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魔力0で最強の大賢者~それは魔法ではない、物理だ!~  作者: 空地 大乃
第一章 幼年編

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第79話 魔力0の大賢者、駆け抜ける!

前回のあらすじ

大賢者が5000のゴブリン兵を丸太でぶっ倒したら魔法だと勘違いされた。

※いつも誤字脱字報告を頂きありがとうございます!

※感想も凄く嬉しいです感謝感激!

sideゴブラル


「ゴブラル陛下! ご報告致します!」


 来たか。ふふ、最前線のゴブリン部隊からの報告を受けた兵だ。かなり急ぎのようだが、思ったより早かった。

 

 きっと既に戦いは終わり、ゴブリン軍の大勝利に終わったと、そういう報告なのだろう。そうなってくるとやはり気になるのは戦利品だ。


 我々ゴブリンは人間が使う金やらなんやらには全く興味が沸かないが、食べ物や牝は別だ。むしろそれこそが楽しみと言って良い。


 だから兵にも女はできるだけすぐに殺すなと伝えている。何せ女は我らの勢力を更に伸ばす材料となるのだからな。


 さてさて、一体どんな戦果が報告されるのか、今から楽しみであるな。


「うむ、苦しゅうない。言ってみろ」

「は、はい! 我らがゴブリン軍、兵5000を率いて侵攻致しましたが、ぜ、全滅致しました!」

「ふむ、なるほどなるほど全滅……は? ぜ、全滅! 今、全滅といったのか!」

「はい、全滅です!」

「本当に全滅なのか!」

「紛うことなき全滅です!」


 思わずゴーブラを見た。だが、ゴーブラは、ふむ、と顎をさすり。


「これこれ、言葉はもっと正しく使い給え。相手が全滅したのだろう? 全く今のではまるで我々の部隊が全滅したようではないか」


 あ、なるほど。確かに今の感じだとまるで我らの部隊が全滅したように感じられるが、人間側が全滅か。それなら判る。だがしかし、根絶やしにするというのもな。牝は勿論だが多少でも残しておけば奴隷としてそれなりに使いみちもあるだろう。


「いえ、そうではありません! 我々のゴブリン部隊が5000名、全滅したのです!」


 ……どうやら聞き間違いというわけでもなかったようだ。うん、全滅、5000名が全滅?


 ゴーブラを見る。今度はダラダラとはっきり脂汗を流していた。さっきの余裕どこ行った! というか!


「全滅ってなんだ! ありえんだろ!」

「そ、そうであるこれは何かの間違いである!」

「しかし、間違えではなくありえたのです!」


 報告に来たゴブリンの目は至って真剣だ。嘘でも見間違いでもないということか……。


「ゴーブラ、どういうことだこれは?」

「……なるほどそういうことですか」


 するとゴーブラが何やら判ったふうなことをいった。


「何がそういうことなのだ?」

「はい。当初人間側は先遣隊の5人が見つかった、そんな醜態を晒したと我々は思っておりました」

「うむ、そうだな」

「だがしかし、それこそがミスリード。我々は人間どもにまんまとしてやられたのです」

「というと?」

「はい、人間どもの使う有名な手に釣り野伏せというものがあります。つまり、最初の5人は囮。それに引っかかってしまい、結果伏兵にやられてしまったとそういうことなのでしょう」


 そういうことなのでしょうってお前、それ大失態じゃないの?


「つまり我らが思うより人間どもは強かで狡猾だったということか……しかし、まさか5000の兵がやられるとは」

「これはこれは我らが帝王ともあろう御方がたかだが5000程度の損害で弱気なことを」


 え? たかだかというレベルなのこれ?


「よく考えてみるのです。我々ゴブリンの兵力は50000です。5000を失ったところで残り45000もいるのです!」

「お、おう……」


 そう言われてみると、そうなのか? う~ん?


「それにです。むしろこれで奴らに余裕が無いことがわかりました。この戦! やはり我らの勝利以外考えられません!」

「ほう? してその根拠は?」

「簡単なことです。いいですか? 囮を使って伏兵で仕留めるなどというやり方は所詮小手先の方法。兵力で劣ったものがなんとか有利にしようと考えた程度の作戦でしかありません。だが、そのような作戦、一度は通じても二度目は通じません! 我らがゴブリン兵、第二の陣には倍の一万の兵力が備わっております。奴らを突撃させるのです。その際、今度は伏兵などにやられぬよう徹底してやるのです! これで勝てる!」

「おう! なるほど! よし判った。ならばすぐに伝令せよ! 第一陣がやられようと怯む必要なし! 第二の兵力で叩き潰すのだと!」

「は!」


 ふふふ、人間どもめ。5000の兵を倒したからと言い気になっているのも今のうちだぞ!






