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魔力0で最強の大賢者~それは魔法ではない、物理だ!~  作者: 空地 大乃
第三章 マゼル学園入学編

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第480話 魔力0の大賢者、親睦会に向かう

 いよいよ親睦会の日がやってきた。この日は特別扱いで授業も休み、全校生徒が見守る中で催される。


 最初は特別学区と生徒会執行部の魔法戦。僕たちは他のクラスと同じように、まずは観客席から観戦だ。


 会場は、以前Sクラスとの魔法戦を行った試合場(アリーナ)。その広さとざわめきに、自然と胸が高鳴る。


「おお! 今度はまともな席だぞ!」

「丸太じゃないなんて新鮮よね」

「うむ。座り心地も悪くない」

「それが“新鮮”と感じるのが、ちょっと悲しいけどね」

「お弁当でも持ってくればよかったなぁ~」

「な、なんだか緊張してきました」

「ガウガウ!」

「ピィ~♪」


 皆が口々に感想を漏らす。確かに前回と違って、ちゃんとした観客席。周りのクラスと同じ場所に腰掛けているだけで、胸が少し誇らしくなる。


 ――けれど。


「おい見ろよ、Zクラスだぜ」

「次の試合に出るんだろ?」

「チッ……一体どんな卑怯な手を使ったんだか」


 相変わらず、僕たちを蔑む声も耳に届く。対抗戦で結果を出したはずなのに、根強い偏見は簡単には覆らないらしい。


「まだそんなことを言ってるのですか? 本当に恥ずかしい限りですわ」

「その通り! あり得ないのです!」

「ちゅ~!」


 辟易しかけたところで届いたのは、陰口を戒める凛とした声。


「アリエル……それにイスメリアも」

「あなたたちの活躍は、ちゃんと見ていましたわ」

「Sクラスとの魔法戦、本当に凄かったよマゼル!」

「ちゅ~!」


 Bクラスの二人が胸を張って言ってくれる。その後に続くように、他の生徒たちからも声援が飛んできた。


「本当に熱かったッス! 胸が震えたッスよ!」

「あれを見ても認められないなんて、ありえへんやろ」


 Dクラスのガッツとマネリアも、笑顔で手を振ってくれる。


「俺たちは全員、Zクラスを応援してるからな!」

「二年生との試合、しっかりやりなよ!」


 Fクラスの生徒たちまで、拳を突き上げて声をかけてくれる。


「――マゼル。見てくれている人は、確かにいる」

「ビロスもマゼルを応援してるもん!」

「そうだぜマゼル。わからずやの声なんて無視しとけ!」

「それが合理的ですね。相手にするだけ時間の無駄です」

「アイラ、ビロス、モブマンにネガメまで……ありがとう」


 胸の奥がじんわりと温かくなる。確かに、ちゃんと見ていてくれる人たちがいる。


 ――その時。


「だ、黙れよ! 俺は知ってるんだ! Sクラスがお前らにズルされて悔しいって言ってたのをな!」


 一人の生徒が立ち上がり、僕たちを指差して叫んだ。


「へぇ。それ、誰が言ってたのかな? 僕に教えてくれる?」

「へっ……?」


 柔らかい声で問いかけたのはアダムだった。静かな笑みを浮かべながら、しかし逃がさないような眼差しを向ける。


「ねぇ、誰がそんなことを言ったの?」

「い、いや……それは……」

「テメェ、まさかでまかせを言ってるんじゃないだろうね!」


 マリーの怒声が追い打ちをかける。


「適当なことを言うなら、私のクマちゃんが許さないんだからね!」

「凍らされるのと燃やされるの、どっちが好みだ?」

「ハハッ、嘘は格好悪いなぁ。実に見苦しい」

「本当、そんな稚拙な嘘、よく口にできたものね」


 ベア、フレイザ、ライトニング、ローズ――Sクラスの精鋭たちが次々と声を浴びせる。生徒は顔を真っ青にして後ずさった。


「ち、違うんだ! 俺はただ……Sクラスの名誉のために……!」

「名誉のため? その行為が逆に名誉を汚していると、なぜ気付かない。愚か者が!」


 ラクナの冷たい一喝が決定打となり、生徒はその場でへたり込み、気を失ってしまった。


 ――結局、Sクラスの名を使って僕たちを貶めようとした生徒は、自分で招いた言葉の刃に打ち砕かれたのだった。

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