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魔力0で最強の大賢者~それは魔法ではない、物理だ!~  作者: 空地 大乃
第一章 幼年編

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第60話 魔力0の大賢者、家に帰る

前回のあらすじ

混蟲属の村長を倒した。


 僕たちはハニーの蜂に乗って領地まで戻った。畑にやってきていた蟲は既に全滅していて、途中畑仕事を再開していたおじさんに尋ねたら皆町に戻ったとのことだった。


 蜂にのって現れたことに驚いてたけど、その後はすごくお礼を言われたよ。それにしても蟲が駆除されたとはいえこんなに早く畑仕事を再開するなんてたくましいよね。

 

 畑の作物に問題がないか確認するのは早いほうがいいからとのことで、今の所そこまで大きな被害には至っていないようだ。


 みんな頑張って畑を守ってくれたもんね。教えてくれたおじさんにお礼を言って僕たちは町に戻る。


 そして先ずは冒険者ギルドに立ち寄ってみた。破角の牝牛の皆やヒゲ男ズ、そして今回、蟲退治に参加してくれた皆が勝利の美酒に酔いしれていた。そこにはギルドマスターのドドリゲスさんやヴァンさんの姿もあった。


「おお! 大賢者様ではないか。いやいや今回の勝利は大賢者マゼル様の采配があったからこそ。ギルドマスターの私が思わず惚れ惚れしてしまうような見事な手腕でした」

「いや、そんな、寧ろ冒険者達をまとめてくれたのはマスターのお二人ですから」

「謙遜はいらんぞ。本当に大賢者殿には頭が上がらんしな。うちの不良冒険者だったこいつも貴方のおかげで少しは使えるようになった」

「な! 不良とはひでぇや! 全く。あ、アニキ! ところで俺たちの活躍どうでしたかい!」

「いや、活躍と言ってもリーダーは結局大賢者様に助けてもらっていたような……」

「そ、それを言うなって!」

「でも、あの蜘蛛の大群は気持ち悪かったチョビ」

「ふむ、だが、我が髭をもって中々切りがいがあったぞ」


 そんなことを話しながら和気あいあいとしている。そして破角の牝牛の中にはモブマンやネガメも混ざっていた。


「大賢者様も一緒に呑もうぜ!」

「いや、僕はまだ成人してないし」

「硬いこというなって。この2人も呑まねぇし張り合いがないんだよ」

「姉御も無茶言わない2人だってまだ成人してないんだから」


 姉御が僕に酒をすすめてくるけど当然呑む気はない。アローさんにも窘められてるね。


「俺は別に呑んでもいい気がするけどなぁ」

「だめだよモブマン。怒られちゃうよ」

「そうだぜぇ。ま、あと数年したら俺が一緒に呑んでやるよ」

「え? 本当ですか? えへへへぇ」


 アッシュさんに密着されて鼻の下が伸びまくってるよモブマン。


「ネガメくん今日見た限り魔法結構いけそうだよね」

「え? ほ、本当ですか?」

「うんうん、その年であれだけの魔法が使えるのは……まぁたまにいるけど」


 フレイさんがチラッと僕たちの方を見てから話を続けた。うん、まぁラーサとアイラは結構規格外なところあるからね。


「はは、確かに大賢者のマゼルと比べられたら僕なんかまだまだだけどね」

「それは、仕方ありませんね。お兄様を比較対象にするのが間違ってます」

「……ん、むしろ大賢者マゼルにかなう魔法使いなんていないのだから気にするのが間違い」

「確かに大賢者様を基準にしてしまうと誰もが自信をもてなくなりますね」

 

