
今、こうして対峙している間にも人が死んでいる。
この島の事なら尤もな事だが、人の死を楽しんでいる男が語っても説得力はまるでなかった。
銃口を向けられてもヘラヘラしているシャドウは、何かを取ってこようとするが、何か攻撃してくるんじゃないかと思った正芳が銃口を向けながら叫ぶ叫ぶ。
「動くな!」
「おい、安全装置、掛かったまんまだぞ」
「へっ?」
M1カービンを向ける正芳に対し、安全装置が掛かったままだと嘘を言えば、見事に引っ掛かり、彼は安全装置が掛かっていないかどうかを確認し始めた。
そんな嘘に引っ掛かる様子を見たシャドウは落胆し、どうして正芳がここまで生き残ったのかを不思議に思う。
「嘘だよ。たく、お前みたいな奴は早死にするのに、なんで生きてんだ? そこのデカイ兄ちゃんのおかげか? それに」
正芳を貶した後、ステンMk2短機関銃を持つ澄子の方へ視線を向けた。
「なんでお前みたいなクソが生きてんだ? ドラゴンに喰い殺された筈だろ?」
「な、何よ! 私が生きてて悪いっての!?」
「あぁそうだよ。クソ、"今回"は外れが複数か…」
最初にドラゴンに殺させようとした避難民の一人である澄子が生きていることが気に入らなかったらしく、悪態をつきながら「今回」と言う単語を発した。
それを聞き逃さなかったヨンは、今回というのが一体どういう意味なのかを問う。
「おい、今回というのはどういう事だ?」
「どういう事だった…お前等の事だよ。記録更新前の連中は、マシな奴だったが、お前等は駄目なようだな…」
言い終わる前にシャドウは隠し持っていた拳銃を素早く抜き、正芳達に気付かれぬこともなくアドルフィーネに向け、引き金を引こうとした。
「危ない!」
シャドウが銃を撃とうとしよう瞬間を見逃さなかったシュタイナーは、アドルフィーネに体当たりして吹き飛ばし、彼女の身代わりとなる。
「シュタイナー!?」
「野郎!」
銃声が鳴ってシュタイナーが倒れれば、アドルフィーネが撃たれた彼に寄り添い、貞雄達はシャドウに向けて数発ほど撃った。
撃たれるのが分かっていたシャドウは直ぐに遮蔽物へ身を隠し、シュタイナーを撃った拳銃で応戦する。
頭数は正芳達が多く、拳銃一挺しかないシャドウはある程度撃ったところで武器を隠していると思われる場所へ走る。無論、そう易々と正芳達が逃がすはずもなく、数名がシャドウを追って神殿の奥へと入っていく。
「シュタイナー、しっかり…」
「弾が防弾チョッキをそれてしまった…私はもう助かりません…貴方の手で楽にしてください…」
「何を言うのです!? 治療すれば…!」
撃たれた箇所が防弾チョッキをそれてしまった為に、致命傷を受けたシュタイナーは主であるアドルフィーネに自分を楽にするよう頼むが、彼女はそれを断って残っている正芳に医療パックを寄こすように無言で要求する。
だが、ここまで来る前に受けた島の主の歓迎で医療パックが入った鞄を気付かぬ間に落としたらしく、顔を真っ青にしながら無いことを告げた。
「も、持ってません…」
「そんな…」
「ここまで来る前に、治療パックが入った鞄を落としたな…仕方のないことだ…貴方がやらないのなら…」
落としたことを察したシュタイナーは、ワルサーP99自動拳銃を自分のこめかみまで銃口を持って行こうとする。しかしアドルフィーネがそれを許すはずもなく、拳銃を掴む右手を掴んで自殺を妨害する。
「お止めなさい! この島から必ず生きて帰れるのです! それまで…」
「もう私には無理です…これ以上苦しみには耐えられません…貴方はここを生きて出てください…私は死してこの島から出ます…」
