表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奴隷騎士の主  作者: 社菘
3.擬似番の守護

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/25


 ニコラが襲われた村を出て、さらに一週間ほど移動をした。もともと追加の抑制剤を手に入れるつもりだったのだが、どの町も品切れで転々としていたのだ。結局、国境近くの町まで移動してきた二人はやっと、オメガ用の抑制剤とアルファ用の抑制剤を手に入れることができた。


「お待たせしました。薬師から宿を紹介していただいたので、行きましょうか」


 薬師と何やら話し込んでいたラウロがニコラの元に戻ってきて、二人は町の奥まった場所にある宿屋を目指した。ニコラは一歩一歩の足取りが不安定だが、重くも軽くもない。ただ、心臓だけはドキドキと脈打っていて、口から飛び出してきそうだった。


「先に湯浴みをどうぞ」


 着いたのは宿屋というより、一軒家だった。一日に一組だけ泊まれる宿のようで、優しそうな老紳士は敷地内の離れに住んでいるらしい。


 つまり、この場にはニコラとラウロしかいない、ということだ。


「今からする……んだよね……!?」


 屋敷に備え付けの広い浴室で一人、顔を赤くして湯船に浸かっていた。ニコラは『想像上の番』をイメージしながら一人で慰めたことはあるが、実際に誰かと性行為をしたことはないので、緊張のあまり失神しそうになった。


「お、お待たせしました……!」


 浴室に用意されていたガウンを身にまとって出てきたニコラと入れ違いに、今度はラウロが湯浴みをしに消えた。


 これからのことを考えると落ち着かずウロウロしていたが、ベッドに座ってラウロの帰りを待つ。ベッドサイドのテーブルに香油と思われる小瓶や軟膏が置かれていて、その生々しさにごくりと生唾を飲み込んだ。


「……お待たせしました」


 ラウロもガウンを身につけて戻ってきて、ベッドに座っているニコラの隣に腰掛けた。


「始まる前に、確認します。今からする行為は、あなたを不躾な輩から守るための行為です。主が痛いことではなく、気持ちいいと思えるような行為をします」

「う、ん……」

「この行為で擬似番になる上で重要なのは、あなたの中に放つことです」


 そう言いながら、ラウロはガウン越しにニコラの下腹部を撫でる。じんわりと彼の体温が伝わってきて、ニコラは息を飲んだ。


「一種のマーキング行為ですね。擬似番として成立すれば、あなたの下腹部に守護印……聖紋が刻まれるはずです。そうしたら、邪な気持ちを持つ者は誰も主に触れられません」

「……ラウロは?」

「俺は別です。守護印は契約者には発動しません。ただ、印が薄くなってきたら再度行為が必要です」


 淡々と話をするラウロに、ニコラはしどろもどろになってしまう。そういう行為に関しては本で読んだくらいの知識はあるが、実際にしたことはない。

 しかもニコラは『オメガ』なので、行為をした後のことが頭の中をよぎった。


「でも、その……行為をして、中に出したら……」

「主人と奴隷の間で行われる性行為では、子は孕みません。あくまで、その対象を守るための行為ですから」


 ニコラは男でも子供が産めるオメガで、ラウロは繁殖能力に秀でているアルファなので聞いてみたのだが、どうやら心配はないらしい。子供は妊娠しないと言われ、少しだけ『残念』だと思ってしまった自分の気持ちに、ニコラは気づかないふりをした。


「……あまり緊張せず、体の力を抜いてください」

「ひゃっ」


 緊張して強張っているニコラの肩にラウロの手が触れ、思わず声が漏れてしまった。自分の変な声に驚いたのはニコラのほうで、パッと口元を手で覆う。ラウロが小さく笑った声がして「今夜だけは、どんな声も聞かせてください」と、わざとらしく耳元で囁いた。


「怖がらなくても大丈夫です。痛いことはしないと誓います」


 耳元で囁かれ後ろから抱きしめられながら、ラウロと一緒にベッドに沈む。


「……エルネス・ロセットからは、頭の中でどんなふうに触られますか?」

「え……?」

「俺を彼だと思って、あなたのことを教えてください。彼は何歳? どんな体格で、どんなふうにあなたに触れますか」

「ちょ、待って……っ」


 ラウロの顔が見えないので、まるで本当に『エルネス・ロセット』から触られているように思えた。でも、いつも一人で想像していたような虚しさはない。きちんと体温がある大きな手が実際にニコラの体中を撫でていて、ぞわりと背中に興奮が走った。


「年齢は、二歳年上の、二十八歳……血管が浮き出た腕がセクシーに見えて、太い指が好き……」


 こんなことを言うのは恥ずかしいのに、自分の意思とは反対に言葉が出てきてしまう。ニコラは熱い吐息をもらしながらエルネスについて話していると、後ろから不機嫌そうな声が聞こえてきた。


「……年上の男が好みですか?」

「へ……? ただ、包容力がある人のほうが、好きなのかもと思って……」

「なるほど。じゃあ年上のように、たくさん甘やかしてあげます」


 ニコラはラウロからバスローブを肩からずり下ろされ、熱い指に触れられた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