探偵・渦目摩訶子は明鏡止水
「探偵・渦目摩訶子は明鏡止水」
【作者】
凛野冥 様
【あらすじ】
ノンフィクション推理作家・山野部森蔵が心不全で死亡した。その葬儀を執り行うため、彼が人里離れた山奥に建てた〈つがいの館〉に山野部家の一族が集う。そして吹雪によって館がクローズド・サークルと化した夜、凄惨な連続殺人事件の幕が上がる。真相究明に乗り出したのは、使用人の娘であり駆け出しの探偵でもある女子高生・渦目摩訶子。さらに彼女は、推理作家を志望する男子高校生・山野部茶花を助手に指名したのだった。
それは、聖なる夜へと向けた、未曾有の大犯罪。あまねく■■■■を■■■する、史上最悪の企み。混迷を極める事件の果てに、大いなる真実を拝領した二人は、人々を前代未聞の結末へといざなう。
ミステリを愛するすべての生者と、ミステリを愛したすべての死者に、本書を捧ぐ――。
【紹介文】
「なろうミステリーの孤高の天才」
とか書くとご本人から怒られますかね?
ただ、それが凛野様に対して抱いている紛うことなき印象であり、とりわけ「天才」の部分に関しては、凛野様の作品を読んだことのある方ならばおおよそ共通して抱いている印象かと思います。
「名探偵・桜野美海子の最期」が凛野様の代表作であり、僕がオススメするまでもない有名作品です。
この作品は、既存のミステリーの枠組みを壊す壮大な仕掛けが発揮されており、それを抜きにしたトリックの完成度も含め、間違いなく必読です。
ただ、個人的には今回紹介させていただく「探偵・渦目摩訶子は明鏡止水」の方が、読後の衝撃が上回っていました。
「この作品は22歳の冬に書きました」というあとがきも含めて。
この「探偵・渦目摩訶子は明鏡止水」ですが、実は、2019年の新潮ミステリー大賞の最終候補作です。この年は大賞が選出されておらず、ネット掲示板では、実はこの「探偵・渦目摩訶子は明鏡止水」が大賞の予定であったが、この作品がすでにネットに投稿されていたために大賞にすることができなかった、などという説すら流れています。
真偽は分かりませんが、そうだとしても全く不思議ではないなと思います。
凛野様は、なろうミステリーを語る上では外せない一人です。凛野様の作品を無料で読めるのも今のうちだけかもしれません。
あ、これは余談ですが、2017年、拙作「殺人遺伝子」がヒットしてちやほやされていた時期に、凛野様の「そして誰もいなクマった」という短編作品を読み、自分はまだまだだなと反省したことを今でもよく覚えています。
【リンク】
https://ncode.syosetu.com/n6099gt