「そんな! 私にはま…きゃっ!」
自分は先に行くと告げた後、強引にも止めようとする主の腕を振り払って、銃口をこめかみに突き付け、引き金を引いた。銃声が響き、銃口から飛び出した9㎜パラベラム弾は脳を貫通し、あっと言う間にシュタイナーを冥府の世界へ旅立たせた。
「シュタイナー? シュタイナー!! 起きてください!」
アドルフィーネはシュタイナーの身体を揺すって起こそうとするが、身体は一切動かず、既に死後硬直を始めていた。
「アドルフィーネさん、もうこの人は…」
「止せ。今は悲しませておけ…」
エリナは近付いてアドルフィーネにシュタイナーが死んだことを告げようとするが、兄であるエレンに止められ、兄妹揃って悲しみに暮れる彼女を見守ることにする。
一方の正芳は、医療パックを落としてしまった責任感を感じ、その場から離れる。気の小さい彼からすれば、居づらくなるのは当然のことであろう。何もしていない澄子も責任感を感じて正芳と同じくこの場を去る。
そして貞雄達と追われるシャドウと言えば、彼らの気持ちを気にせずに銃撃戦を繰り広げていた。
「クソッタレ…!」
何とかFAL自動小銃という強力な武器を調達したシャドウであるが、二人のプロと二人の素人に追い詰められていた。先程の銃撃を受けた際に全弾避けきれなかったのか、数カ所ほど被弾していた。戦闘には支障はないが、戦闘が終わった後には治療か応急処置を施さなければならない。
「死ね!」
回り込んできたフリムが、手に持ったS&W M76をシャドウに向けて撃ち込む。
「ぐぉ!? おらぁ!!」
避けきれなかったが、防弾チョッキの御陰か致命傷にならずに済む。空かさず片手で反撃し、フリムを負傷させた。撃たれたフリムは倒れながらも銃を手放さず、再びシャドウへ向けて撃とうとする。
「こいつ…!」
「まだ生きてるのか! いい加減にくたばれ!!」
撃たれた怒りで興奮して痛覚が麻痺しているフリムは、直ぐにでも自分を撃った男を殺そうとするが、罵倒の後にトドメを刺された。
完全に目の前にいた彼女が動かなくなったのを確認したシャドウは、長物のFALを杖代わりにして立ち上がり、向かってくる三人の追撃を撒くべく、ある場所へと移動する。その足取りは遅く、リウに容易く追い付かれてしまう。
「居た!」
「畜生!」
追い付かれたシャドウは直ぐに手に持ったライフルでリウを撃ち殺そうとしたが、彼女は床を蹴って一気に距離を詰め、彼の横っ腹に強烈な蹴りを食らわせた。
「グゥ!?」
蹴りを受けたシャドウはナイフを抜いて即座に反撃しようとするも、リウの拳や蹴りの連撃を受け続け、FALを手放してしまう。リウが近付く前に、シャドウはポケットから出したネジを右の壁のくぼみに向けて投げ付けた。一見、何の意味のない行動に見えるが、それは後になって分かる。
倒れ込んだ所で動きを封じるべく、腹を強く踏み付けて拘束する。敵が銃を抜こうとするならば、こちらも拳銃を出し、額に狙いを定めて動きを止める。
「拳法家かよ…」
「ちょっと囓ってる程度だけどね」
「嘘付け…熟練者だろうが…」
あっさりと負けてしまった訳を問えば、相手は素直に答える。
これで絶体絶命。
そう思われるが、彼がわざわざこんな場所へ逃げたのは理由があった。
「捕まえたか!?」
「えぇ、捕まえたわよ。なんかこうあっさりしてるとね…」
追い付いた貞雄が問えば、リウは自慢げに答え、確かな手応えがないことに不満を覚える。
「あぁ、確かにあっさりしてるぜ。これを待ってたんでな!」
