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皆さんお久しぶりです。最近は演習もなくだいぶ落ち着いてきた為ようやく書き上げることができました。この話を書くのに実に半年と言う時間をかけました。(その割に短いとか言わないで…)今後も間が空くとは思いますがしっかりと投稿して行くのでよろしくお願いします( ̄^ ̄)ゞ

蒼瑛からの指示通りにアンタレス隊他2隊と合流すると同時に嶺緒が話しかけてくる。その声音は真剣そのものだった


『…波人。今回の敵のことだけど、どう思う?』


「どう、とは?」


『敵の装備がさ、何て言うのかな〜なんかこー…』


『ちぐはぐしてる?』


嶺緒が言葉が見つからず唸っているとアンタレス2、梨沙が代わりに言う


『そう、それ。見た目だけなのかもしれないけど、ドラケンという第2世代ジェット戦闘機を持っているのに此方が接近しているのに気付かないどころか、ミサイルが発射されている事にすら気付かないなんて…』


確かに言われてみればそうなのだ。敵が使っていると思われるサーブ 35 ドラケンはスウェーデンのサーブ社が開発した第2世代ジェット戦闘機だ。第2世代ジェット戦闘機の定義としては超音速飛行が可能で、レーダーを搭載した戦闘機という事になっている(日本の防衛省ではそういう認識であるようなので、そのまま使います)超音速飛行はまだしも、レーダーを搭載していながら接近してくるミサイルに気付かないというのはおかしい。よしんばレーダーの性能の都合上、見逃していたとしても、此方の機体ぐらいは捕らえていても良いはずだ。しかし、先の奇襲時には此方の接近に気付いた素振りすら見せなかった


「確かに言われてみればそうだな」


嶺緒にそう返しつつ波人は少し考える


「もしかしたら…『うん?なんだこのエコーは…まさか!ステルス⁉︎各機散開‼︎ブレイク‼︎ブレイク‼︎』ッ‼︎」


波人が考えを言おうした直後に無線から蒼瑛の警告と指示が聞こえ、直ぐに集結しつつあったアンタレス、フェザント、アクエリアス、サジタリウス各隊の所属各機は別々の方向に散開する。その直ぐあとに各隊がつい数秒前に集結していたあたりを上空から無数の曳光弾混じりの機関砲弾が貫いた


『な、なんだ‼︎』


アンタレス3の狙流斗が叫ぶと同時に機関砲弾が飛んできた上空から複数の黒い影が急行降下してきて波人達の直ぐ横を通過して低空へと抜けた


『あれは…エアラコメット、か?』


『また、骨董品を出してきたものだね』


嶺緒に続いて梨沙も呟く。P-59エアラコメットとは、アメリカのベル・エアクラフト社がアメリカ陸軍航空軍向けに製造した第一世代に分類されるジェット戦闘機であり、第二次世界大戦中に開発され、アメリカ初のジェット戦闘機となった機体だ。もちろん今は現役を退いており、その姿を見るにはスミソニアン航空宇宙博物館などの限られた場所でしか見ることは出来ない様な代物であり梨沙が言った通り相当な骨董品だ。第一世代ジェット戦闘機の定義としては、ジェットエンジンを積んでいるが音速を突破できない機体とされている為、第一世代ジェット戦闘機はミサイルどころかレーダーすら積んでいない機体だ。主な戦法としては一撃離脱を繰り返すヒットアンドウェイしかない


「気をつけろ。性能の全てが地球のエアラコメットと同じとは限らないからな」


そう言いながら波人は操縦桿を右に倒して低空から突き上がる様に上昇してきたエアラコメットの銃撃を躱す


『波人くんの言う通りみたい。初撃の急降下から次の急上昇による反復攻撃に移るまでが第一世代最後期のジェット戦闘機並みに速い。地球のエアラコメットではあり得ない加速性能だよ』


地球で開発されたエアラコメットは、運動性能、加速性能共に悪く、その性能は、レシプロ機に劣るものであった。その為、地球で開発されたエアラコメットでは短時間で失った高度を回復し、攻撃に移るなんてことはほぼ不可能だ


『取り敢えず、避け続けても埒があかない。蒼瑛。敵の詳細を頼む』


『了解した。アンタレス1。蒼瑛より各機へ。現在敵機は32機確認されている。機種はレーダーエコーを見る限りP-59エアラコメットで間違いない。しかし、アンタレス2が言った様に機体性能は地球のエアラコメットより高性能であると考えられる。現在確認されている敵機の機体情報は、最高速度900km/h、最高高度は25,000ftだ。現在、敵機は2機づつのロッテを作り上昇しつつ散開している。おそらく敵はもう一度反復攻撃を実行する気だろ』


嶺緒の要請に蒼瑛は現在分かる限りの敵機の詳細と敵機が取り得る戦術を伝える


『了解。敵さん僕らのことを舐めてるのかな?』


「まぁ、そうだろうな。何度も同じ攻撃をしてくるところを見るに奇襲が成功したからと図に乗ってると見える」


『なら、格の違いっていうのを見せつけてあげなきゃね』


嶺緒の呟きに波人と梨沙が答える


『それじゃ、そろそろ反撃開始といこうか』


嶺緒は一泊置いて指示を伝達する


『アンタレス1より各機。これより反撃を開始する。各隊は2機一組のロッテを形成、敵機を撃破しろ』


『『『『『『「了解‼︎」』』』』』』


全員が答え、各機はそれぞれ近くにいる機体とロッテを組む


『フェザント1よりフェザント2。後ろは任せたぞ』


波人は自分の左後方に着いたフェザント2に向けて言う


『了解です。フェザント1』


フェザント2が答える。そして、波人は操縦桿を倒し、一番近い敵機に急上昇をかける。同じタイミングで相手が急降下に移ったのもあり、相対距離はどんどん縮まり、やがて敵のエアラコメットを2機目視で確認する


