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無職な何でも屋 本当に何でも請け負います  作者: いねっしー
後継者動乱編
4/13

第四王女

「さて、到着です」

 余りにも一瞬で到着し、絶句する。


「王女様、お望みの品です」

 周りを見渡すと、そこには入り口と思わしき扉があり、その前でいつの間にかメイドがローブを外し、扉の前で声を上げていた。


「そう、入って良いわよ」

 扉の奥から響く声を聞き届け、メイドが扉を開ける。


「速く入るわよ」

 メイドに言われ、嫌々中に入る。部屋の中は何でも屋の内装とは大きく違い、美しかった。

「お! ちゃんと依頼通りの……依頼通りの……」


 部屋の奥のベッドにいた第四王女ことスエルは、後から入ってきた彼を何度も見て、

「……男だよね?」

「いえ、男も女も突き詰めれば人間ですよ」

「誰が突き詰めろって言ったのよ……」


 一応聞こえないフリをしながら盗み聞きをして、思考を巡らせる。

 ……ああ、あの王女多分同じ年頃の友達が欲しいとか言ってたんだろうな。


「はーあ、ずっと前のことを覚えてくれてたのはうれしいけど、リュエリ、あなたってそんなことする人じゃ……いえ、何でもないわ。ごめんなさいね、貴方名前は?」

 ベッドの奥にいた王女は、入り口で佇んでいる彼に声をかける。


「名前、ですか……タツヤです」

 突然名前を聞かれ、反射的に答える。


「そう、タツヤって言うのね」

 その時、ふと何故か王女は悲しそうな表情を見せる。


「スエル様?」

「……あはは、何でもないのよ、何でも」

 スエルは取り繕うにそう言うと、部屋に入っていた二人に出ていくように促す。


「……で、追い出されたのはいいのかよ」

 部屋から追い出される、隣にいるメイドに話しかける。


「そんなこと言われてもね。……それより貴方、さっきのタツヤって名前、あれ本名なの?」

 逆に返されたタツヤは、少し面倒くさそうな顔をする。

「さあ、どうだろうな。だがタツヤって名前は俺が最近殺した野郎と同じ名前だ」


「やはりそんな話でしたか」

「まあな、本名なんて明かすもんじゃねえよ。にしても、年が近い女とは久々に話したが、何かむず痒くってたまらないわ」

 そう言うと、メイドは少し哀れみの目線を向けてくる。


「そうですか……まあ良いです。では、とりあえずの貴方の配置は部屋の扉の守りで良いでしょう」

「は? ちょ、それは近いーー」

「これを機に年が近い人と話す特訓でもしてくださいな」


 そう言い終えると、そのままメイドはその場を去る。

「……はあ、そうきたかよ……」

 居心地の悪そうな顔をしながらとりあえずその場に座り込んで、扉により掛かった。

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