ロンドン編
の英訳を、なんと共同で出版した。これだけでも十分名誉なことだったが、そのうえあ
る日のこと・・・
熊楠 (スクリーンのジギンス博士のシルエットを驚いたようすでふりかえって)吾輩にケン
ブリッジ大学で日本学講座の助教授をやってみる気はないか、ですって! そりゃもう
喜んで! さっそく準備しましょう。
嬉々としてボロのフロックコートをさっそうとなびかせてどこかへ出かけて
いく熊楠
ナレーター しかし番狂わせはその常として突然にやって来る。
下品な赤ら顔の口うるさそうな男が熊楠にすり寄ってくる
うるさい男 おんや、匂うぞ匂うぞ、こりゃあ馬小屋の二階にお住いの貧乏先生のお出ましだ
な。
ナレーター 輝かしい未来の準備のため熊楠は大英博物館図書室へ来ていた。だがどうやらここの誰
しもが熊楠の存在を歓迎していたわけではなかったようだ。
うるさい男 へへへ、きょうは一段と香りますなあ。