「離れろ!!」
「えっ? なに…」
追い詰められたはずのシャドウがにやつきながら口を開いた途端、右手の壁の隙間から斧が付いた振り子が現れ、重力の作用で最高速となっている斧は、リウの身体を意とも容易く突き刺さり、左手の壁にその身体を叩き付けた。
たちまち壁は彼女の血で真っ赤に染め上がり、斧が引き抜かれた彼女は床へ糸が切れた人形のように倒れ込む。斧の刃が胸まで貫通しているからして、即死であろう。
「ハハハハ! マジで囓った程度なんだな!!」
「この野郎! 待ちやがれ!!」
彼女の足が腹から離れたと同時に逃げていたシャドウは、不気味な笑い声を上げながら貞雄とヨンから距離を取るべく、左手の通路へと逃げた。もちろん、二人はシャドウを見逃すはずもなく、振り子を避けながら彼の追跡に入った。
途中、様々な罠が貞雄とヨンに襲い掛かったが、研ぎ澄まされた反射神経と鍛え抜かれた運動神経で、軽傷程度に済ませる。避けれなくとも、二人の傷は追跡に対する支障は全くない。逃げながらその常人を上回る反射神経と運動神経を持つ二人を見たシャドウは、逃げる足を速める。
「化け物かよ!?」
次の罠を起動させた後、シャドウは左手の通路へ入った。
そのトラップとは落とし穴であるが、床が開いた途端に彼らは足を止め、危機を回避した。
落とし穴は飛び越えられるほどの物であり、二人は難なく飛び越えてシャドウの追跡を再開する。
「クソ、しょぼいトラップだ!」
「観念しろ! お前はもうここでお終いだ!」
シャドウが知らぬ間に元居た正芳達が居る場所へ戻っていたのか、そこに居た彼らにも銃口を向けられ、完全に袋の鼠となってしまう。更には自分のボディーガードを殺され、その怒りを晴らそうとするアドルフィーネの姿もある。生殺与奪を完全に敵に握られてしまったシャドウは、武器を捨てて大人しく両手を挙げる。そんな丸腰の状態であるシャドウにアドルフィーネは怒りに任せ、拾ったルガーP08自動拳銃の銃口を向ける。
「貴方を生かしてはおけません!」
「おぅ、撃てよ。出来るんならな」
怒りを露わにする彼女を挑発した後、銃口を向ける正芳達に向け、自分を殺しても無意味なことを告げる。
「お前等、俺を殺したがってるけどよ。俺を殺しても無意味なことは分かってるよな? それにここの島の主を殺したとしても、何ヶ月後か何年後かに、次の主が来る…」
「次の主? どういう事だ?」
思ったにしない物を口走ったシャドウに、貞雄は銃口を向けながら問い、正芳か澄子にアドルフィーネを止めるよう顎で命じる。
それにシャドウは不服だったのか、アドルフィーネを殺すよう貞雄に提案する。
「おい、殺しておけよ。俺から聞きたいんだろ?」
「煩い。お前は黙ってその次の主とかについて話せ」
「あぁ、分かった。だから銃を向けんなって」
その提案を即座に断り、次の主と女呪島についてシャドウに話すよう強要する。それにシャドウは嫌々ながら話し始める。
「この島に住んで十数年の運の良い奴から聞いた話だ。この島、女呪島は何千年の前からあるそうだ。主が倒される度に何回も生まれ変わってんだとよ。事実俺は三回もこの島に来てる…その度に島の形が変わってる。まぁ、ここ数年くらいは形は変わってない。何故なら誰も、主を倒してないからだ。名前は、女呪島のまんまだがな」
「なんで名前は変わらない?」
名前が変わらない事を疑問に思った正芳は、それについて聞けば、シャドウは呆れた表情をしながらその名前の意味を告げた。
