人たらしの設楽くん〜ワールドエンド要塞の殺戮
「人たらしの設楽くん〜ワールドエンド要塞の殺戮」
【作者】
羽野ゆず 様
【あらすじ】
人の心をつかむ才能に長けた――人誑し。自分を人誑しの天才・豊臣秀吉の生まれ変わりと信じて疑わない少年・設楽キヨシ。ある日、クラスメイトの女子を誑そうとしたら逆に怒りを買ってしまい、アマチュア小説家の彼女が創作した異世界へ飛ばされてしまった! しかもジャンルは【本格推理小説】!? 『物語を終わらせたら還してあげる』って、探偵なんて無理だし……! これは、設楽くんがいかに登場人物をたらし、事件を解決に導くかの物語である。
【紹介文】
今まで紹介してきた作品からは少し趣向を変え、特殊設定(ファンタジー設定)ミステリです。
とはいえ、もちろんこのエッセイの紹介条件である①〜⑤は漏れなく満たしています。
主人公がクラスメイトの手によって小説の世界に飛ばされるという冒頭部分は、なろうテンプレっぽいのですが、飛ばされた途端、登場人物紹介と見取り図が示されるところは、本格ミステリー以外の何物でもなく、ゾクゾクしました。
そして、「ワールドエンド要塞」と呼ばれる建物で、殺人事件が発生します。
水滝で仕切られたホールに現れる首なし死体。犯人はなぜ首を切断したのか、そして、どのようにして濡れずに水滝を横切ったのか。
そこには驚愕のトリックがあります。
ミステリーにはフェアさが大切であり、特殊設定ミステリーはフェアさとの両立に一苦労します。
しかし、この作品では、不老不死、千里眼などの異能力者がたくさん出てくるにもかかわらず、正真正銘フェアなんです。
それどころか「読者への挑戦状」まで付いています。
推理の過程も丁寧です。
他方で、特殊設定もかなり生かされており、異能力、そして、舞台がクラスメイトの創作世界であることも、事件全体の鍵を握ります。
少しのきっかけで、このサイトの超人気作になってもおかしくない作品だと思います。
【リンク】
https://ncode.syosetu.com/n6132ea/