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魔力0で最強の大賢者~それは魔法ではない、物理だ!~  作者: 空地 大乃
第三章 マゼル学園入学編

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第476話 魔力0の大賢者、親睦会への出場を祝ってもらう

 その週の休日、僕たちは街に出てラーサやアイラたちと一緒に過ごすことになった。


 どうやらZクラスが親睦会に参加することになったのを知って、わざわざお祝いをしてくれるらしい。

 皆だって本来なら自分たちが出場を目指して頑張


っていたはずなのに……それでも素直に祝ってくれるのだから、本当にありがたいし嬉しいよね。


 やってきたのは鼠の住処だ。料理が美味しいし、僕たちにも馴染みのある店だ。


「お兄様。それにZクラスの先輩方も、親睦会への出場おめでとうございます」


 ラーサが花のように笑顔を咲かせて僕たちを称えてくれた。

 その言葉に合わせるように、グリンとアンの魔法でテーブルに色鮮やかな花が広がり、シルバの魔法で繊細な銀細工が形を取り、さらにフレデリカの召喚した妖精とブルックの肩にとまった青い小鳥が合奏するように軽やかなメロディーを奏でる。


「なんだか照れるわね」

「で、でも凄いです。とても素敵な魔法……」

「うむ。特別学区の後輩といえど、この練度は侮れんな。正直、焦りを覚えるほどだ」

「それは十分ありえるわね!」

「ちゅ~♪」


 華やかに迎えてくれる後輩たちに感謝しつつも、その魔法の腕前に僕たち自身も大きな刺激を受けていた。


「それにしても……客は俺たちだけか?」

「そうだね。円卓騎士の宴亭は潰れたはずだけど……」


 アズールとドクトルが辺りを見回して首を傾げる。確かに他の客がいない。


「今日は食堂部分を貸し切りにした」

「お祝いだと話したら、店主さんが快く引き受けてくださったのです」

「えっ! そ、そうなの!?」

「あんたらには世話になったからね」

「御礼だと思ってくれればいいさ」

「ありがとうございます!」


 ジリスとラシルが笑顔で答えてくれる。まさか僕たちのためにここまでしてくれるなんて……胸が熱くなった。


「あれから店の調子はどうなんですか?」

「あぁ。円卓騎士の宴亭がなくなったおかげで、毎日大忙しさ」

「それは良かったです」

「うむ。思えばあの店は本当にとんでもない場所だったからな……」


 ラシルの答えを聞いて、イスナやクイスも安堵したように微笑んでいた。


「今日もしっかり腕を振るうから楽しみにしてな!」

「美味しい食事! 楽しみでもうお腹と背中が引っ付きそうだよ!」

「り、リミット……よだれが垂れてます」

「ガウ」

「ピィ~♪」


 料理に期待して胸を躍らせるリミットの姿に、僕も思わず笑ってしまう。


「私も新作のケーキを用意していますから、ぜひ楽しみにしてくださいね」

「は、ハニーさんの手作りケーキ! それを、ぼ、僕のために……!」

「いや、俺たち全員の祝勝会だろ」

「もう……あんたは本当に鈍感ね」


 ハニーの言葉にドクトルが赤くなり、アズールがツッコミを入れる。メドーサは呆れ顔だが、どこか微笑ましい空気もあった。


「坊や。ちょっと」


 すると、ジリスが僕を手招きしてきた。一体なんだろう。


「あ、あの……何かありましたか?」

「ちょっと気になってねぇ」


 僕が近づくと、ジリスは妙にニヤニヤした顔でそう言った。なんだろう、嫌な予感が……。


「それでさ。坊やの“本命”は誰なんだい?」

「ほ、本命!?」


 唐突すぎる質問に声が裏返る。顔が一気に熱くなるのが自分でもわかった。


「私の予想では、あの耳の尖った可愛い子かなって思うんだけどねぇ。いや、でも隣のキリッとした美人もアリだし、あっちの無表情な子も捨てがたい……」

「いやいやいや! 僕たちはそういうんじゃないですから!」


 必死に否定するけど、ジリスは更にニヤニヤ笑ってる。完全にからかわれてる……!

 胸の奥がムズムズして、顔の熱も引かない。ああもう、本当にやめてほしい――!

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