「お前、女呪島って事はあれだろ。読んで字の如く女の呪いが渦巻く島、略して女呪島。女が怨みを残しながら死に続ける限り、女呪島は新たな主人を向かえて何度も蘇るそうだ。つまりだ、お前等のしていることは無駄だ。そう、無駄な事。何ヶ月か何年後かに新たな主を迎えて蘇り、呼び出される。この島を消滅させるには、人類から女という性別を全て消すしかない。それも一人残らずな」
円のような繰り返しを断ち切るためには、人類から女性という性別を一人残らず消すしかない。
その事実を告げられた一行は衝撃を受け、ある者は銃口を下げ、ある者は絶望した。アドルフィーネは銃口を向け続けていたが、シャドウの口から語られた女呪島の事実が余りにも衝撃的すぎて呆然としている。澄子に至っては、頭を抱えていた。
「どうだ、この島の事実の感想は? 凄いだろ? 初めてあったときに言った事を撤回しちまうが、脱出なんて考えず楽しめ。楽しいぞ女呪島は。お前等も楽しめよ! 主なんか倒すのなんか止めて、次の連中が来るのを待とうぜ!」
銃口を向けられているにも関わらず、狂気じみた目でにやつきながら女呪島の素晴らしさを語るシャドウに対し、正芳は思わずM1カービンの引き金を引いた。発射された弾はシャドウの胸に深く突き刺さり、撃たれた彼は堅い床の上に倒れた。撃とうとしていたアドルフィーネは呆気に取られ、ルガーP08自動拳銃を握り締めながら両膝を床に付ける。
自分を撃ったのを正芳と分かったシャドウは、痛みに耐えながら彼の姿を瞳に焼き付けた。
「撃ったのお前か…? そう言えば前に会ったとき、人殺したような目してたな…遂にここまで行ったか…俺も初めはそんな感じだった…どうせ直ぐに死ぬ奴と思って悪かったな…すまねぇ…」
そう正芳に謝った後、シャドウは力尽きた。
衝撃の真実を告げた敵が力尽きたのを見届けた貞雄とヨン、エレンにエリナは主が居るであろう方向へ視線を向けた。向かおうとする前に正芳とアドルフィーネに一緒に来るかどうか問う。
「桑部に、お嬢ちゃん。一緒に来るか?」
「お、俺は行けそうです…でも、フェーゲラインさんは…」
早くこの島から離れたい正芳は、女呪島の主の元へ行くことを決断したが、アドルフィーネは呆然としたままだった。貞雄とヨンからしてみれば、足手纏い同然である。
「あぁ、嬢ちゃんは無理だな…宮河は…?」
今のアドルフィーネの状態では無理だと判断した貞雄は、次にシャドウに告げられたショックで頭を抱えている澄子に問う。彼女の性格からして、主の元へ行くことなど出来るはずもなく、行かないことを素直に告げる。これには一同全員が予想した通りだった。
「私は…ここでフェーゲラインさんと一緒に残ります…もう何が何だか…」
「そうか。じゃあ、俺等は…ドス黒い雰囲気が漂ってくるあのデカイ扉に行く。逃げるなよ、逃げたら必ず殺すからな?」
「は、はい…! 絶対逃げません!」
貞雄が強くドスを聞かせながら告げれば、澄子は震えながらそれに応じ、アドルフィーネのそばについた。それを確認した正芳達は、女呪島の主が居るとされるドス黒い雰囲気が漂う扉の前に向かった。扉の前まで近付けば、主と思しき幼い少女の声が聞こえてくる。
『あっ、待ってたよ! 入ってきて、色々と準備したから! フヒヒヒ!!』
とても死で溢れたこの島の主とは思えない愛らしい声に一行はやや困惑する。最後の不気味な笑い声で島の主だと認識したが。
一体どんな姿をしているのか?
声で惑わせて本当は不気味な風貌をしているのではないのか?
そんな疑問を浮かべつつ、独りでに開かれた扉の中へと、足を踏み入れた。
後はエピローグ入れて二話くらいです




