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黄昏時に空を見上げれば

作者: 栗山 りょう

サトシとは、高校からプロミュージシャンを目指し苦楽を共にしてきた、そのサトシのまさかの裏切りに、俺は怒りに燃えた


その時、携帯が震えた

バンドも1年を迎えて集客も増えてきて軌道に乗ってきた時にそれは起こった


わがバンドの屋台骨ドラマー・サトシのブログ、そこには、わがバンドの紅一点ベーシス・トユキと知らない男が

ギターを持って三人でピースサインをしている写真だった


俺の血圧は一気に上がった、疎外感、むなしさ、空虚感、やるせなさ、情けなさ・・そんな感情が一気に湧き上がった


サトシ、俺たちは親友じゃなかったのか


高校時代からプロを目指し苦楽を共にしてきたじゃないか


スーパーベーシスト・ユキをバンドの迎え入れるのに俺は、どれだけの労力を使ってきたと思っているんだ


本当にユキのベースは最高だった的確なベースラインに女版ポールウェラーを彷彿させる、細身のラインにボーイッシュなヘアスタイル

めったに笑わないが時折見せるスマイルが妖艶で彼女のブログファンは数百を超えている


それをいとも簡単に横からかっさらうような事をしやがって


この感情はジェラシー・やきもち・・・恥ずかしくて顔が真っ赤になった


くそっ・・こうしてはいられない


すぐにでもサトシに連絡を入れてパンチの一発でもおみまいしてやろうかと思った瞬間、携帯が震えた


父さんが倒れたすぐ来て


妹からのメールだった・・


脳出血


医師の診断


重症です


1週間が山でしょう


沈痛な空気が病室に漂った・・


父さん・・生きてください


涙が頬を伝った


・・・


あれから1年、父は奇跡的に一命を取り留めた


今、俺は父に寄り添い、時間を共にしている


今までずっと見守っていてくれた父さん・・ごめんね


もう無理しなくて良いんだよ


俺がついているから


サトシとユキは今でもバンドをしているのだろうか・・


いずれにしても頑張ってくれよ俺の親友たち


俺も頑張るから


俺は二人にエールを送った





プロのミュージシャンになるのが幸せか、家族との時間を大切にするのが幸せか


それは、本人にしか分からない

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