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魔力0で最強の大賢者~それは魔法ではない、物理だ!~  作者: 空地 大乃
第三章 マゼル学園入学編

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第515話 漢の覚悟

side イスナ


――体が、動かない。


 わかっている。

 ビホルダのギフトの正体はもう把握している。

 視線を合わせなければ拘束は成立しない――それなのに。


 私も、クイスも、身動き一つ取れないまま。

 それでも――。


 ガッツくんは、戦っている。


 必死に。

 たった一人で。


 ビホルダは火銃を構え、距離を取ったまま引き金を引く。

 乾いた銃声。

 二発、三発と放たれる弾丸が、ガッツくんの体を貫いていく。


「……ッ」


 歯を食いしばる。

 このままでは――。


 そして、銃口が向いた。

 今度は、頭部。


 (やめて……! 動いて……! 動いて――!)


 祈るように願った、その瞬間。


――ガッツくんは、避けた。


「……ほう。なるほど」


 ビホルダが、感心したように声を漏らす。


 続く弾丸も、ガッツくんは避けた。


 するとビホルダは、銃口を別の方向へと向けた。


――壁?


 次の瞬間、理解する。


 放たれた弾丸は壁に当たり、

 角度を変え、跳ね返り――


「――ッ!」


 再び、ガッツくんの体を撃ち抜いた。


(跳弾……!)


 音を頼りにする者への、最適解。

 それに気づいたビホルダは、迷いなく実行してみせた。


 冷酷で、合理的で――そして、残酷。


 それでも。


 それでも、ガッツくんは――





side ガッツ


 正直、ピンチだとは思ったッス。


 でも、火銃は音が大きい。

 神経を研ぎ澄ませば、十分避けられる。


――そう、思っていた。


 なのに。


 再び、体を貫く痛み。


「ッ……!」


(おかしい……音は、わかってるのに……)


 理由はすぐにわかった。


 壁に当てて、跳ね返して――

 音の“起点”をずらしてきた。


 このままじゃ――。


 そう考えて、ほんの一瞬。

 ほんの一瞬だけ――目を開けた。


 銃の向き。

 狙い。

 全部、見えた。


 でも――


「目を開けたな」


 低い声。


 次の瞬間、距離を詰められ、

 そして――激痛。


「ぐッ!」


 切られた。

 咄嗟に目を閉じるが、遅かったッス。


「惜しかったな。だが、そのダメージでどこまで耐えられる?」


 確かに、体は限界に近い。


 でも――。


『――重度の負傷を確認。保険魔法を適用いたします』


 よし……治る。

 まだ、やれる――


 ――そう思った、次の瞬間。


 銃声。


 そして、声が消えた。


「その妙な魔法の情報も得ているのですよ。魔法である以上、魔切りで消せる」


――保険魔法が、消えた。


 完全に。


「これで希望は潰えたな」


……ハハ。これは、きついッスね。


(ごめんなさい……ムスケル先輩……)


 そう思った、その時。脳裏に、あの背中が浮かんだ。


『俺が背中を向けたまま戦える理由が知りたいか?』

『それは――覚悟だ』

『見えないからと諦めるな。漢として覚悟を決めろ』

『そうすりゃ、自然と見えてくる。心の目、ってやつだ』


 覚悟……そうだ。


 僕は、まだどこかで逃げ道を探してた。


 保険魔法。

 視界。

 “もしも”の保険――だから。


「ぐっ……!」


 自分の指を、目に突き立てた。


 焼けるような痛み。

 視界が、完全に閉ざされる。


「……やれやれ。自分で目を潰すとは、いよいよやけになったか?」


 違う。これは――逃げ道を断つため。


「ヤケじゃないッス……!」


 震える声でも、はっきり言う。


「先輩が教えてくれたッス。覚悟を決めれば、心の目で見えるようになるって!」

「心の目? ハハッ……」


 ビホルダが嗤う。


「貴様ごときが一来向(いちらいこう)の領域に至れると? この私ですら、預流向までしか解放できていないというのに」


――一来向。


 それが何かわからないッスが、それなら――僕にだって。


「……遊びは終わりだ」


 空気が、変わる。


「味わうといい。私の――預流向を」


 次の瞬間。


 圧倒的な気配と共に、僕の体は――切り刻まれた。

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