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魔力0で最強の大賢者~それは魔法ではない、物理だ!~  作者: 空地 大乃
第一章 幼年編

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第63話 魔力0の大賢者、従魔にたじたじ

前回のあらすじ

アラクネと戦い勝利した!


 何かなし崩し的にアラクネが僕の従魔になってしまった。どうしてこうなった。


 そして僕が戸惑っていると、ブラックウィドウを全て倒したのか皆が駆け付けてきて、アラクネを見て身構えたけど、一応僕が説明したら案の定驚かれた。


「アラクネといや、Aランクの冒険者が加わっていないと話にもならないっていう魔獣だよな?」

「あぁ……強力な毒と相手を一瞬にして捕獲してしまう糸、それに魔法まで使いこなすって有名だぞ」

「出くわしても先ず逃げることを考えろと教えられるタイプだよね……」

「相性によってはAランクでも厳しいのですがね」

「おいおい、俺でも単身で挑むの躊躇する相手だぞ……」

「はは、これ、私程度の火魔法じゃ怯ませる事もできないタイプだよね」


 破角の牝牛のメンバーや2人のギルドマスターも呆気にとられてたり、目を白黒させたりしてるね。でも、アラクネは扱いとしては魔獣だったんだ。


「うむ、さすがの我でもこの相手は切れぬ、か……我が髭がビンビンであるしな。一手お相手してもらいたいところではあるが」

「ふむ、しかしこれだけの美貌の相手ならば負けても悔いはない。た、食べられると思うと、た、たまらない気も……」

「下半身が蜘蛛なことなんて些細なことに思うちょび、寧ろそれが逆にそそるちょび」

「いや、流石兄貴だ! これだけのエロそうな魔獣を調教しちまうなんて!」

 

 うんヒゲ男ズは揃いも揃って性欲の塊みたいな発言ばっかりだよ! 何かアラクネを見る目つきも性的だし! あとちょっと調教ってそんなことしてないからね!


「いやはやよもやアラクネを従魔にしてしまうとは。やはり大賢者マゼルであるな。ここにまた一つ伝説が生まれたぞ!」

「しかし、思い出したことですがかつての大賢者は竜を従わせる魔法さえも使いこなし、それが従属魔法が生まれるきっかけになったともききますからな」

「今で言うティムの魔法ね。確か大賢者マゼルが使用したのはパーフェクトティムだったとか」

「なるほど。竜でさえも従属できる魔法、かつての大賢者につかえてお兄様に出来ないはずがありませんね!」

「大賢者ってのも本当底なし、いやここは天井知らずといったところか。伝説の魔法をこうも児戯の如く使いこなしてしまうのだから大したもんだ」


 いや、本当これも全く魔法じゃないと言うか、そもそも前世での竜の事だって相手が、心の友よ! と言い出して親友認定されてしまっただけだし。


 何か我の物は貴方の物仲間の物も貴方の物とかいい出して色々持ってこられた時は困ったものだけど。

 

 アラクネにしたって、何かいつの間にか従魔に決まってたし!


「ふむ、主様。それほどの魔法があるなら使ってくれても構わないわよ?」

「え? いや使わないけど……」


 そもそも従魔にするというのも、別に望んでのことじゃないし……。


「なるほど。流石主様だ。そのような魔法を使わなくても私が従うという絶対の自信があるということ。ふふふっ、その肝の大きさ、ますます気に入ったわよ。やっぱり私の見る目に間違いはなかったようねぇ」

 

 何か勝手に納得された! いやいやおかしいよね。何かいつの間にか従魔になると言ってきたの君だし! 何で僕が従魔にしたみたいな感じになってるの!


「うぅ、何でこうなったのか……」

「ところで大賢者マゼルよ。この従魔はなんと呼べばいいのかな?」

「え? アラクネ、かな?」

「ふむ、普通こういう場合名前をつけるのが慣わしとなっているようですけどね」


 へ? そうなの? 名前は意識してなかったな。そもそも従魔になんてする気なかったわけだし。


「君には何か名前ってあるの?」

「ふむ、名などに頓着は無かったけどねぇ。でも愛しの主様が付けてくれるというならなんでも嬉しいわね」

「い、愛しのって!」


 ラーサがぎょっとした後、何か頬を膨らませて唸ってるけどどうしたのかな?

 それにしてもアラクネも愛しのとか冗談が過ぎるよね。でも名前か……う~ん――


「アネ、で、どうかな?」


 何かわれながら単純な気がするけど。


「アネ、はは、いいじゃないか。アネ、うん気に入ったよ」

「ふむ、アネか良いではないか。アネよ大賢者マゼルの父として歓迎するぞ!」

「うん? へぇ主様の父親なのか……あまり似てないんだねぇ」

「がーーーーん!」

「ちょ、アネ、失礼よ!」

「ねぇ主様。この子は誰なんだい? さっきから睨んできてるけど、食べていいのかい?」

「駄目だよ! いや、人は食べないって約束したよね?」

「はは、冗談だってば。ただちょっと気になってね」

「な、私はお兄様の妹です!」

「妹?」

「うん、二人とも僕の大事な家族だよ」

「そうなんだね。それは失礼したわね。でも、それなら安心かな」

「安心?」

「そうさね。人間ってのは血縁同士はやったりしないんだろう? 私はそういうのには詳しいのさ」

「な!?」


 やったり? 一体何のことだろ?


