【特別企画】なろう公式企画「春の推理2023(テーマ:隣人)」の応募全作勝手にベスト10!!
ご無沙汰しています。菱川あいずです。
一旦更新が止まってしまっていたため、再開するのにエネルギーが必要だったのですが、おかげさまでこのエッセイは、僕がサボっている間も多くの方にアクセスをいただいており、それを励みに遂に重い腰を上げました。
さて、復帰後第1段目ですが、所要時間20時間以上をかけて、なろう公式企画「春の推理2023(テーマ:隣人)」に応募されている全作品(229作)を読破しましたので、僕の独断と偏見により、ベスト10を決めて発表したいと思います。
推理ジャンルから公式企画が生まれたのは嬉しいことなのですが、特段表彰があるわけではないため、応募された作品は応募されっぱなしとなり、多少なりとも虚しさを感じていたところでした(なお、運営批判ではありませんので悪しからず)。
そこで、なろう推理界のロートルとして、おそらく他の方よりも長いであろうなろう歴だけを盾にしながら、敵を多く作ることも承知で、この場をお借りして偉そうに品評をします。
僕の好みが不可避的に反映されているかとは思いますが、よくも悪くも忖度はなしで、知り合いのユーザーさんの作品や以前このエッセイで紹介したユーザーさんの作品は、むしろ辛めに評価しています。
このエッセイもヒントにしつつ、皆さんの中でベストな「隣人ミステリー」を発見していただければと思います。
なお、今回に限り、人の死なないミステリーも選考対象に入れています。
それでは、10位から順に発表していきます。
【10位】
作品名:「汚部屋探偵〜有村ありすの事件簿〜」
作者:野暮天 様
短評:この作品に関しては、「汚部屋探偵」という設定がドストライクでした。しかも、それが女の子で、扱う事件も「下着が無くなった」ですから、これは完全に設定の勝利ですね。シリーズ化希望です。
【9位】
作品名:「羊の見る夢は彼女を殺す」
作者名:黒星★チーコ 様
短評:扱っているトリックは大胆なものです。しかし、伏線があり、納得するような背景があり、ミステリーとして成り立たせているのがすごいなと思いました。
【8位】
作品名:「お隣の楽器がうるさい」
作者名:弓良 十矢 No War 様
短評:独特な構成の中で、一つずつ事実が明らかになっていき、読者の認識もその度に改めさせられていきます。読者の誘導が上手いのと、最後の一行が最高に良かったです。
【7位】
作品名:「探偵同盟」
作者名:さのだいき 様
短評:地の文が多くて少し読みにくいのですが、ミステリーのアイデアとしては抜群に良かったです。ギミックに溢れたミステリーで、短編ではなくて長編で読みたかったなとも思います。
【6位】
作品名:「隣席の女子生徒はオカルト安楽椅子探偵?」
作者名:大浜英彰 様
短評:ミステリーとオカルトの組合せは最高ですね。造詣の深い作品で、描写も丁寧なので、オカルトの正体が暴かれる中で、様々なことを知り、そして考えることができる秀作です。
【5位】
作品名:「熱を帯びる幻」
作者名:深井陽介 様
短評:文章が上手く、雰囲気も抜群です。百合小説としてドキドキしながら読んでいると、やがて本格的な推理が始まり、意外な真相が明かされます。筆力がとても高いです。
【4位】
作品名:「突撃!隣の殺人現場〜安堂理真ファイル24〜」
作者名:庵字 様
短評:前述の理由で辛めに評価しましたが、ミステリーの定石を完璧に踏まえている作品なので、これ以上ランキングを下げることができませんでした。あったはずの死体が消える、という謎が魅力的ですね。
【3位】
作品名:「何でも盗っていく隣人に、死を盗ませてみた。」
作者:コロン 様
短評:これは桁違いのptを集めていた作品で、僕がここで紹介するまでもないのかもしれませんが、作品のクオリティーも高いので外せませんでした。タイトル、冒頭の導入含めて、見せ方が上手く、なろうウケとミステリーの醍醐味を両立した良作です。
【2位】
作品名:「横浜中華街殺人事件」
作者:Kan 様
短評:こちらも上述の理由で辛めの評価をしたつもりですが、この順位ですので、なんというか、察してください。このクオリティーのミステリーをわずか2万字程度で表現してしまうところに脱帽です。見事なアリバイトリックでした。
【1位】
作品名:「隣人の殺人」
作者:奥館 暦 様
短評:1位はこの作品です。見つけた際に、興奮のあまり、思わずツイートをしてしまうくらいに良かったです。意外な真相、大胆なトリック、そして読者をミスリーディングさせる工夫がテンポの良い文章の中に詰まっています。必読でお願いします。
【総評】
「隣人」「ミステリー」で思い浮かぶことなど数パターン、せいぜい十数パターン程度しかないだろうと思っていましたが、井の中の蛙でした。
想像を絶するほどに様々なバリュエーションの作品があり、たとえば、今流行りのAIに構成させた作品や、ご自身の隣人トラブルをそのまま報告する作品?などもあり、人の創作力には限りがないなと感動した次第です。
個人的に、ランクインさせたいなと考えた作品は、だいたい20作くらいあり、ランキングには僅差で漏れましたが、気に入っている作品はまだあります(きっとあなたが応募した作品がそれです)。
とても勉強になりましたし、楽しかったのですが、さすがに時間と労力がかかり過ぎましたので、来年以降もやるかどうかは未定です。今回の反応が良ければ考えます。
なお、ランクインした作品のリンクはここには載せませんが、活動報告に載せる予定です。




