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プチトリ!!(仮題)  作者: 谷口 ユウキ
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リメイクしました第一章プロローグ 第二話「おお初心者よ」

前回のあらすじ


主人公はとうとうオンラインゲームを始めてしまった

 さて、いよいよゲームスタートなわけだが、ここで1つ大きな問題が発生した。

「何をどうすればいいんだ?」

チュートリアルを飛ばしたせいで操作方法が分からないのだ。

さっきからマウスでカチカチやってはいるが、メッセージボックスとアイテムウインドウくらいしか開けない。

「クリックじゃないてことはキーボードで動かすのか?」

ならばこれでどうだ。と、適当にキーを押してみる。


 アバターが髪をかき上げてキザなポーズを取った。


『……さっそく楽しんでいるな』

「誤解だ!」

あわてて他の場所を押すが今度は『みなぎってるぜー!』とでも言いたそうなオーバーアクションが炸裂してしまう。

『……じゃあやる気になってくれてる所で、とりあえずこのゲームのことを教えとくか』

セリフの前の沈黙が痛い。しかもさっき3時間以上このゲームについて聞かされたのに、まだ聞けと言うのか? 

だがキャラの動かし方がまだよくわからないので逃げようにも逃げられない。

「えーと、なるべく手短にな」

『分かってるって』

こうしてオレはスタート地点から動けないまま[シュウ]の熱い語りを聞き始めたのだった。


 で、その話をまとめた所、このゲームはいわゆるモンスターがいて魔法があるファンタジーの世界を舞台にしたかなり自由度の高いゲームで、その気になれば英雄にも物乞いにもなれるらしいほどらしい。

「ゲームで物乞いて」

「夢と希望が詰まってるだろ?」

「いや、むしろ真逆な気がするんだが」

「なるほどなるほど、まあそれはそれとして……」

 修次の説明が続いていく。

 どうやら自由度の高さは、さっき見たジョブの多さにも反映されているらしい。

 商人や鍛冶屋はもちろん、使用人としてNPCノンプレイヤーキャラクターの貴族に仕えたり、そこら辺の店で正社員として働くこともできるらしく、一部のプレイヤーは自分の店まで持っているとのこと。

 もちろんファンタジーものに必ずと言っていいほど出てくる冒険者ギルドや迷宮なんかもありRPGとしても十分楽しめるゲームだそうだ。


 ちなみに今オレがいるのは『迷宮都市ラース』と言って迷宮目当ての冒険者が集う結構大きな都市、そこの『始まりの神殿』という所らしい。

「わかりやすい名前って大事だもんな」

 この町ではチュートリアルをすませた初心者が都市の周りにいるザコ敵でレベルを上げていき、ある程度レベルが上がったら迷宮に挑戦。または都市を出てほかの町に行ってみるという形がセオリーなんだと修次は自慢気に語っていた。

 自分のことでもないのに自慢気とは、コイツ相当このゲームが好きなんだな。


 余談だがだいたいここまで話すのに10分ぐらいかかった。


「ところでお前ってどのくらい強いの?」

 オレは[シュウ]が一息ついた所で気になったことを聞いてみる。

 サービス開始当初からこのゲームをやっていたという事はかなり古参のプレイヤーという事になる。実力はかなりのものだと考えるのが自然だ。

『オレは転生3回のレベル98だぜ。何だったらギルドカード見せてやろうか?』

 ふむ、自信ありげなところを見ると相当強いらしい。が、どうすごいのかがサッパリ分からん。

「とりあえず転生って何?」

『あっそうか、テツは初心者だったな。転生っていうのはだな……』

 そしてまた長い説明が始まるのだった。


 で、また話をまとめてみた所このゲームではキャラクターの上げることが出来る最高のレベル(レベルキャップというらしい)は99までらしく、それ以上キャラのステータスを成長させることはできない設定になってるらしい。

 だが、有料(1コ1000円)の転生ポーションなるアイテムを使うと、それまで使っていたキャラクターのステータスがいくらかマイナスされる代わりレベルを1に再設定することができ、通常1つずつしか選べないファーストジョブとセカンドジョブを1つずつ増やすことができるのらしく、古参プレーヤーは必ずと言っていいほど使用しているんだとか。

『あ、言い忘れたけど使用条件がレベル90以上だから』

「れ、レベル90」

 まずそこまで行くのにもの凄く時間がかかりそうだ。

『まあ戦闘に特化してやりこみまくった人なんかは11回転生したって言ってたし。負けないようにテツも頑張れよ。1日6時間ペースで半年やれば1回目の転生はできるようになってると思うから』

「めっちゃ時間かかるじゃん」

『だがその分いろいろな敵に勝てるようになる』

 修次、転生を押してる所悪いがその分いろいろなトコで負けてないかソレ?

『ん、どうした?黙り込んじまって』


 ……何考えてたか言えと?