「あはは、アネの奴、はっきりしてるね。あたいはそういうのも嫌いじゃないけどね!」

「アネさんに姉御、似たような名前だから合うのかな?」

「いや、あたいの名前はカトレアなんだけど……」

「そういえばそうだったわね……」


 破角の牝牛の皆、そこ忘れちゃうんだ……確かにすっかり姉御呼びの方がしっくりしてる気がするけどね。


「うぅ、アネ、貴方はお兄様の従魔なのですからね。そのあたりはしっかり弁えてください!」

「そんなことは判ってるさ。でも、従魔が主に惚れちゃいけないって決まりもないからね」

「ほ、惚れ、な、何を言ってるんですか!」


 うん? 何か掘るとか掘らないとか、何の話かな? 周りも何か妙にニヤニヤしてるけど。


「ふ、ふん。別に構いませんけどね。大体、貴方とお兄様には大きな壁がありますから」

「壁かい?」

「そうです。魔獣と人間というのもありますし、脚だって蜘蛛なのですからお兄様とはあまりに種族としての差がありすぎます!」

「なんだ、そんなことかい。だったら、ンギg#ェイムヴェ――」


 アネが何かを呟いたよ。人には聞き取れない言語だね。特殊な発音だけど、呟き終えたアネの足が輝きはじめて。


「どうだい? 中々のもんだろ?」

「「「「「「「「うひょぉおっぉおおぉおおお」」」」」」」」

「うわわわ、ちょ! ちょアネ!」


 どうやら魔法の詠唱だったようだけど、アネの蜘蛛の足が人の足に変化したよ! それはいいんだけど、もともと裸みたいなものなのに、下半身が丸見えだよ!


「ふふ、私、実はこの足も気に入ってたりするんだよねぇ。どうだい? このスラリとした足は?」

「なななな、足とかの問題じゃありません! そもそもどうして全裸なんですか!」


 そうだよ! よく考えたらさっきからアネは上半身からして裸だし! いや、いい感じに髪の毛で隠れていたから、他の皆もチラチラみてたりはしてたけど空気読んで指摘してなかったけど、下半身までそれじゃあもう流石に看過できないよ! まともにみれないよ!


「あぁ、そういえば人間ってのは服ってのを着てるんだったね。なんだい面倒なものだね」

「と、とにかく服、だれか服あまってませんか?」

「いや、流石にそれは無茶だぜ」

「ふむ、この場で服というのもな。しかしいい体だな」

「父様、何どさくさに紛れてガン見してるんですか! もう母様にいいますからね!」

「な、ちょ、それは勘弁してくれラーサ! 殺される!」


 父様、ガン見してたのか……やっぱり父様も男だったのですね。


「やれやれ仕方ないね。ほら、これでどうだい。隠したよ?」


 え? 隠した? 僕は気になって覆った手の隙間から覗き見たけど、う、確かに大事なとこは隠したけど……。


「これは、これで」

「エロいな」

「うむ、いいな」

「どうだい主様?」

「ど、どうと聞かれても、うぅ……」

「あぁ! 兄様まで鼻血を! もう! 下着だけじゃなくてもっとちゃんと隠してください!」

 

 そうなんだ。確かに隠れはしたけど、それが黒の下着で、しかもなんかデザインが大人っぽくて、なんともエロティックというか……。


「わかったわかった。じゃああんたの着てるようなそれにすればいいんだね。ほら、これでいいだろう?」

「……チッ」

「別に下着のままで良かったのになぁ」

「誰ですか今、明らかに不満を呟いたの!」


 ラーサが怖い顔でにらみつけるけど、何人かの冒険者が口笛を吹いてごまかした。


 ちなみに、アラクネは黒のドレス姿に変貌を遂げていた。


「いやしかし、これはこれで胸の谷間がほほぅ」

「うむ、これはこれでいい!」


 ヒゲ男ズのビアードとマスターのヴァンが感想を叫んだ。潔いぐらい堂々と言い放ったよ……。


 でも確かに谷間がバッチリ見える形だから、これはこれで目のやり場に困るけど、それでもさっきよりは大分マシではあるかな……でも。


「アネ凄いね。服を簡単に用意できるなんて」

「ふふ、私は糸が自在に出せるしね。巣作りも自慢だし、これぐらいなんてことはないねぇ」


 つまり、自前の糸であっという間に服を編んでしまったということか、それにしても出来が凄すぎるね……。

蜘蛛のアネさんが仲間に!糸を使って色々編むのが得意そうです。


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