節句
2月25日 北野天満宮で梅花祭が行われる日
涼香は真弥の七つの節句祝いと病気回復祈願しに参拝に出かけました。
真弥は琥珀を抱いて京都の北野天満宮に 七つの節句お祝いに母親の涼香と出かけた。
北野天満宮に向かう道、真弥より一つ二つ年上の男の子を連れた和服の女性が口ずさんでいる。
通りゃんせ 通りゃんせ
ここはどこの 細道じゃ 天神さまの 細道じゃ
ちっと通して くだしゃんせ 御用のないもの 通しゃせぬ
この子の 七つのお祝いに お札を納めにまいります
行きはよいよい 帰りはこわい
こわいながらも 通りゃんせ 通りゃんせ
「お母さん この歌何て言うの?」
「童謡で、通りゃんせ と言うのよ」
男の子を連れた和服の女性が話しかけてきた
「こんにちは これから北野天満宮に行かれるのですか」
「はい、梅花祭があると聞いて この子の七つのお祝いに行こうと思いまして」
「そうですか とても綺麗に咲いてましたよ」
男の子は、真弥の抱いてる子猫を見て話しかけてきた。
「可愛い猫だね、名前なんて言うの」
「私は真弥、この子は琥珀って言うのよ」
真弥の手から離れて 琥珀が男の子に近づいて抱かれた。
「あれ・・琥珀は他人には なつかない猫なのにこんなの初めて」
男の子が、そっと琥珀を真弥に返しました。
「僕は雅【みやび】それじゃまたね」
男の子は、元気に手を振りました。
その様子を木の陰から見つめる瞳
真弥もにっこり笑って手を振りました。
「ねえ お母さんからもらった 写真のお父さんに雅くん似てるね」
「えっ そう言えば・・・まさか」涼香は、少し不安な気持ちになりました。
真弥と涼香は、北野天満宮でお参りをしました。
「わぁ 綺麗な梅の花」
「それに 石で出来た牛の像がいっぱいあるね」
「真弥 自分の身体の悪い部分 そうねお腹かな 牛の像の同じ部分を撫でると、体の不調が改善すると言い伝えられているのよ。」
「ヘぇ〜 真弥の病気治るかな」
「お母さんと一緒に、牛さんを撫でましょうね」
「はーい」
北野天満宮からの帰り道 車道の向かい側に琴江と健太がいた
「琴江が、真弥来てたの こっちにおいでよ」と手招きした。
涼香は、真弥が道路に飛び出しているのに気がつき あっ 危ない!とっさに涼香が飛び出して真弥を歩道側に突き飛ばした。、
真弥が琥珀を抱いたまま 車道を渡り始めたところに黒いワゴン車が走ってきた
ドン キィーン キュルキュル すざましいブレーキ音
涼香が 黒のワゴン車の前で頭から血を流した倒れ込んでいる
真弥は琥珀を抱いたまま歩道でうずくまてっている 目の前を黒のワゴン車に積んであった
たまごが 落ちて割れて中身がドロドロと流れて出ている。
「早く救急隊を呼べ!すぐに通報した。」周りの人たちは、涼香の倒れたところに集まっていた
涼香は目を閉じたまま、ひたすら呼吸をしていた。周りには、彼女を助けようとする人々の声が響き渡っていた。
救急車が来て、病院に涼香と真弥が搬送される 幸い真弥はかすり傷ですんでいたので救急車の中で、救急隊員に話しかけられた。
「お嬢ちゃん お名前と身内の人の連絡先言えるかな」
「うん 名前は 里山真弥 お家の住所と連絡先はお財布に入れて持ってるよ」
「そう 見せてくれるかな」
「いいよ お母さんを助けてお願い」 真弥は泣き崩れました。
病院に 光代が駆けつけ真弥と一緒に集中治療室に案内された
涼香は、頭を包帯で巻き酸素マスクをつけて眠っていた。
健太の父親 鳥谷たまご商店の店主 鳥谷庄司も駆けつける。
「このたびは 当店の従業員 小嵐大介 運転のたまご運搬車が涼香さんに重傷を負わせました 誠に申し訳ございません」と 深々と頭を下げた。
「ご親族の方 担当医の先生から説明があります こちらへどうぞ」と看護士が別室に案内した
「涼香の母親の里山光代です」
「はじめまして 担当医の神崎です。娘さんは頭を強打して脳内出血しています止血は致しましたが
危険な状態かと思われます。」
「わかりました 宜しくお願い致します」
しばらくして 涼香は目を覚しまし母の光代に頼み込んだ。
「お母さん 真弥の事宜しくお願いします 親孝行出来なくてごめんなさい」
今度は、真弥と琥珀に目を移して言った。
「真弥それに琥珀も無事で良かったわ お母さんが死んでしまっても真弥を見守っているから心配しないでね」
そう 言い残して目を閉じた。
二日後にお通葬儀夜が執り行われ その翌日涼香は火葬された。お骨を骨壺に入れるときこぼれ落ちた喉の骨を琥珀が拾って食べてしまった。
「琥珀の身体の中で涼香がいるなら、きっと真弥の事見守ってくれるでしょう」
光代は、琥珀を撫でて抱き寄せた。
真弥は 私のせいで涼香が亡くなったと悲しんでいました
琥珀がその様子をじっと見つめて 真弥に寄り添い心を癒しました。
北野天満宮【きたのてんまんぐう】は、京都市上京区にある神社で、天満宮のひとつ。平安時代中期に、福原道灌によって建てられたのが始まり。硯、筆、和服の守り神としても知られている。特に、毎年5月25日から27日かけて行われる蛍見祭りは、日本三大夏祭りのひとつとして知られている。また、境内にはさまざまな種類の梅の木が植えられており、春には多くの人々が訪れる。