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コンビニの商品が一つだけ消えていても誰も気付きはしないのだろうか。

作者: 戸田まひる

とあるコンビニから、とある商品が消えた。それは一体どこへ。誰が、いつ。


 限定商品が入荷され二日後に事件は起きた。内容としては万引きといったところだ。



「店長、防犯カメラにすら映っていないなんてありえませんよ」



 二月一日。出勤者、店長と内島。


 街外れにある小さなコンビニ。そこは決して収入が低いわけではない。国道沿いなだけあり、それなりに繁盛しているのだ。


 その日、内島の好きな大人気アニメのグッズ付きのお菓子が限定で十個だけ入荷されたのだ。それは手のひらサイズで中々のボリュームといったところ。けれどグッズの種類は無く、箱の中身は一種のみ。どれを手に取っても同じ商品てわけだ。



「店長、あのアニメのやつ届いたのですがどこに置くのですか?」


「レジ前でいいよ。客の目につくところに置けばいいんだ」



 店長の指示でバイトチーフである内島がスタッフルームで開封をし、かごに入れレジ前へと持っていく。



「この棚に並べるんですよね?」


「なんであんな狭い所で開けるんや。客がいねー時ぐらい広い所で作業せんかい」


「あ、そうっすよね。すみません」



 数を確認し店長から「お疲れ」の一言をもらい内島はその日のバイトを終えた。

 限定商品、在庫数十個。


 二月二日。出勤者、内島と樋口。その後、店長。


 次の日はなかなか忙しい日となった。内島と新人である樋口の二人だったからだ。内島は樋口に仕事を教えつつも接客をしなければならない。そんな慌しい時間は過ぎ、バイトの終わりが近づいていた。



「空箱落ちてるんですが捨てておいていいですか?」


「え、なんの? あ、うん。というか、樋口さん。レジ前のさ、アニメ限定商品の数を教えて。在庫管理しないとダメだから」


「は、はい! えっと七個です」


「おっけい、ありがとう。じゃあ樋口さん今日はあがっていいよ。疲れたでしょ」



 樋口が帰った後に入れ替わりで店長が出勤。そうして在庫管理の報告と確認がとれ、内島は帰っていった。



「お疲れ様です。店長、お先です」



 限定商品、在庫数七個。


 二月三日。出勤者、店長と内島と樋口。



「おはようございます、店長。樋口さんはまだ着ていないのですか?」


「樋口ちゃんならね、品出し中」



 今日は珍しく三人が出勤の日だ。



「な、樋口。この限定のやつの在庫っていくつ残っているんだ。昨日確認したんだろう」


「はい、見ての通り七個です」


「それがおかしいんだよ」


「内島、おかしいんだ。商品は三つ減っているのに売上数は二つ。万引きにあったかもしれん」



 客のいないコンビニに緊迫な空気。三人とも自分自身は何もしていないと言い張る。



「俺が並べた時には十個ありました」


「ああ。それは僕も確認したよ」


「あ、あの。昨日の事なんですけど。空箱が……」


「え、樋口さんもしかして在庫確認の時に言っていたやつって」



 そんな会話をしているともちろん店長はいい顔をしない。



「わかった。防犯カメラを確認しよう」



 防犯カメラには怪しい者の姿は映っていなかった。二月一日に内島が品出しを行い、その後一人の客が二つ買って行った。そうしてなぜかそこには空箱が混じってあり、それを樋口が捨てた。そして次の日に店長が売り上げ確認をした際に在庫数と合わない事に気付く。そもそもなぜそこに空箱が存在したのか。実際、その商品には内島、客一名、そして樋口の三人しか触ってはいない。そうなると犯人は二人に絞られる。が、



「おい、内島。お前だろう」



ここで店長が仕掛けにいく。がそれはのちに確信へと変わっていく。



「内島が好きなアニメ。そして品出しの時にわざわざスタッフルームで作業。確かにそうすれば防犯カメラには映らない。けれど内島は普段からそんなことはしない。というよりも品出しした時から一つ空ならいずれ誰かに気付かれるだろう。そして樋口の行動は予想外だった。どうだ? 内島」


「明日、給料日で出勤するのは僕一人。その時に空箱のバーコードをレジに通すつもりでした。あまりにも人気の物なので無くなるのではないかと。もしお客さんに何か言われた時は、見本が混じってしまったとでも言うつもりでした。すみません」

 


店員だからってそんな事をしていいわけ……。

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