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能面たまご 琥珀  作者: 幸田 英和
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騎士(ナイト)

父の研究室 いたずらでアルコールランプに火をつける。琴江が炎の揺らめきをながめていると、ガタガタと大きく揺れランプが倒れカーテンに燃え移る 隣の部屋の琴の間に逃げ込むが煙が室内に充満してきて息苦しい、意識が遠のいていく…

ここはどこ温かい水の中、お母様が琴を弾きながら泣いている、悲しそうな音色…お父様と言い合いをしている。

私が生まれてお母様を笑顔にしてあげたい。

誰かの声が聞こえる、頑張ってもう少しで産まれる、琴音頑張ってくれと手を握るお父様、身体がグルグル回って動いていく、滑り台を滑って行くような暗闇の中から明るい世界に…

助産婦さんの声 もう少しよ頭が出てきたよ、頑張るのよ。

おぎゃあ 息ができる声が出る、お母様が笑っている

おめでとう 1966年5月10日8時無事に出産元気な女の子ですよ。

何て指の動く子なんでしょう きっと素敵な琴の音を奏でるわ 名前は産まれた日時にちなんで琴江と名付けましょう、あなた いいですか。

ああ いいとも元気な女の子を産んでくれてありがとう。


必死に消化活動をする消防隊 だけど火の手が早くなかなか鎮火しない

まだ、中に娘が取り残されているの助けに行かせて

ダメだ 入り口が崩れて狭くなっていて我々でも侵入することができない


僕なら入れるよ、5歳ぐらいの男の子が自ら頭から水をかぶり 消防隊が止めるのを聞かず崩れかけた玄関から侵入していく

ダメだ 危険すぎる坊や、やめるんだ戻っておいでと叫ぶ消防隊員

入っていってしまった 仕方ない左右から放水して鎮火させるんだ


お願い誰か助けて

動けない 煙で視界が悪く息苦しくて声が出ない意識が遠のいていく…

誰かいるの、いるなら返事して

男の子の声 部屋の片隅に置いてある琴の弦を指で弾く琴江

部屋の隅から琴の音が聞こえる

あっ いた!

大丈夫 僕の背中に捕まって 

口に湿ったハンカチをあてられ 男の子の背中におぶられている 

私を助けにきてくれたんだ 火の粉を払いのけ躊躇せずに出口をめざし足早に突き進む

前方に消防隊、ホースで水をかけ進路の火を消化する

助かった 無茶するな坊やケガはないか? 僕は大丈夫だよ女の子を見てあげて

横になって応急治療を受ける 助けてくれた男の子にお礼を言わなければ、でも声が出ない 男の子の横に私と同じぐらいの着物をきた女の子

誰だろう 親しそうに話をして火傷の薬をぬっている

私の手に中に髪の毛 必死につかまっていた時に手で握り抜いてしまったのね

でも 何なのあの子 私の騎士ナイトに近づかないで…

救急車に乗せられて病院に搬送される琴江 動けない悔しいあの子許せない。


保育園に通うようになった琴江は近所の呉服屋の真弥、たまご屋の健太と同じ、たんぽぽ組となる。

はじめまして、私は真弥、琴江ちゃん女の子同士仲良くしてね。

健太くんは、女の子に優しくしなきゃだめだよ。

やだよ 女はすぐ泣くからめんどくさいや。

もう 遊んであげないからね。

優しそうな笑顔で笑う女の子 あの時。私の騎士ナイトに火傷の薬を塗っていた着物の女の子、間違いないわ。

でも、今は友達でいなきゃ。

こちらこそ、仲良くしてね真弥ちゃん健太くん。


三人とも 同じ小学校に入学した。


なた、変な模様ができている気持ち悪い

地づくな うつるぞ!

やだぁ 来ないであっちへ行ってよ


お前たち、真弥をいじめるのはよせ。アレルギーはうつることないんだ!


わぁー健太は、真弥ちゃんが好きなんだ そんなんじゃ ばいやい!


おい 琴江ちゃん話があるから こっち来て


なによ 健太くん


お前、真弥の給食に何入れているだろー

お前が、給食当番の日に限って、真弥ちゃんが発作をおこすのは変だろー!

それに、陰でみんなに、ありもしないこといいふらして、友達のふりして真弥ちゃんをいじめるのはやめろよな!

 

何よ そんなわけないわよ! 何か証拠でもあるの?


証拠はないよ 僕の勘違い「ならいいけど 


真弥ちゃんには、言わないでおくよ 友達だと思っているから悲しい思いをさせてくはないからな


あーら お優しいこと 真弥ちゃんを守るナイトさん。


どうしたの 琴江ちゃん健太くん


何でもないよ 今度三人で遊園地でも行こうと話をしていたんだよ。


わぁーいろんな乗り物があって楽しそうだね。

いこいこ 翔太くんはボディガードについてきてね


えー しかたねぇな


頼んだよ ナイトくん。






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