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四話 青木さん

 ショッピングモールでの怪事件が終わり、今日は平日で学校にいる。


「オレさ、手からビーム出るかもしれん」


「へー」


 休み時間中、タケちゃんと適当に雑談をする。どうやら信じてもらえていないようだ。


 本当に出たんだけどなぁ。オレ自身もいまだに信じられないが。


「やってみてよ」


「ここでやったら大惨事になってしまう」


 そんなことを話していると、向こうから青木さんがやってくるのが見える。目線はこちらを向いていた。


 クラスのマドンナである青木さんは、タケちゃんの好きな人でもある。ロングの黒髪がなびく。タケちゃん、鼻の下が伸びてるぞ。


「白浜……くん? 放課後時間あったら少し話さない?」


 おっと? これはまさか⁉ タケちゃんが般若の顔でこっちを向いている。


 すまんなタケちゃん。


 どっちが先に彼女ができるかの勝負、やはり勝利はオレだったようだ。







 放課後。学校の他に誰もいない場所で、オレは青木さんといた。


「あの時化け物を倒して助けてくれたのって白浜くんだよね」


 青木さんは化け物に襲われて怪我を負っていたが、どうやら重症ではなかったらしく、普通に登校してきている。


 本当に良かった。あんなキモいのに食べられでもしたら最悪だしな。


 しかし一つ気になることがある。


 確かに化け物をビームで倒したのはオレだ。しかしあの時は葉っぱで見た目を変えていなかったはず。


 今のように学校にいるときはもちろん葉っぱで姿をごまかしている。どうしてオレだと分かったのだろう。


 オレが頭の中でハテナを浮かべてる中、青木さんは続ける。


「信じてもらえないかもしれないけど、あの時から妖怪とかお化けみたいなものが見えるようになっちゃった」


 あんな化け物が実際にいたんだし、そんなこともあるのかな。


 言われてみれば様子がおかしいおじさんとか、変な形の動物を登下校中に見た気がする。


 あいつら妖怪だったのか。


「それと、白浜くんもなぜか女の子に見える」


「今も?」


「うん。とっても可愛い女の子に」


 終わった。何とか秘密にしておいてもらえるよう伝えないと。


「これはその……事情があって!」


「大丈夫。まだ誰にも言ってない」


 よかった! 最悪の事態は防いだ。性別が変わったことが周りにばれると、かなり面倒なことが起こりそうだ。


「白浜くんは実は女の子だったんだね!」


 おっと? なんか誤解がはじまったな。


 “TSしたのは”バレてないようだ。







⬛︎化け物と戦っていた男子高校生視点


 僕は今日、班のみんなとショッピングセンターに来ていた。


 どうやらこの辺りで不審な現象が立て続けに起こっているらしい。


 神具が関わっているかもしれないとのこと。


 あまり知られていないが、僕らの世界には妖怪がいる。意思を持つようになった物が妖怪に変化したり、自然発生したりする。


 先天的にみえる人もいるが、普通人の目は彼らを捉えることができない。だけどごく稀に強い妖力にあてられて、後天的に見えるようになることがある。


 僕もそうで、かつて襲ってきたあの妖怪の妖力で見える体質になってしまった。


 彼女もそうなんだろう。


 ひどく怯えている女の子に目を向ける。


 彼女が妖怪に襲われているところを助けたはいいものの、事態は良くない。


 相手が予想以上に強く、防戦一方だ。術式によって剣を生成したが、あまり効いている様子はない。


 そのとき誰かが走ってくる足音が聞こえた。


 振り返って見ると小さな白髪の女の子がいる。子供がかんな場所に来るなんて危なすぎる。しかしその場違いな存在に、強烈な違和感を覚えた。その子の妖力の量だ。


 この子、持っている妖力が大きすぎる!


 まるで全身が妖力の塊だ。僕の先生が本気を出したってこんなふうにはならないだろう。


 あまりの圧に戦慄する。


 その子が腕を上げたと思うと、極太のビームのようなものが出て、妖怪の体を貫く。


 一瞬だ。あっという間に妖怪は倒されてしまった。


 なぜかやった本人も驚いた顔をしていた。







 そんなことがあったと先生に相談すると、

先生は少し考えたような顔をした後、ニカッと笑った。


「謎の少女ね。今回の任務と関係がありそうだ。神具が関わっている」


 神具とは特別な能力のある道具で、各地に散らばっている。害のある神具の回収も組織の仕事だ。


「先日、神具の能力が判明した。悩みを解決する能力だ。ショッピングモールでの妖怪も、元は子供のおもちゃが変化したものだった。子供に雑な扱いでもされたんだろう」


  神具は人にはうまく使えないことが多い。予想外の被害が出ることがある。まして悩みを解決するなんて大きな力を持った神具、何があってもおかしくない。


 早期に解決する必要がある。


「結構強かったんでしょ、そいつ。また似たようなのが出る可能性が高い」


 負けたのは悔しいが、それ以上にまた人を助けることができなかったことが何よりも悔しい。


 あの少女がいなかったら、二人とも生きては帰れなかっただろう。


「先生、修業をつけてください!強くなりたいです!」


「ふむ。子狸の葉を使うか」


 先生はそうやって一枚の葉をどこからか出した。


「子狸の葉……?」


「妖力があるやつなら誰でも姿を変えられる葉だ。ほらこんな風に」


先生の姿が組織の会長のものへと変わる。


「でも妖力操作を上手くすることで、見破ることができる。これで俺の変身を見破れるようになれ」


「は、はい! 頑張ります!」


「ああ、それと颯太、その子と連絡先交換した?」


 先生に名前を呼ばれる。


「いいえ! してません!」


「……は〜。幸い強力な妖力持ちだ。探せば簡単に見つかるか」


  少し呆れた顔で先生は言う。


「はい! 探しましょう!」


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