 まさかの僕! うぅ、僕はただ物理が魔法っぽく見えてるだけなんだけどなぁ。本当に凄い魔法使いからしたら僕の技なんてただの物理だろうし。


「ところで父様や母様、それにアイラと一緒に来てくれていたメイサさんはどうしてますか?」

「大賢者様のご両親とあのメイドさんなら一緒に屋敷に戻られたようだ」


 家に戻ってるんだ。メイサさんは父様が家に招待したのかもね。蟲退治にはかなり貢献してくれたし。


「な、なぁマゼル。気になってたんだけどその可愛い子は?」

「あ、うん、今回の蟲退治を手伝ってくれたハニー・ワスプさん。この蜂はハニーの仲間で一緒に戦ってくれたんだ」

「「「「ビ~ビ~」」」」

「それで蜂が一緒にいたんだねぇ」


 姉御さんが興味深そうに蜂を見ていた。みんな飲めや歌えの大騒ぎだからうっかりして話すの遅れちゃったな。


「ハニー、なんていい名前なんだ。結婚してください!」

「え? え~と、ご、ごめんなさい!」

「また駄目かぁ~~~~!」

「ぎゃははは、お前相変わらず節操ないなぁ~」

 

 モブマン……前姉御さんにも告白してたからかとなりで笑ってるよ。う~んそれにしても積極的だ、振られてはいるけど本当見習いたいところかも。


 それから姉御さんやムスタッシュが暫く僕を放してくれなかったけど、なんとか振り切ってギルドを辞去したよ。

 

 それから僕たちは家に戻ったけど、父様と母様はメイサさんに紅茶を淹れてもらっていた。なぜ!?


「おかえりなさいませ。宜しければ紅茶とお菓子のご用意がありますよ?」

「いや、メイサさんお客様なのにどうしてメイドさんの仕事を!」

「す、すみません大賢者様。ですが、メイサ様の所作が素晴らしすぎて」

「凄く勉強になるのです」


 うちで尽くしてくれているメイドさん達がメイサさんを褒め称える。言われてみるとナムライ家のメイド長を任されているぐらいだものね。


「お嬢様、お疲れ様です。お嬢様がいつ大賢者様と一緒になられても大丈夫なよう、色々とお話を聞かせていただきましたよ」

「……メイサ、そういうことは帰ってから教えて」

「い、一緒にとはどういうことですか!」


 流石にメイド長だけあって、冗談を織り込んだ巧みな話術だね。ラーサも興味津々だよ。


「ふむ、これで大賢者マゼルの嫁に困ることもなさそうだな」

「ふふ、気が早いですが、孫の顔が見れるのが楽しみね」

「いやいや! それ、メイサさんなりの冗談だし!」

 

 流石に本気にする話じゃないよ。だって辺境伯のご息女なわけだし。


「それはそれとして、こうして戻ったということは、もう全て終わったのか?」

「うん」

 

 そして僕は父様に混蟲族の集落での出来事を説明する。


「むぅ、なるほどまさかあの山にそのような連中がいたとはな。しかしスメナイ山地とは盲点であったな。あそこは険しい山々が立ちふさがる故、完全に未開の地。王国の魔境とまで言われたのだが」


 うん、それは僕も父様の本などで知っていた。ただ、あそこは蟲系の魔物も多かったようだし、そう考えたら混蟲族がそれを利用してもおかしくない。


「しかし、それも大賢者マゼルにかかっては無駄なことであったな。流石であるぞ!」

「はい、私も凄いと思います! 結局私は何のお役にもたてませんでしたし……」

「そんなことないよ~ハニーとハニーの蜂たちには助けられたもの」

「はい、おかげでお兄様と一緒に空を駆け回る事が出来ました!」

「……出来れば今度蜂を貸してもらいたい。マゼルも一緒に」


 ん? あれ? 何か2人と少し話が噛み合ってない気が?


「ワスプといったね。息子の言う通り、貴方の情報があったからこそこれだけ早い解決に繋がったと思ってますぞ。この地を治める領主としてお礼を言わせて頂きたい」

「そ、そんな、こちらこそ、蟲一族にとって宿敵ともいえる混蟲族を倒すことが出来ましたので」


 先祖の代から混蟲族と因縁があったみたいだからね。


「しかし、随分と話が大きくなってしまったな。これは流石に我が領だけの話で済ますわけにはいかないか……」


 うん、やっぱりそうだよね。混蟲族の研究は王国全体に関わる問題とも言えるしそれ相応の報告は必要になるだろうね……。

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