「いや、セカンドジョブって何なのかなーって」

『ああ、チュートリアル飛ばしてもらったんだっけ。セカンドジョブっていうのはだな』

 おお、ごまかせた。


 ちょろい。ちょろいぞ修次。

『テツ、聞いてる?』

「聞いてる聞いてる」

 ちなみにここまでのやり取りでさらに10分。さらに親友の説明は続いていった。


 ホッとしながらセカンドジョブとは何か? についてまとめた所、セカンドジョブとは戦闘用のファーストジョブと違い、商売やアイテム生産がメインの非戦闘系の職業の総称らしい事が分かった。定番の鍛冶屋や商人はもちろん交渉人や情報屋など変わり種もあるのだとか。

ちなみに選べるのは基本一人一つだが[シュウ]は3回転生しているので全部で4つ持ってるらしい。とりあえずどんなものか説明してもらった。


『仕立て屋』 軽装備(服、帽子など)の生産が可能になる。

『料理人』 料理、魔物用のエサなどの生産が可能になる。

『学者』 地図、モンスター図鑑、アイテムレシピなどの作成が可能になる。

『鑑定士』 キャラクターのジョブレベル判定。アイテムの判定などが可能になる。


 うん、便利だなセカンドジョブ。

『ふっふっふ。しかもこの2カ月でどのジョブもレベル99まで上げたのだよ』

 つまり学校休んでネトゲをやり込み限界までレベルを上げたと。


 全く、うらやましい。


「ていうか鍛冶師は取ってないんだ。前に『魔法剣っていうのは男のロマンだー』とか言ってなかったっけ?」

『軽装の魔法職をメインにしているから魔法剣とか鎧とか作っても使えないんだよ』

 まあ魔法職って言ったらローブみたいな布防具がメインだもんな。

「でも杖とかって鍛冶屋も作るんじゃない?」

『ほら、杖は木製が多いから……』

 ああ、鍛冶屋じゃ木製武器は作れないのか。地味にリアルだなこのゲーム。

『魔法剣作るには魔法職がいるけど魔法職じゃ剣が装備できないんだ、仕方がないだろう!』

「ああ、用はロマンより実益を取ったわけだ」

『言うな、自分で使えなかったら意味がないんだよ!!』

「ッ、耳が。おまっ、叫ぶなよ!」

 ヘッドホン越しに怒鳴られたせいで、耳に直ダメージが来た。

 この話題はオレの耳が危険らしい。

「んーとだな。所でお前のファーストジョブもいろいろとすごそうだな」

『……まあやりこんでるからな』

 わざと話を変えたの気づいたのか修次の返事には不自然な沈黙があった。が、結局は気にしないことにしたらしく〈シュウ〉のジョブを話し始める。


『魔術師』 魔法職。火、水、雷、風、土の属性魔法を使う。

『治療師』 魔法職。回復魔法、魔力障壁(魔力の壁や盾)を使う。

『召喚士』 魔法職。召喚魔法、魔力契約を使い契約したモンスターを召喚、使役できる。

『古術師』 隠しジョブ。空間魔法(ワープなど)、ネタ魔法など失われた魔法を使う魔法職。


 なるほど。

「ずいぶん魔法に特化してるな」

『バトルが始まったら召喚獣を盾にしながら魔法を撃てる組み合わせな。効率的だろ?』

「効率的ねぇ。えげつない気はするけど安全っちゃ安全か」

『魔法職4つ取ってレベル99まで上げてるからな。魔法の威力はバカ高いぜ。まあ紙装甲なジョブばかりだから転生4回でも防御力は段ボールってとこだけど』

 つまり取ってる魔法職は全部最高レベルと。やりこんでるな。

「……おまえのステータスってどんなもんなの? 転生4回なら相当なもんだろ」

 なんか転生5回とレベル1の初心者との差がもの凄く気になった。


 ちなみにこのゲームのステータスは


HP 体力、攻撃を受けると消費する。0になると死ぬ。

MP 魔力、魔法を使うと消費する。0になると気絶する。

AT 物理攻撃力、相手に物理的攻撃で与えるダメージの平均値。

DF 物理防御力、相手から受ける物理的攻撃に対するダメージの軽減率。

MAT 魔法攻撃力、相手に魔法攻撃で与えるダメージの平均値。

MDF 魔法防御力、相手の魔法攻撃に対するダメージの軽減率。

SPD 素早さ、この値が高いほど回避能力も高くなる。

LUC 運、色々なところで関係してくる。


 の8種類。オレはとりえず修次の指示に従って画面の右下にあるメニューからキャラデータの画面を開いて[テツ]のステータスを見てみる事にした。


[テツ] ヒューマン、男

ファーストジョブ〈シーフ、レベル1〉

セカンドジョブ〈無職〉

キャラクターレベル1


 とあってその下にあるHPからLUCまでの能力値全部が10。

 全ての能力値の隣に〈お子ちゃまレベル〉と書かれているのに気づいて地味にイラッとしたが切り替えよう。

