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魔力0で最強の大賢者~それは魔法ではない、物理だ!~  作者: 空地 大乃
第三章 マゼル学園入学編

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第424話 魔力0の大賢者、対抗戦を続けていく

「お前ら、午後から対抗戦だ。本校舎に行っておけよ」

「だからそういうのは、もっと早く言っておきなさいよ」

「だから午後になる前に言ってるだろう。遅れたら不戦敗だからな」


 午前の授業が終わるころ、イロリ先生が教室に顔を出したかと思えば、午後の予定をひとこと告げただけで去っていった。メドーサも呆れたようにため息をついている。


「本当に適当だな……」

「でも、これで今日も本校舎でお昼を食べられるね♪」


 頭をかきながら愚痴をこぼすアズールとは対照的に、リミットは頬を緩ませているね。


「まぁ、本校舎に行くのは気分転換にもなるな」

「は、はい。メーテルとシグルを散歩させてあげられるのも嬉しいです」

「ガウガウ♪」

「ピィ~♪」


 急な話ではあるけれど、ガロンとアニマは本校舎に向かうのが楽しみらしい。メーテルやシグルも一緒に行けるとあって、喜びの声を上げている。


「学食に行くのは、とてもいいことだと思うよ」


 ドクトルもにこやかだ。多分“ハニー”に会えるのが何より楽しみなのだろう。


「午後の授業にもつながるし、メイちゃんとシアンちゃんも一緒に行くよね?」

「授業とあれば致し方なしと、お答えします」

「……うん」


 リミットが問いかけると、メイリアとシアンは落ち着いた声で返事をした。リミットはZクラス全員で行動できるのがうれしそうだ。


 こうして僕たちは旧校舎を出て、本校舎に併設されている学食へ向かった。





「マゼル。こっち」


 学食にはアイラたちの姿もあり、ちょうど席が空いていたので相席させてもらうことに。


「なんだか、ここで昼食をとるメンツはほぼ固定になってきたな」


 皆の顔を見回しながらアズールが言う。確かに気心の知れた仲間と一緒だと、自然と同じテーブルになることが多い。


「食事は皆で食べた方が楽しいよ~♪」

「ま、そうね。皆で固まっていれば周りの視線も、あんまり気にならないし」


 リミットは上機嫌に声を弾ませる。メドーサはちらりと周囲を見て、少し苦笑した。Zクラスは相変わらず周りから冷たい目で見られているけれど、こうして集まっていると案外気にしなくても済むね。


 皆で席に着き、食事を始めたところで、アイラが何かを思い出したように顔を上げる。


「そういえばマゼル。キャンベル先生から“反省文”を書くように言われたって、本当?」

「えっと……うん。僕たちZクラスだけじゃなくて、アイラやビロスたちにも書いてもらうことになったみたいで……ごめんね」


 僕は申し訳なさそうに(うつむ)く。Zクラスの騒動に巻き込んだ形になってしまったのは事実だし、アイラたちに負担をかけてしまった気がして気が重い。


「ううん。別に気にしてないわよ。キャンベル先生、ああ見えてみんなをよく見てるもの」

「うん! マゼルのせいじゃないよ~」


 アイラは僕を気遣うようにふわりと笑ってくれる。ビロスも僕を励ますように声をかけてくれたよ。


「……そ、そうだ。良かった反省文、マゼルと一緒に書いたら、きっと(はかど)ると思うんだけど……」


 アイラが、恥ずかしげに視線を伏せながら俯き加減に言った。えっとそれって――


「それならビロスも書きたい! マゼルと一緒~♪」

「ちょ、ビ、ビロス……空気読みなさいよ!」


 話に加わってきたビロスの両頬をアイラがむにっと(つね)る。ビロスは「いたーい」と半泣きでじたばたするが、アイラの方は本気で怒っているわけではなさそうだ。静かな笑みを浮かべながら力を込めているあたり、相当気合いが入っている。


「ふぇぇ……アイラこわいよぅ……」

「あなたがいつもマゼルにベタベタするからでしょ!」


 ビロスの抗議じみた声と、アイラの怒気をはらんだ声がテーブル下で小さく響く。


 ……とはいえ、僕から見れば、ビロスとアイラはいつも仲良くじゃれ合っているようにも見える。今日だって、ほら、二人で頬を抓り合ってるのが微笑ましいし。


「アイラとビロスってほんと仲がいいなぁ」


 僕がそう言うと、ビロスは「そうそう!」「ビロスたち仲良し!」と嬉しそうに言い、アイラの方は「……はぁ」とため息をつきつつ顔をそむけた。


 どうやら、まったく同じ温度というわけではなさそうだけど、僕には二人が仲良しにしか見えなくて、ほのぼのしてしまう。


「押忍! この間の魔法戦ではお世話になったッス!」


 そこで突然、聞き覚えのある声がした。振り返ると、先日の魔法戦で対戦したDクラスのマネリアとガッツが立っている。


「魔法戦でマゼルたちと戦った?」

 

 アイラがガッツの言葉を小首をかしげながら復唱した。


「せやで。めっちゃいい試合やったんや~。マゼルの魔法も凄まじかったんやで!」

「詳しく教えて欲しい!」

「ビロスも知りたい~!」

「その話は、あり得るのです!」

「ちゅ~!」


 マネリアの話にアイラ、アリエル、ビロスが食いつく。彼女たちも対抗戦の情報が気になるらしいね。


「あれ、絶対別の意味で解釈してるよな……」

「そこがマゼルってやつだろ」

「マゼルの唯一の弱点とも言えますね」


 ドクトル、モブマン、ネガメが仲よさそうに笑い合っている。クラスを超えた交流が増えるのは、学園生活の醍醐味かもしれない。


「マゼルくんは、あれからどうッスか?」

「うん。対抗戦はみんなと協力して頑張れてるよ。実は今日も午後から試合なんだ」

「それは奇遇ッスね! 僕らも午後から魔法戦ッスよ!」


 ガッツは楽しそうに教えてくれた。Dクラスも対抗戦を控えているらしい。


「魔法戦か。この前はおまえらの試合、けっこう参考になったぜ。ところで相手はどこなんだ?」


 話を聞いていたアズールが興味深そうに尋ねる。魔法戦が大好きな彼らしい質問だ。


「午後からはSクラスとの試合ッス! あそこ一年生の中じゃ最強クラスらしいんで、燃えるッスね!」


 ガッツが誇らしげに胸を張る。Sクラスといえば、アダムやイスナ、クイスにラクナ……有力な生徒が集まる強豪だ。前の試合を考えるとDクラスも唯一無二な魔法の使い手が多いし、かなりハイレベルな戦いになりそうだよ。


「いい試合になるといいね。僕も楽しみにしてるよ」


 そう言いながら、僕は思いを巡らす。ZクラスやDクラス、そしてSクラス――それぞれの生徒たちが全力を尽くして戦う対抗戦は、まだまだ続いていくんだろう。午後の試合に向けて、僕たちも気合いを入れておかないとね。

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