イキノコリ
「イキノコリ」
【作者】
奥田光治 様
【あらすじ】
1994年、奥多摩の白神村で一人の男が全村民を殺害するという前代未聞の大事件が起こる。後に「平成の八墓村」と呼ばれるようになったこの事件であったが、やがて、事件後に廃村となった白神村に事件の『イキノコリ』が出没して村へ侵入する人間を殺す、という噂が流れるようになっていた。それから十年後、今度は八王子市内を走る路線バスが予備校生によって占拠されるという事件が発生。だが、犯人の無謀な要求によって奥多摩の山道を暴走したバスは運転を誤って崖下に転落。助かった乗客ら十名は、偶然近くにあった旧白神村へと避難して救助を待つことになった。ところが、翌日運転手が首切死体となって発見され、さらに乗客二人がバラバラにされて殺害されてしまう。互いに疑心暗鬼になる乗客たち。だが、一人、また一人と乗客たちは殺害されていく。殺人鬼は自分たちの中にいるのか、それとも噂の『イキノコリ』なのか。今、十年のときを経て「惨劇の村」で再び殺戮の幕が開く。誰が死に、誰が生き、誰が殺して、『イキノコル』! (カクヨムでも掲載中)
【紹介文】
僕が紹介するまでもない有名作品なのですが、これを紹介しないともぐりっぽいので、躊躇なく紹介します。
まず作者の奥田光治様ですが、なろう媚びせずに本格ミステリを書いている作者様の中で、唯一と言っても過言でないと僕が考える成功者(「イキノコリ」)です。
もちろん、それは運によるものではありません。
なろうウケなど気にする必要がないくらいの圧倒的なクオリティーの作品を数々生み出しているので、見つからないはずがないのです。
そしてこの「イキノコリ」ですが、「平成の八墓村」である廃村を舞台に、バス転落事故の生存者10名が1人、また1人と残虐な方法で殺されていく、という、ハラハラドキドキが止まらない設定となっています。
ただし、この作品は、ホラーではなく、紛うことなきミステリーであり、「読者への挑戦状」まで付いた本格ミステリーです。ちゃんと犯人がいて、手がかりもちゃんと示されています。
読みやすい文体で、かつ、分かりやすい展開なので、事件の真相(これは決して単純ではない)を考えながら、没頭して読める作品だと思います。
バリバリの本格ミステリーですが、「ミステリーは堅苦しくてちょっと……」という方にもオススメできる傑作です(「バトルロワイヤル」や「リアル鬼ごっこ」などが好きな方にもオススメです)。
たまたまですが、首切り殺人モノの紹介が4作続いているので、次回は首切りでないものにしようと思います。
【リンク】
https://ncode.syosetu.com/n7828bx/