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魔力0で最強の大賢者~それは魔法ではない、物理だ!~  作者: 空地 大乃
第三章 マゼル学園入学編

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第457話 魔力0の大賢者、続く次鋒戦を応援

いつも感想や誤字脱字報告を頂きありがとうございます!

 先鋒戦では惜しくもリミットが敗れた。気絶していたからリミットのことは僕が抱えて控え席に戻ってきたのだけどね。


 リミットは魔法を一発撃つと気絶するけど、これは魔力を出し切っているからで、ある程度まで回復すれば意識は戻る。だから心配はいらない。


 控え用のベンチに寝かせると、ウィンガル先生が声を上げる。


「それでは続いて次鋒戦だ。準備ができ次第、速やかにリングに上がり給え」

「俺の番か」


 ガロンがリングに目を向け、声を上げた。


「おう! 頑張れよ、ガロン」

「が、ガロンくん、お、応援してるからね!」

「ガウ」

「ピィ~」

「あぁ。全力でやるさ。全力で、な――」


 皆からの声援に答えるガロン。その瞳には、どこか覚悟めいたものを感じた。


「ガロン。あまり気張らないで、君らしく頑張って」

「ありがとうな、マゼル。大丈夫だ。今の俺なら全部出し切ってもな」


 “全部出し切る”――敢えてその言葉を口にしたのは、この試合への意気込みからか、それとも別の意味があるのか。どちらにしても、一度リングに上がれば地力で戦い抜くしかない。


 僕たちに出来るのは応援だけだ。


「でも、ここで負けちゃうとピンチよね」

「縁起でもないことを言うなよ、メドーサ」


 アズールが眉をひそめる。


「ごめんって。きっとガロンならやってくれるわよね」

「そうだよ。ガロンはフィジカルも強いからね」


 そんなことを話しているうちに、Sクラスの次鋒もリングに上った。


「よっしゃぁあああ! あたしの出番だよ!」


 声を張り上げ、胸の前で拳を打ち合わせる。魔導球では【叫声魔法】を使っていたね。彼女の固有魔法(オリジナル)のようだけど、魔法戦ではどう使ってくるか――。


「キャァアアァアア! マリーお姉様ぁああああッ!」

「その筋肉美がたまらない! 私の推しですわ!」

「お前のその筋肉ならZクラスなんて紙ペラだぜ!」


 アリーナの観客席からは生徒たちの声援が降り注ぐ。相変わらずSクラスの応援が多い。マリーに至っては女生徒の応援が特に多いようだね。


「ガロンくん頑張って!」


 負けじとアニマが声援を送る。観客席からの声に負けたくないという意思が感じられた。


「魔導球では消化不良で終わったからねぇ。あんたはあたしを楽しませてくれるんだろうねぇ?」

「どうかな。俺があっさり倒したら、あんたは悔しいだけじゃないのか?」

「――へぇ、言うじゃないかい」


 マリーの目つきが変わった。それにしてもガロンがあんな挑発じみたことを言うなんて思わなかったね。いや、でももしかして――。


「それでは次鋒戦、始め!」


 僕が考えを巡らせていると、ウィンガル先生の合図で試合が始まったよ。


「あたしの魂の叫びを聞きやがれ! 響け魂のシャウト! パワーボイス!」

「強化魔法――」


 開始と同時にマリーとガロンが魔法を行使。マリーのは魔導球で見せた魔法だ。魔力によって肉体を強化する――一見強化魔法に似ているけど、声による魔力の活性化で効果は強化魔法よりも遥かに高そうだよ。


「喰らいぃぃいいいいいいやがれぇえええぇええ!」


 ガロンに向けて跳躍。放物線を描くように飛び込んだマリーが拳を振り下ろす。けれどガロンは後方へ大きく跳び、そのままバックステップで距離を取った。


「なんだいそれは! そんな逃げ腰であたしに勝てると思ったのかい! 呆れたねぇ! 響け魂のシャウト! アクセルボイス!」


 地面を蹴り、マリーが加速した。今の魔法は脚力を集中して強化するものか。瞬時にスピードを上げたマリーがガロンに向けて突撃する。その迫力は大型の魔獣を彷彿とさせる。


「吹っ飛んじまいなぁああ!」

「あんたが単純で良かったよ」


 微笑を浮かべ、ガロンが突進してきたマリーの頭に手を置き、そのまま飛び越えて背中を蹴り飛ばした。


「なッ!?」

「リミットに感謝だな」


 着地と同時にガロンが呟く。勢い余ったマリーはそのまま場外に飛び出した。やっぱり最初の挑発には考えがあったんだね。魔導球でマリーが短気な性格なのはわかっていた。それを利用したうえで、リミットの試合を参考にして相手の場外負けを狙ったんだ。


「よっしゃぁああ勝ったぜ!」

「甘いな、馬鹿が」


 声を張り上げるアズール。同時にSクラスからラクナの声が聞こえてきた。


「響け魂のシャウト! 【ブレイクボイス】!」


 その時だった。マリーが叫んだかと思えば、声に乗せた衝撃波が放たれ、その勢いのまま宙返りを決めてリングに戻ってきた。


「あたしはクイスに感謝だねぇ」

「くッ!」


 振り返るマリーを見てガロンが呻く。まさか先鋒戦のように、マリーもリングに戻ってくるなんてね。


 ただ、この試合はまだ終わらない。ガロンはリングに立ち続けているからだ。ただ、ガロンの表情には余裕がないように思えた。


「小細工はここまでさ。さぁ、あたしと思う存分殴り合おうじゃないか!」

「――全く、魔法使いとは思えない発言だな」


 苦笑交じりにガロンが答えた。二人の戦いはここからが本番だ――

本作のコミカライズ版単行本最新の10巻が6月26日発売です!もうすぐ発売です宜しくお願い致します!

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