表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力0で最強の大賢者~それは魔法ではない、物理だ!~  作者: 空地 大乃
第三章 マゼル学園入学編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

526/546

第523話 ファインの過去③

side ファイン


 あれから俺は、ギャノンともすっかり打ち解けた。

 気づけばクラスでも自然と隣にいることが多くなり、休み時間も、授業の合間も、何かと一緒に過ごすようになっていた。


 不思議なものだ。

 ギャノンと親しくなっただけで、周囲の空気ががらりと変わった。


 以前のように、意味もなく絡んでくる生徒はいなくなった。

 視線に含まれていた棘も、いつの間にか消えていた。


 ギャノンを中心に、自然と人が集まる。

 気づけば、俺の周りにもクラスメートが増えていた。


 二年になってしばらく経つ頃には、「元Fクラス」などと口にする者は、誰一人いなくなっていた。


 ――全部、ギャノンのおかげだ。


 彼と友だちになれて、本当によかった。

 心から、そう思っていた。


「見たぜ、テストの結果」


 定期テストが返却された日のことだ。

 ギャノンが、いつもの調子で声をかけてきた。


「学年トップテン入りだって? すげぇじゃん」

「そういうギャノンだって、同じだろ?」


 努力してきた結果が、こうして形になるのは素直に嬉しかった。

 両親の顔も、イロリ先生の顔も、自然と浮かぶ。


「まぁな。ほら、俺って天才だから」


 ギャノンの冗談に、周囲から笑い声が漏れる。


 実際、ギャノンはAクラスの中でも群を抜いていた。

 魔力、才能、度胸――どれを取っても一級品だ。


 俺の魔力は152。

 決して低くはないが、突出しているわけでもない。


 一方、ギャノンの魔力は2000を超えていた。

 学園内でも、これほどの数値を持つ生徒はそういない。


「俺も、まだまだ頑張らないとな」

「随分と努力家だな。それも、妹のためか?」


 その一言で、サラの顔が浮かんだ。

 ギャノンには、妹の病気のことも話していた。


「あぁ。魔導医療を学ぶには、学園で結果を残さないといけないからな」


 魔法学院への進学。

 そのためには、学園内での評価がすべてと言っていい。


「そうか……立派だな」

「俺なんて、将来何するかも決めてねぇや」


 そう言いながらも、ギャノンはどこか楽しそうだった。


「ギャノンなら、どんな道に進んでも上手くいくさ」

「だったらさ」


 少し考えるような間があってから、ギャノンが笑った。


「俺も一緒に魔導医療の道、行ってみるかな。お前と一緒に、未知の病を治す研究するのも悪くねぇ」

「本当か?」

「まぁ、思いつきだけどな」


 軽い口調だったが、俺は本気にしていた。

 ギャノンなら、きっとどんな分野でも通用する。


「なぁファイン。今度、実家に戻る日はあるのか?」


「連休に帰る予定だけど……」

「だったらさ。一緒に行っていいか?」


 冗談かと思ったが、ギャノンは本気のようだった。


「親友の家族に会えるなんて、光栄だろ?」


 親友――

 その言葉が、胸にすっと落ちた。


 約束通り、連休を使って俺は実家に戻った。

 ギャノンを連れて。


 両親は、俺が友だちを連れてきたことを心から喜んでくれた。

 ギャノンも礼儀正しく、誰に対しても愛想がよかった。


――好かれない理由が、見当たらなかった。


 そして、サラにも会わせた。


「話には聞いていたけど、本当に可愛らしい妹さんだ」

「そんな……」


 サラが照れたように視線を落とす。


「ファインは、いつも君のことを誇らしげに話してくれる。本当に、大切に思ってるんだなって伝わるよ」


 その言葉に、俺は気恥ずかしくなった。


「いい子だな、サラちゃん……救ってあげたいな」


 その一言が、胸に刺さった。


 ギャノンは優しかった。

 何気ない言葉のはずなのに、俺には深く響いた。


 その日は、ギャノンはうちに一泊した。

 翌日、彼は用事があると言って先に帰った。


 両親も、サラも、

「またいつでも遊びに来てね」

と口々に言っていた。


 いい友だちができたね。

 家族も、そう言って笑っていた。


――この時の俺は、何一つ疑っていなかった。






◆◇◆

side ???


『よぉ。久しぶりだな』


『俺が、ここに来た理由は……わかるよな?』


『大した話じゃねぇ。少し、協力してほしいだけだ』


『うまくいったら、親父に頼んで寄付も弾んでやる』


『お前も、早く司教になりたいだろう?』


 静かな声が、密やかに響いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