「すれ違いざまに撃墜するぞ」


『フェザント2、了解』


フェザント2の返事を聞きながら機関砲の発射トリガーに指を掛ける。位置的には敵が波人達の頭を抑えており、やや不利な状況だが、そんな事は意に求めずに波人達は急上昇を続け、引き金を引くタイミングを計る


「フェザント1、FOX1」


『フェザント2、FOX1』


波人とフェザント2は敵機と十分に距離が縮まった瞬間、機関砲の発射を宣言して発射トリガーを引く。放たれた機関砲弾は風の影響を受けるずにまっすぐ敵機へと飛翔し、敵機のコックピットのすぐ後ろに着弾する


「スプラッシュ ワン」


波人は撃墜を確認して言う


『同じく、スプラッシュ ワンです』


フェザント2も撃墜を確認して報告する


「他の奴らも上手くやってるみたいだな」


『そう見たいですね』


「よし、次行くぞ」


『了解』


そう言って波人とフェザント2は残っている敵機に襲い掛かった


『蒼瑛より各機へ。敵航空機の全機撃墜を確認した。しかし、先程新たな敵艦隊が第0艦隊旗艦護衛艦みかさのレーダーで確認された。今の所動きはないが、その中には空母と思われるレーダーエコーがあるそうだ。よって各隊は直ちに帰投し、補給を完了したのち、警戒待機せよ』


波人やフェザント2が2機目を撃墜すると同時に蒼瑛から通信が入り、敵機の全滅が知らされ、再度帰投命令が出る


『アンタレス1、ウィルコ』


「フェザント1、ウィルコ」


『アクエリアス1、ウィルコ』


『サジタリウス1、ウィルコ』


各隊の隊長機が蒼瑛に返答し、全機が空母天空に帰投する


『スカイキャリアーより方位1-8-0より接近中の戦闘機へ。応答を』


『こちらアトランティス海兵隊所属アンタレス1。アンタレス隊以下3隊合計28機の着艦誘導を頼む』


着艦する為、空母天空に接近すると天空から呼びかけがあり、嶺緒がそれに応答する


『了解した。アンタレス1。…まずは燃料が少ないアンタレス1、2から着艦してくれ』


『アンタレス1、了解』


『アンタレス2、了解』


天空の航空管制官からの指示に従い嶺緒と梨沙が着艦態勢に入る


『アンタレス2、先に着艦を』


『アンタレス2、了解』


嶺緒がそう言うと梨沙の乗るF-15Jが前に出てアトランティスで改装した時につけたアレスティングフックを降ろす


『スカイキャリアーよりアンタレス2。着艦を許可します。風速は西から約5ノットです』


『アンタレス2、了解』


その通信を受けて梨沙は着艦コースに乗り、ランディングギアを出して降下を開始する


『ボールを確認。コースよし。着艦します』


梨沙は光学着艦装置通称ボールと呼ばれる空母への着艦を支援する光学装置を確認し、着艦コースにしっかりと乗ったのを確認して機体を更に空母に向けて降下させ、そのまま赤子に触るかの様な優しい着艦を決める


『アンタレス2の着艦を確認。アンタレス1の着艦を許可します』


「了解。これよりアプローチに入る」


スカイキャリアーにそう告げて着艦体制に入る


「ギアダウン」


ランディングギアを出しつつ着艦コースへ機体を持って行く


「ボール確認。コースよし。このまま着艦する」


ボールを視認して、着艦コースに乗っていることを確認するとスムーズかつ丁寧に機体を降下させる。そして、そのまま速度を落として行くが、少し速くにスロットルを絞ってしまった為にやや荒い着艦になってしまう


「お疲れ様レオ君」


機体をエレベーターに乗せ、後の整備を整備員に任せて機体から降りると梨沙がヘルメットを片手に待っていた


「リサもお疲れ」


労いの言葉をかけてから2人並んで歩き出す


「ねえ、レオ君。今回の敵についてはどう思う⁇」


「うーん。空でも言ったけど、やっぱり違和感が半端ないよね」


梨沙の問いに率直な感想を述べる


「やっぱり?ジェット機を使ったりレシプロ機を使ったり、統一性が無い上に機体の装備も使いこなせてない。おまけに戦力は逐次投入と言う愚策中の愚策。これで違和感を感じない方がおかしいよ」


「そうなんだよ。でも、そもそもの違和感は何で時代遅れとはいえ地球の兵器がこの世界にあるのかって言う疑問なんだよね」


「確かに…」


2人して今回の敵について考えるが、答えは出てくるはずもなく、しばらく沈黙が続いたが艦内に入ったところで梨沙が話題を変える


「まあ、今考えてもしょうがないね。それよりレオ君。さっきの着艦はどう言うことかなー私には一回機体がバウンドしたように見えたんだけどな〜」


「うっ…」


その言葉に僕は苦い顔をすると梨沙はイタズラ顔で僕の顔を覗き込んでくる


「やっぱり、レオ君より私の方が操縦技術は上かな?」


「着艦が苦手なだけだよ…」


梨沙から顔を反らしながら言うと梨沙はそれをニコニコしながら頬を突っついてくる。艦橋に入るまでそれは続き、艦橋に入った時に梨沙は満面の笑みで僕はふくれっ面と対照的な表情をしていた為、艦橋要員が訝しんだのは言うまでも無い

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