逃亡の女王と鉄壁の館
「逃亡の女王と鉄壁の館」
【作者】
天草一樹 様
【あらすじ】
宰相の反乱を察知し、いち早く国から逃亡した女王とその護衛達。途中、たまたま逃亡している女王らの姿を見つけ半ば誘拐される形で連れてこられた「僕」は、彼らと一緒に『十字館』へと逃げ込んだ。十字館には決して外から壊すことのできない魔法が仕掛けられており、この館へと逃げ込んだ時点で無事は保障されたも同然だった。しかし、館に到着した次の日の朝、護衛のうちの一人が死体で発見される。外部からの侵入はあり得ず、館内の誰にも殺人を犯す動機がない。一体なぜ、誰が殺人を犯したのか。犯人が分からずにぎくしゃくとした雰囲気が流れる中、第二の殺人が発生する……。
【紹介文】
作者の天草様は、実は、このエッセイの「影の立役者」であり、僕に多くの名作を他薦してくださっています。
読者としてなろうミステリーを熟知している天草様なのですが、昨年完結した「キラースペルゲーム」がランキングを騒がせていることからも明らかなとおり、作家としてもかなりの実力者です。
手に汗握る心理戦と終盤の畳み掛けるようなどんでん返しの壮大さからすれば、「キラースペルゲーム」をオススメするのが順当かもしれません。
ただ,隠れた名作にスポットを当てるという意味でも、個人的な好みからも、本エッセイでは「逃亡の女王と鉄壁の館」を紹介させていただきます。
この作品は、ファンタジー世界を舞台とした特殊設定ミステリーです。
登場人物は、女王様、そして、その女王様を護衛する人外たち(エルフ、ウルフ、トロール、ピクシー)などなど。反乱軍から逃れるために、彼らが魔法によって「クローズドサークル」と化した館に立てこもることからストーリーが始まります。
そこで突然起こる殺「人」。動機も方法も不明なまま、殺「人」は連鎖していく……。
この作品の特徴の一つは、やはり人外たちが扱う異能力の存在でしょう。
これはミステリーとは両立しにくいように思えるかもしれませんが、異能力の内容は作中ですべて丁寧に説明されていますので、とてもフェアです。
そして、「キラースペルゲーム」もそうなのですが、この作品にも、ラストに驚愕のどんでん返しがあります。
このどんでん返しの華麗さこそ、僕がこの作品をオススメさせていただく最大の動機です。
気軽に読める文字数も良いです。
天草様の作品で思いっきり騙されてみませんか。爽快ですよ。
【リンク】
https://ncode.syosetu.com/n8294ef/