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魔力0で最強の大賢者~それは魔法ではない、物理だ!~  作者: 空地 大乃
第三章 マゼル学園入学編

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第425話 魔力0の大賢者、午後の対抗戦を終える

「マゼル。Dクラスの試合もだけど、私も楽しみ」


昼食を終えたばかりのタイミングで、アイラがにこやかに話しかけてきた。

でも、その“楽しみ”が何を指してるのかイマイチわからない。彼女の顔をのぞき込むと、こちらも不思議そうに見返してくる。


「え? 楽しみって……何がだろう?」

「午後、AクラスがZクラスと試合するって聞いてたんだけど、マゼルは知らなかったの?」


 アイラの言葉に「ああ、なるほど」と納得。そういえばイロリ先生、午後に“対抗戦がある”とは言ってたけど、どのクラスとやるかまでは教えてくれなかったっけ。


「Aクラスとの試合だったのかよ」

「本当何も言わないわねあの教師」

「うむ。だが、どんな相手だろうと全力で戦うだけだな」


 アズールとメドーサは不満そうだったけど、ガロンの言うようにどのクラスとの試合でも全力を尽くすだけだね。


そして午後――


 Zクラス対Aクラスの“魔導球”による対抗戦が始まって、最終的にはZクラスが勝った。


「やっぱりマゼルは流石ね……。全然歯が立たなかった……」


 試合終了後、悔しそうな顔でアイラが唇を噛む。とはいえスコアは9対6。アイラの“錬金魔法”による守備が堅かったから、僕たちも危なかったよ。


「マゼル最高! ビロス、マゼル大好きーっ!」

「ちょ、ちょっと……わわっ!」


 ビロスが僕に向かって勢いよく抱きつこうとしてくる。びっくりして後ずさったら、素早くアイラが両腕でブロックしてくれた。


 もともとビロスは蜂の魔物が人化した女の子だからか、やたらとスキンシップが激しい。これもビロスにとっては「仲間へのコミュニケーション」みたいな感じなのかもしれないね。


「ビロス、ルールをちゃんと覚える。さっきはオウンゴールで1点とられたでしょ」

「うう~。アイラは相変わらず厳しいよぉ……」


 ビロスが肩を落とした。確かにそれはあったけど、ビロスの蜜魔法は十分な力を発揮していたね。試合に出ていたガロンやアズールも足止めされていたし。


「とはいえ、いい試合だったな。ありがとう、みんな」

「うん! 観てても燃えたし、最高に楽しかった~」

「は、はい……。シグルとメーテルもすっごく喜んでました!」


アイラが笑顔で声をかけてくれるのにつられて、僕も自然と頬が緩む。アニマの隣でシグルが尻尾を振ってるし、メーテルも頭上をクルクルと飛んでいて上機嫌っぽい。


「わたし、さっきの試合でテンション上がったらお腹すいちゃったよぉ~」

「リミットはいつも腹を減らしてるね」

「さっきの昼飯はどこに消えたんだか……」


ドクトルとガロンが苦笑していると、急にひやりとした声が背後から飛んできた。


「……終わったなら帰るぞ。お前ら、調子に乗るな。」


 振り返ればイロリ先生がじっとこちらを見ていた。


「もう少し言う事はないものか」

「本当だぜ。大体最初は俺達に諦めろなんて言っていたけどよ、今のところ俺等全勝なんだぜ」

「何だ? 俺に褒めて欲しいのか。いい子いい子って頭でも撫でろってか?」


 イロリ先生が振り返り、話していたガロンとアズールに素っ気なく返していた。


「じゃあ……せめてご飯奢ってよ! もう胃袋が限界!」

「……勝手に狩りでもして食え。俺は先に戻るぞ。お前らは勝手にしろ」


 リミットの切実な提案も一蹴し、イロリ先生は足早に立ち去ってしまった。何か最近は特に先生との間に距離を感じるんだよね――


 ともあれ、僕たちも旧校舎へ戻ってこの日は終えたよ。

翌日は午前中からEクラスとの対抗戦があって、こっちも勝利。連戦が続いて少し疲れてはいるけど、Zクラスも調子が出てきた感じだ。


「お腹減った~! ねえ、学食行こうよ、学食!」


 リミットが切羽詰まった表情で訴えてくるから、僕たちはお昼に学食へ移動。ところが――そこには全身を包帯で巻かれたガッツの姿があった。あまりの痛々しさに、思わず全員の足が止まる。


「いったい……どうしたの、それ……」


 聞くに聞けない空気のなか、ガッツはこっちを見て微妙に苦笑いしてた。何があったのかは、この後ゆっくり聞かされることになる――

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― 新着の感想 ―
・ガッツが食堂にいる理由とは? >リミットが切羽詰まった表情で訴えてくるから、僕たちはお昼に学食へ移動。  ところが――そこには全身を包帯で巻かれたガッツの姿があった。 (第427話まで読み進めた…
2025/03/27 12:45 クウノスキー
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