「てか何だ? 一瞬画面の端に変なモノが……」

 いや、ここはネトゲなんだ。きっと気にしたらいけないのがマナーなんだろう。

 あえて無視して修次の返信を待つ。

『オレのステータス?ちょい待ち、今確認する』

「何か悪いな」

『えーと、さっきも言ったけど今のレベルが98な。んでステータスが

HP 498

MP 999

AT 237

DF 196

MAT 999

MDF 867

SPD 363

LUC 532…だな』

「は? 何そのチート」

 オレとの能力差が半端ない。

『さっきジョブによってステータスの伸びが違ってくるって言っただろ』

「ああ」

『伸びやすいステータスはレベル1から99になる間に大体270くらい上がるからな。魔法職ばっか取って転生するときは毎回レベル99まで上げてたからこうなったわけだ』

「ああ」

『そうだ、言い忘れてたけどステータス能力の最大値、ていうか上限は999だから』

「ああ」

『ふむ。よし、金恵んでくれ』

「ああ……ああ? 今なんつった!?」

『いや、リアクションが何か変だったから今のうちに言質取っとこうかなと』

「コイツ最低だ!」

『ていうかだな。ビックリするのは分かるけど別にそこまでじゃないだろ? 俺と同じ4回転性したプレイヤーでジョブが全て前衛職の人に比べるとDFは5分の1ないくらいだぞ』

「それでも転生してない人と比べたらほとんどのステータスで上回ってんじゃねえか」

『11回も転生した〈変態鬼畜王セクハラー〉さんと比べたら全然だよ』

「……え?」


 今、なんと?


『お、いいリアクション。やっぱ転生11回はビックリするよな』

「いやそこじゃない、いやそこもだけど。今の名前をもう一回」

 頼む、聞き間違いであってくれ。

『〈変態鬼畜王セクハラー〉』

「……そうか」

 終わった。よく分からんが何かが終わった。

『どうかした?』

「いや、その、名前が……」

『ん、お前キャラ名の設定何かミスったのか? 別に普通だと思うけど』

「オレのキャラ名じゃねえよっ」

 ダメだこいつ、あのふざけたキャラ名に何の違和感も感じてねえっ。このゲームに色々と毒されてやがる。

 ていうか名前からして変質者なプレイヤーがトップに君臨するオンラインゲームか。大丈夫なのかこのゲーム? 何か変なノリうつされたりとかしないよな?

 そんなことを考えていたら『ピコーン』という電子音と共に画面に文字が浮かんでくる。

「えーと『ゲーム開始から30分間1歩も動かなかった[テツ]は〈おのぼりさん〉の称号を手に入れた』?」

 何これ、手にしたくない。

『おお、やったなテツ!〈おのぼりさん〉なんて初めて聞いた。多分超初心者限定の称号だぞ』

 修次よ、とりあえずその『やったな』は『やっちまったな』の略と考えて良いんだな。

「ていうか全ての原因はお前だよな」

 ゲームを始める所から。

『はっはっは。まあ何とかなるって』

「いや、開始から30分たっても全く操作方法が分からない時点で色々と手遅れだから、他のプレイヤーさん『アレ? あの二人まだあそこに立ってる』て顔してこっち見てるから」

『バカだなあゲームキャラの表情が分かるとか絶対気のせいだって』

 

 確かにそれは否定できない。


「だけどなあ、さっきから例の[変態鬼畜王セクハラー]が画面の両端で行ったり来たりしてんだよ、こっちの方気にしてる感が画面越しにメッチャ伝わってくるんだよ!たまに『リー、リー、リー。ヘイ、ピッチャー盗塁しちゃうぜ?』みたいなアクションやってんだよ!!」

『え、マジで?』

「ああ、マジだ」

 [シュウ]はこっちの方を見てるから角度的に気づけない。が、コッチからはバッチリ見える。

 すると画面の向こうにいる[シュウ]はゆっくりと[変態鬼畜王セクハラー]の方に振り向いて、ふりむいて……。

「大きく手を振った!?」

 しかも『[変態鬼畜王セクハラ―]をパーティーに加えますか?』という表示が画面に現れる。

「待て、修次。それは少しハードルが高すぎる気が……」

 しかしすぐさま表示される[変態鬼畜王セクハラ―]のパーティー参加の文字。


 こうしてオレと修次はカオスな世界へと足を踏み入れたのだった。


 いや、修次は元からだけどさ。

ども、谷口ユウキです(-_-)/


こうして修正改造しているともう無いと思っていた誤字脱字が見つかったり、自分の中途半端な文章力を思い知らされたりして結構凹みます。


とりあえず新ネタを混ぜつつコッソリ直すつもりです。

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