◇◆◇

sideマゼル


 電撃を纏った後、僕は森を駆け抜け奴らがやってきた方向へ直線を続けていた。

 

 方向があってるかどうかは、気で神経を鋭敏化させて気配から探る。どうやらこのまま真っすぐ行けば次のゴブリンが集まってる場所にぶつかりそうだ。第二陣と言ったところかな。


 数は、う~ん、さっきの倍はいそうだね。父様にはあぁいったけど、やっぱり可能ならある程度やっつけたほうがいいよね。


 よし! 僕は意を決して連中の最も厚い層の中に突撃した。


「「「「「「グギイイイイエエエエェエエエエェエエ!」」」」」


 放出した電撃はゴブリンからゴブリンへと次々連鎖していった。敢えて厚い層に飛び込むことで連鎖させやすくしたんだよね。


 その上で途中で大きくジャンプし、ゴブリン軍団を見下ろしながら、疑似落雷を千本放つ。


「「「「「「「「ギョギョギョギョギョギョギョギョオオォオオォオオオオ!」」」」」」」」


 よし! これでかなりの兵力を削ぐことが出来た。これでもまだ倒しきれてないけど、残りは父様を信じる事にしよう。


 さぁ、魔核目指して更に突撃だ!






◇◆◇

side第二陣のジェネラル


 い、一体何が起きたのだ? 確か直前に我らは第一陣側を見ていた伝令兵からの狼煙により、全滅を知った。


 第一陣の働き次第で我ら第二陣の動きが決まるところだが、まさか全滅するとも思えず、取り敢えず我らが帝王にすぐにでも伝えてもらい、次なる指示を待っていた矢先、雷が突撃してきて、この場に大量の落雷をお見舞いして走り去っていったのだ。


 なんという恐ろしいことだ。まさかあれは人間側の秘密兵器かなにかだったのか? たとしたら我々は人間側の戦力をあまりに過小評価しすぎていたのかもしれない。


「生き残ったのはどれぐらいだ?」

「は、はい、残ったのは一割ほど……ですが、無事なのは全く……」


 つまり全員何かしらの小さくない傷を負っているというわけだ。それは将軍である私も一緒だがな。


「ポーションが残っているならそれを使え。全員は無理だろうが、少しでも戦える状態にしなければ」


 それにしても、まさかあの一瞬で9000もの兵を失うとは、こんなもの戦にすらなってないではないか!


「将軍、ポーションは配りましたがこのままでは……」

「そうだな。ここは放棄して退くほかないだろう。だが、あのわけのわからない何かもあのまま行けば我らが帝王直属の三王の一人とぶつかるであろう。そうなればただでは済むまい」


 そしてその間に我らが背後から狙えば、きっとなんとかなるはず、と思っていた矢先、空から岩石が振ってきて地面を揺らした。


 これは、岩の伝令か。岩に伝えたい内容を刻み、放り投げる。帝王が飼っているゴブリンジャイアントならではの豪快な方法だ。


 さて、と、一体何が刻まれているか。やはり一旦撤退……なん、だと?


「将軍、帝王はなんと?」

「……全軍突撃とのこと、徹底的にやれとのことだ」

「は? そ、そんな! ありえない! これだけの損害が出ているのですぞ!」

「それでもだ! 我らが帝王の命令は絶対だ! 全員、立て! きっと王には何か考えがあるのだ! さぁ、気合を入れて突撃だ!」

 

 我は将軍として全員を決起し、歩みを進めた。疲弊した肉体に鞭を打ち、そして進む。そのうちに視界の開けた場所が見えてきた。


 正面には人間どもの姿があったが。


「何だあの数は、100人もいないではないか」

「将軍、これなら……」

「あぁ、そうだ! きっと5000の兵力で人間どももかなりの数がやられたのだ! そうだ、冷静に考えたならそうにきまってるではないか。いける、いけるぞ! 全軍突撃だ!」

「「「「「「「「「オオォオオオォオオォオオオオ!」」」」」」」」


 鬨の声を上げ、全速力で突撃した。人間どもが驚いているではないか! これなら我らの勝利は……。


――ズコオオオォオオオォオオン!


「「「「「「「「ギャァアアァアアアァ!」」」」」」」」


 な、なんだこれは! 


「止まれ、止まれぇえええぇ残り全員止まれぇえええ!」


 私は急いでゴブリン兵を急停止させた。なぜなら先頭を行っていたゴブリン兵の足下が突如崩落したのだ。


 こ、これは、落とし穴か?


「いまだ! 全員残りのゴブリン共を殲滅するのだ!」

「「「「「うぉおおおぉおおおお!」」」」


 な! 左右から人間どもが、しまった! 前に見えた連中は、お、囮だったのか! それで落とし穴に嵌めて、残りを左右からの挟撃で、く、クソがぁあぁああぁ!






◇◆◇

sideナモナイ


 大賢者マゼルの読みは流石であるな。奴らの残存兵力が再びやってきたのだ。その数は1000体程度であり、しかも大分疲弊しているようだった。


 だが、どういうわけか連中、我らの囮部隊を見るなり考えなしに猛烈な勢いでつっこんできて大賢者マゼルの魔法で生み出した巨大な落とし穴に嵌ってしまったのだ。


 いや、勿論ある程度期待はしていたが、あれだけボロボロの状態からこんな手に来るとはな。おかげで倒すのも大分楽であった。左右の森からの挟撃も上手く行ったしな。


 さて、我々もうかうかしていられないな。大賢者マゼルを、息子を追うぞ!

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