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17 - 叫ぶ少女と咲き誇る花畑( 1 )

傍晚时分。埃だらけの部屋を掃除し終えた後、藤原さん一家、祖父母、そして様々な親戚のおばさんたちが次々と訪ねてきた。僕が埃まみれになって、階下で体を清めようと思った時には、賑やかなリビングはもう人でいっぱいだった。


「浅村くん、こんばんは。すごい埃だらけじゃないの。掃除してたのかい?」


「おや?浅村じゃないか。久しぶりだな。年々、男前になるなあ」


「よう、浅村。久しぶりだな。ちょっと話そうぜ」


「まあ、イケメン君、こっちへ座って、おばさんたちとお話ししましょうよ」


「あ、藤原さん、皆さん、こんばんは。本当に、お久しぶりです…」


ソファに座って僕に微笑む藤原さんに手を振った。リビングに何人いるのかを把握する前に、二つの小さな影が、突然横から現れ、僕の体に飛びついてきた。


「浅村お兄ちゃん——」


「お兄ちゃん——」


叔父さんの家の子供たち二人が、それぞれ僕の両足に抱きつき、見上げてくるその顔には、子供らしい無邪気な笑顔が浮かんでいる。僕はそのパフォーマンスに思わず笑い声を漏らし、腰をかがめて二人の頭を撫でた。


「やあ、二人とも元気だったか?お兄ちゃん、後で遊んでやるからさ。今は、やることがあるんだ。だから、先に手を離してくれるかな?」


「うん、わかった!後で、サッカーしようぜ!」


「お兄ちゃん、後で、おままごとしてくれる?」


「いいよ、いいよ。でも、俺の用事が終わってからな。早く終われば、それだけ早く遊べるからな」


「うん、浅村お兄ちゃん、早く行ってきなよ」


「待ってるからね!」


二人は僕の足から手を離すと、一陣の風のように二階へと去っていった。


僕は振り返り、リビングに座る親戚一人一人に挨拶を済ませ、彼らの談笑の誘いを丁寧に断った後、リビングを出て、洗面所の方へ向かった。


「浅村、何か用事かい?」


キッチンを通り過ぎる時、藤原さんのおばさんと叔母さんと一緒に夕食の準備をしていた母さんが、慌ただしく食材を調理しながら、戸口を通り過ぎる僕を呼び止めた。


僕は振り返り、キッチンの入り口に寄りかかり、彼女の忙しそうな後ろ姿を見つめて答えた。


「いや、別に。顔を洗いに行こうと思って。何か手伝おうか?」


「ああ、頼むよ。着替えを済ませたら、こっちへおいで」


「わかった。すぐ来る」


そう言うと、僕は振り返って浴室へ向かった。





なんだか…息が詰まる。


周りの、ほとんど会ったこともない人たちの話し声を聞きながら、私は、できるだけ息を殺し、存在感を消していた。


あ、浅村くんが降りてきた。


ぷっ、体中、汚れてる。掃除でもしてたのかな?


「浅村くん、こんばんは。すごい埃だらけじゃないの。掃除してたのかい?」


私を見て、彼は手を振ってくれた。ふふ…子供みたい。


助けて、浅村さん。ここに、いたくない!


そんな、相手に気づいてほしいという期待を込めて、彼に助けを求める視線を送った。すると、さっきまで部屋中を走り回っていたあの子たちが、浅村さんを見るやいなや、まるでアイドルに会ったかのように、キッチンから飛び出して彼に抱きついた。もう…本当に、仲がいいんだから。


彼が、優しく二人の子供の頭を撫でているのを見て、私は少し驚いた。浅村さんって、誰に対しても、同じように優しいんだな…本当に、良いお兄ちゃんだ。


でも、彼、何か用事があるって。一体、何をするんだろう?もし、私が何か手伝えることがあれば、もうここにいなくても済むのに。


もう、本当に。私、そんなにここを楽しんでるように見えるのかな。あの子たちへの優しさ、半分でもいいから、私に分けてくれたらいいのに。まあ、彼は、私に対して、いつもすごく優しいけど。すごく、すごく、優しいけど。


うわあああ!!!!!!





「すみません、少し席を外します」


私はソファから立ち上がった。彼らの不思議そうな視線を浴びながら、私はリビングの外へ出た。


リビングのドアを閉めると、ほっと一息つけた。


ずっと笑顔を保っていたせいで、こわばっていた顔が、じんじんと痛む。


やっと、出られた…。


私は、深く息を吸い込んだ。


こんなにたくさんの、見ず知らずの人たちと、でも親戚だからという理由だけで、窮屈な思いをしながら一緒に座っているなんて、本当に、いい気分じゃない。


私はリビングのドアの外に立ち、廊下の奥、ドアの隙間から光が漏れているあの部屋を見た。


浅村さんはさっき、あっちの方へ行った。


彼を探しに行く?


どうして、彼を探しに行くのよ。


…でも、浅村さんだって、こんなにたくさんの知らない人たちと集まるなんて、嫌なんじゃないかな。まあ、彼らは、私みたいにずっと黙って座っているわけじゃなく、すごく仲が良さそうだったけど。小さな子供たちだって、私には寄り付こうともしないのに。


で、でも、さっき、皆に頷いて微笑んでいた浅村さんは、本当は、無理してたんでしょう!あの笑顔、私に対する笑顔とは、全然違ったもの。私には、わかるんだから!さっきのは、「年長者の前で、物分かりの良い子を演じるための、偽りの笑顔」だったんだ。彼だって、あそこに座っていたくないはず。私は、浅-村さんを、あそこから救い出すために行くの。それだけ。そうよ、うん、間違いない!


ドアのそばの壁に寄りかかった私は、両手で頬を覆った。じわりとしたその感触は、周りの空気よりも、熱かった。


「今度は、お前が鬼な!」


階段から、あの子たちの声が聞こえる。階段を駆け下りる、ドンドンという音と共に、二人が二階から降りてきた。


「お姉ちゃんと、一緒に遊ぶ?」


私はしゃがみこみ、階段を下りてくる二人を見た。二人は、階段の最後の段で、ぴたりと足を止めた。


二人は顔を見合わせ、そして、私の方を向いた。


「お姉ちゃん、誰?」


男の子のような顔立ちの子が、そう私に尋ねた。私を見るその目には、困惑と、ほんの少しの不審が混じっている。隣の、小さなスカートを履いた子も、同じような目で私を値踏みしている。


私…私は、誰?


私、私は、なんて答えればいいの?頭が、少し、フリーズして、口から、考える声が漏れた。


「えっと…」


「知らないお姉ちゃん、また今度、一緒に遊ぼうね!」


私が口を開く前に、二人はリビングのドアを開け、中に駆け込んでいった。


私は、両腕で抱えた膝に、顔を埋めた。


失敗しちゃった…。


これじゃあ、私と話してくれるのなんて、もう浅村さんしかいないじゃない…。私は顔を上げ、廊下の突き当たり、ほんの少し光が漏れているあの部屋を見つめた。


私は立ち上がり、静かに、その部屋の方へと歩いて行った。

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